そうなると,出てくるのが脱一極集中の声。Fred WilsonやKeith Teareなどが,ブログの中で“De-portalization”を唱え始めている。
確かに,ここ数年の傾向として,インターネット市場がポータル的な特定サイトによって寡占化されてきた。先日のエントリーでも紹介したように,世界のインターネット市場の46%が,わずか5社で占められているという。世界のインターネットトラフィックも特定サイトに集中しがちであった。例えば,ComScoreの調査によると,米Yahooのサイトには1億3000万人が少なくとも月に一回は訪れている。トラフィックが集まるところに富も集まっていたのだ。
だが,潮の流れが少し変わってきている。昨年後半当たりから,巨大ポータルサイトのトラフィックが頭打ちになる一方で,ユーザー参加型サイトが急成長してきたからだ。Keith Teareのプレゼン写真が面白い。つい最近までのインターネットの光景は,高くそびえる特定の山頂だけが目立っていた。それが今では,小高い丘が次々と生まれているというのだ。
要するに,供給者主導で展開しているポータル系サイトにトラフィックが集中していたのが,ユーザー主導の参加型サイトへと分散していると主張しているのである。それに伴い,売上(富)も分散していくというのだ。
中央主導のポータル系サイトは巨大な広告ネットを武器に売上を伸ばしてきた。ところが,そうした広告ネットに頼らなくても,急成長しているパブリッシャーが生まれているという。ブログ出版のTechcrunchがそうで,先月は18万ドルの売上高を達成した(SF Chronicle)。
ポータル系サイトも,パーソナライズドページなどを用意し,ユーザー主導をアピールしながら,トラフィックの流出を防ごうとしている。だが,最近は,ポータビリティーのあるwidget(アクセサリーアプリケーション)が登場しており,ポータルサイトで提供していたサービス(アプリケーション)を手軽にブログやSNSに置けるようになってきた。widgetの普及も,トラフィックの分散化を加速させるというのだ。
これらの主張は,脱一極集中への願望がこもっている。インターネットの主舞台が,中央主導のポータルから,ユーザー主導のソーシャルプラットフォーム(SNSやブログネットワークなど)へ移ってきているということか。
◇参考
・De-portalization and Internet revenues(edgeio)
・Platforms Are The New Portals(Publishing 2.0)
・巨大ポータルサイトが頭打ちで,ユーザー参加型サイトが急成長(メディア・パブ)
・The De-Portalization of the Internet (aka What I Would Do If I Were Running Yahoo!)(A VC)