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2012年02月09日

「Pinterest」対「フェイスブック」、ブランドサイトへの誘導数で競う事例も

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 今年に入ってさらに勢いが加速化するPinterest(ピンタレスト)。米国の企業/ブランドのマーケターにとっても無視できない存在になってきた。

 先日、Shareaholicが発表したレポートでも、米国のWebサイトへの参照トラフィックの割合が、Pinterestは2012年1月に3.6%と、1ヶ月前の2011年12月の2.5%から凄い伸びを示したばかりだ。20万以上のパブリッシャー・サイトへのトラフィック調査結果であるが、すでにYouTubeやGoogle Plus、KinkdInよりも多くのトラフィックを誘導し、さらにツイッターやGoogleと肩を並べるまでになっている。フェイスブックはやはり別格で、以下のグラフで示すように26.4%とずば抜けて高い。

ShareaholicPinterestTraffic.jpg
(ソース:Shareaholic)

 米国で1億5000万人以上のユーザーを抱え、1人当たりの利用時間も多いフェイスブックが断トツなのは当然で、急成長していると言ってもまだ月間ユニークユーザー数が1000万人前後のPinterestと比較するのは見当違いかも。ところが、分野によってはPinterestからのほうがフェイスブックからよりも多くのトラフィックを誘導している事例が、早くも現れているのだ。

 米国の女性向けライフスタイル誌「Real Simple」のデジタル責任者Shannon King氏が、「2011年10月にPinterestからReal Simpleサイトへの参照トラフィックがフェイスブックからのトラフィックを超えた」と、昨年末のAdAgeで明らかにした。Real Simpleは発行部数200万部(2011年のレートベース<広告料金のベースとなる保証部数>で197万5000部)を誇る人気女性誌で、そのサイト(http://www.realsimple.com/)に送り込むトラフィック量でPinterestがフェイスブックを上回ったというのは、かなりの衝撃的な出来事であった。それも昨年の10月の時点だからなお更である。多くの企業/ブランドのマーケターがPinterest対策に動き出したのは言うまでもない。

 米国の企業/ブランドのマーケターの多くは、特にB2C分野において、フェイスブックやツイッターなどの主要ソーシャルメディアへの対策を講じている。フェイスブックのブランドページを設けたり、ツイッターのアカウントを取ったりしている。Pinterestでも企業/ブランド向けの専用ボード(画像を貼り付けるボード)を設けることができ、Rial Simpleも早くから用意していたようだ。そして女性向けショッピングサイトなどが追従して次々とブランドボードを立ち上げるようになった。


 Rial SimpleのPinterestボードを以下に掲載する。カテゴリー別のボードを置けるので、9日現在で48種のボードを立てていた。それらのボードに1729個の画像を貼り付けている(1729Pins)。Rial Simpleボードへのフォロワー数は3万487人である。カテゴリー別ボード単位でもフォロワーを抱えることができる。3週間前のReal Timeボードでは、43Boards、1526Pins、2万2376followersとなっていた。わずか3週間でもフォロワー数が約40%も増えている。
 
RealSimplePinterest20120209.jpg

 Real Simpleは母体が雑誌であるため、写真を潤沢に保有しているはずだ。Real Simpleサイトには雑誌に掲載しきれない写真も載せたりできる。サイトの写真(画像)を選りすぐって、自分のPinterestブランドボードにpinして(貼り付けて)いくことになる。有名ブランドの人気画像(商品)よりもアイデアや意外性のある画像(商品など)のほうがPinterestでは受ける傾向が強いので、その意味でReal Simpleのコンテンツ(画像)はPinterest向けと言えそう。また賞味期間の長いコンテンツも多いので、雑誌やサイトだけでは流れ去っていたコンテンツ(画像)も、Pinterestのボードでは再編集により人気が継続したり復活する場合も珍しくない。

 Pinterestは、画像ベースのソーシャルブックマークサービスでもある。人気の高い画像は、Pinterestの他会員によってripinされ伝播していく。Pinterestに訪問したユーザーが気に入った画像をクリックすると、その画像のソースサイト(例えばReal Simpleサイト)に飛ぶことになる。

 Real SimpleのPinterestボードを覗いてみよう。例えば、いま旬のボードとして、
Super Bowl Party Snacks & Recipes
36784 followers, 52 pins
や
Valentine's Day Ideas
36985 followers, 102 pins
を立ち上げていた。

また、
New Uses for Old Things
39326 followers, 64 pins
や
Problem-Solving Products
37983 followers, 48 pins
のボードは、ちょっとしたアイデアの小物を集めており、Real Simpleならではの画像と言えそう。

 いずれもよく編集されたカテゴリ別ボードを用意している。このようにカテゴリー別ボードの更新をきっちりと実施しておれば、Pinterestから多くのトラフィックをReal Timeサイトにドライブすることになるのだろう。


 もう一つは小規模なサイトの事例である。「Liberty Jane Clothing」と称するサイトで、人形と少女服のデザインを紹介している。これまでソーシャルメディアからのトラフィックとしては、フェイスブック(ファン数が1万2000人)とYouTube(サブスクライバー数が7600人)からをアテにしていた。ところで昨年夏からPinterestへの最適化を講じており、ブランドボードのフォロワー数が500人少々と多くないのだが、2011年10月からはPinterestからのトラフィックが倍々で増えてきた。

141人(11年10月)→441人(11年11月)→1141人(11年12月)→2019人(12年1月)

 そして、今年1月には、以下のようにYouTubeやフェイスブックからのトラフィックを追い抜いた。

PinterestTrafficRivertyJane.jpg

 ここで興味深い点は、サイト(www.livertyjanepatterns.com)へトラフィックをドライブするためのボードに、ブランド名ではなくて個人名(http://pinterest.com/cinnamonmiles/)を使ったことである。創立者でありデザイナーであるCinnamon Miles氏が、画像のキュレーターとしてボードを管理しているのだ。Pinterestでは、このように企業や商品ブランドではなくて個人ブランドのほうが、多くのフォロワーを獲得する場合が多い。
PinterestLibertyJaneClothing20110205.jpg


 これからPinterestからのトラフィックに増やしていくには、Webサイトのデザインも見直さなければならないだろう。画像のページに直接アクセスされるので、ユーザーのニーズに応えたページデザインが少なくとも必要となる。またどのようなカテゴリーの画像が人気が高いかどうかなど、各種のマーケティングデータも収集できそうである。


◇参考
・Pinterest Drives More Referral Traffic Than Google Plus, YouTube and LinkedIn Combined (Shareaholic)
・Facebook Vs Pinterest Traffic(Marketing On Pinterest)
・Our January 2012 Pinterest Traffic Numbers…(Marketing On Pinterest)
・Real Simple: Pinterest Drives More Traffic For Us Than Facebook(AdAge)
・Pinterest Referral Traffic On Par With Twitter? Rightttttttt(Teazedia)
・Pinterest、どこよりも早く月間1000万ユニークユーザー達成(TechCrunch Japan)



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posted by 田中善一郎 at 09:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | Web2.0 SNS CGM
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