先週もNHN Japanは、提供しているスマートフォン向け無料通話アプリ「LINE」のユーザー数が399日で世界5000万人を突破したと発表し、すさまじい普及速度を誇示していた。2ヶ月ほど前には、Angry Bardsで有名なRovioは、同社の新ゲーム「Angry Birds Space」 を35日で世界5000万人がダウンロードしたと公表している。Angry Bardsの知名度が後押ししていると言っても、5000万人突破にわずか35日間とはすごい速度である。
ハード装置となると増産しなければならないので、ソフトサービスに比べ普及に時間を要する。それでも普及ペースは目覚ましく速まっている。たとえば米国のスマートフォンは 2007年7月のiPhoneの登場で本格普及が始まったといえるが、ユーザー数が5000万人に達するのに3年しか要していなかった。2007年7月当時900万人に満たないスマートフォン所有者数が、5年後の現在は1億1000万人に達し、年内にもフィーチャーフォン所有者数を追い抜くと見られている。モバイル装置の主役交代が一気に進んでいるのだ。
米国におけるコンシューマー向け装置やサービスが、5000万人に普及するまでどれくらいの年月を要したかを示すグラフを掲げておく。

Telephone; 75 years
Radio; 38 years
Television ; 13 years
Internet ; 4 years
Facebook ; 3.5 years
iPod; 3 years
AOL ; 2.5 years
Draw Something app; 50 days
Angry Birds Space app ; 35 days
(ソース:by G. Kofi Annan)
次に、過去にさかのぼって代表的なサービスや装置について、米国での普及率の推移を示したグラフがAtlanticで載っていたので、紹介する。以下に示すNicholas Feltron氏作成のグラフとKarl Hartig氏作成のグラフで、共に興味深いグラフである。リンク先に飛べば、グラフを拡大表示できる。


Nicholas Feltron氏のグラフから、代表的なサービスや装置の普及率が50%に達した西暦は次のようになる。
Electricity: 1924
Cars: 1925
Radio: 1931
Stove: 1937
Refrigerator: 1942
Telephone: 1946
Washing machine: 1964
Dryer: 1970
Color TV: 1972
Air conditioning: 1973
Microwave: 1985
VCR: 1987
Dishwasher: 1996
Computer: 1996
Cell phone: 2000
Internet: 2001
Smartphones: 2012 (different source)
電気(電力サービス)は1880年代に開始しているが、米国の半数の人が電気を利用するようになったのは1920年代半ばであった。電話サービスは1870代から始まっているが普及率が50%を超えたのは、第二次大戦後の1946年であった。このように少し前まで、新しいサービスや装置の普及率が50%に達するのに、30年くらい要するのが当たり前であった。軍や企業向けで利用されていたコンピュータが、個人向けパソコンの出現で普及率50%に漕ぎ着けたのは1996年で、30年近くもかかった。
でも、のどかな時代は終わった。インターネットの普及などにより、グローバル市場化が一気に拡大し、スピードに追い立てられる時代に突入した。そして産業のソフト・サービス化も加速した。今や、評価の高かったり人気のあるサービスや装置の存在は、SNSやツイッターで世界中に瞬時に伝わっていく。「LINE」や「Angry Birds Space」 のようにアッという間に、5000万人や1億人のユーザーを獲得するサービスが次々と生まれてくるだろう。一方で一世を風靡した人気サービスや装置の多くが、いつの間にか消え去ることになりそう。
◇参考
・Most People Didn't Have A/C Until 1973 and Other Strange Tech Timelines(Atlantic)
・Google+ hit 50 million users today,in less than 3 months(Google+Mania)
・「LINE」、登録ユーザー数が世界5,000万人を突破(NHN)
・RADIO TOOK 38 YRS TO GET 50 MILLION USERS, ANGRY BIRDS SPACE TOOK 35 DAYS [INFOGRAPHIC](Trickle-Up)
・Getting Smart: U.S. Smartphone Population Reaches 110 Million Consumers(comScore Data Mine)