Tシャツを何枚まで重ね着することができるのか? これにチャレンジしたおじさんが登場。4時間かけて何と155枚も着てしまった。世界記録だそうだ。当然,ギネスブックに登録。
ここまでなら,よくあるギネスブック話である。Web2.0時代となると,ここから新たな展開が始まる。まず155枚のTシャツを重ね着する様子をビデオに収めた。そして,そのビデオをYouTubeに投稿したのだ。“Guiness World Record for most T-Shirts worn at one time”というタイトルを付けた投稿ビデオをまず見てもらいたい。
こうした面白いビデオを視聴した人の中には,他人に知らせたくなる人が現れてくるものだ。今なら,ユーザー参加型ニュースアグリゲーター“Digg”にニュースとして投稿すれば,このビデオの存在が一気に広まる可能性が高い。案の定,Diggにおいて,ニュースとして投稿してからの2日間で,このニュースに1382人が投票(digg)し,78人がコメントを寄せたのだ。間違いなく,かなり多くの人がDiggサイト経由でYouTubeに飛び,このビデオを視聴したはずだ。
この結果,既に,17万人以上の人がYouTubeでこのビデオを視聴し,2183人がコメントを寄せている。バイラルビデオのお陰で,重ね着男は,一躍,有名人になったのかも。
だが,この重ね着男は,単なる目立ちたがり屋ではなかったのだ。ビデオの終わりに近い画面を見て,この男がただ者ではないことがわかる。下のように,テロップで重ね着男のメールアドレスとURLを露出させている。となると,やっぱり画面のURL(http://www.ktyd.com/pages/early.html)に飛んでみたくなる。
飛び先は,何とロック系音楽を専門とするFMラジオ局"99.9 KTYD"のサイトであった。重ね着男Matt McAllister は同局の社員のようだ。そのMattが登場する番組“The Early Show”のプロモーションページであったのだ。そのページには,YouTubeのビデオの件や,DiggやFarkなどのサイトで上位掲載された件を自慢気に報告していた(現在は,ページの内容が変わって,Diggの話などは消えている)。
要するにMatt McAllisterは,Web2.0風マーケティングを熟知している男なのだ。YouTubeやDiggを活用して,番組 “The Early Show”の存在を,多くの人に知らしめたのである。私もうまく乗せられて,このプロモーションページに辿り着いてしまった。このクチコミマーケティングを成功させるために,155枚のTシャツを着たのだったのか。
クチコミマーケティングの仕事って楽じゃないんだ。



旅行者とガム会社が組んだバイラルアド
http://www.wherethehellismatt.com/
もあるように、
「まず自分が楽しくやれる」+「仕事としての意味もある」
というものだったら、なんだか素敵ですね。
それも、あくまで一面にしか過ぎないでしょうけれど。