オンラインストアなどのネットビジネスの運用者は、ソーシャルメディアから自社サイトへ優良顧客を呼び込みたい。ところが同じソーシャルメディアでも、これまでのフェイスブックやツイッターと新顔のピンタレストとでは、取り組み方で違いが出てきている。
一般にオンラインストアなどの運用者は、ソーシャルメディアのアカウントを取り、ユーザーとのコミュニティーの場を実現してプロモーションなどに活用する。より多くのユーザーにリーチするために、フェイスブックではファン数をツイッターではフォロワー数の獲得に精を出す。実際、以下のように、有名企業やセレブのファン数やフォロワー数は膨れ上がり、一種の放送メディア的な役割を果たしている。
◇フェイスブックでファン数の多い企業やセレブの例
・Coca-Cola:4223万人
・Starbucks:3025万人
・Gucci:805万人
・Dior:804万人
・Converse:3075万人
・Zara:1350万人
・H&M:1114万人
・Eminem:5777万人
・Rihanna:5673万人
・LadyGaga:5149万人
◇Twitterでファン数の多い企業やセレブの例
・Whole Foods Market:265万人
・Starbucks Coffee :253万人
・H&M:118万人
・Burbbery:102万人
・LadyGaga:2497万人
・Justin Bieber:2257万人
・Barack Obama:1971万人
・Oprah Winfrey:1169万人
ところが、ピンタレストでは全く違う風景となる。ピンタレストでも企業(ブランド)やセレブがアカウントを取得し、専用のピンタレストボードを持つようになってきた。ところがファン数とも言えるフォロワー数が、フェイスブックやツイッターに比べ桁違いに少ない。フォロワー数の最も多い企業でも約25万人しか獲得していない。10万人以上のフォロワー数を抱える企業(ブランド)はわずか3社である。ツイッターでフォロワー数が1971万人のオバマ大統領も、ピンタレストでは約1万6000人しか取り込めていない。米国女性のトップセレブであるOprah Winfrey氏もツイッターで1170万人のフォロワーを抱えているのに、ピンタレストでは1万4000人とあまりにも少なすぎる。さらに、フェイスブックで800万人以上のファン数を誇る有名ブランドのGucciやDiorなどは、女性向けなのにピンタレストではアカウントすら取得していない。
これでは、オンラインストアなどのネットビジネス運用者が、ピンタレストでプロモーションなどを仕掛けられないのではと心配になる。ところが、知らないうちにピンタレスト内で凄い影響力を発揮しようとする伏兵が次々と現れてきたのだ。彼らは一般にはあまり知られていない個人だが、彼らのピンタレストアカウントのフォロワー数が、企業アカウントに比べ桁違いに多いのである。フォロワー数が100万人を超える個人アカウントがすでに5つも登場している。また約50万人以上のフォロワー数を獲得している個人アカントは100近くもあるのだ。彼らは、ネット上の画像(写真など)をキュレートし、自分のボードにピン(pin)しているエリートキュレーターなのだ。
以下の表で、ピンタレストでフォロワー数を急増させている個人アカウントと、フォロワー数が低迷している企業/セレブ(商業)アカウントの例を掲げておく。

ここで見逃せないのが、エリートキュレーターがますます影響力を高めていることだ。彼らによって選びぬかれた画像が、他のピンタレストユーザーによって、次々とコピー(Repin)伝播されていく。下のツイッターでのRetweetとの比較からも分かるように、ピンタレストのバイラル性が極めて高い。

ソース:Why Is Pinterest So Addictive?(Flowtown)
エリートキュレーターについては、明日以降の記事で紹介する。