日本のヤフーは強い。というか強すぎる。
ニュースサイトもそうだ。伝統的なメディアサイトを差し置いて,トップに君臨している。米国ではYahoo! NewsがCNN,MSNBCと激しく競っており,昨年11月のユニークオーディエンス数でも,Yahoo! Newsがトップの座を守っていた(Nielsen//NetRatingsより)。事実上の世界ナンバーワン・ニュースサイトである。
日本はどうか。Yahoo!ニュース が桁違いに強い。今や月間ページビューが30億ページに達しているという。競争相手がいないと言ってもいいほどの断トツの人気なのだ。そのYahoo!ニュースがさらなる強化を図ることになった。先週から同サイトをリニューアルし,読者参加と外部リンクの機能を本格的に導入したのである。その狙いとは何なのかを探ってみた。
Yahoo!ニュースは,新聞社や出版社などのメディア企業から購入したニュース記事をYahoo!ニュースサイト内に掲載している。現在,パートナーとなるニュース提供社はメインストリームメディアが中心である。こうしたメディア企業のニュースサイトから集めたニュース記事を約2000本,毎日,アップしている。複数メディアからのニュース記事を,まとめてワンストップで閲覧できるのが最大の“売り”となっている。結果として,ずば抜けた集客力を誇っているのだ。
だが,なぜこの時期にサイトのリニューアルを実施したのか。ヤフーの宮坂学・メディア事業部長はこう説明する。今のままでは安住できなくなると見たからだ。大半のユーザーにとってはこれまで,同サイト内のニュースだけでも十分に用が足せていた。ところが,最近は変わってきた。2001年のバブル崩壊後のV字回復に乗って,ニュースコンテンツが急激に増えてきた。さらにブログなどのUGC(ユーザー生成コンテンツ)もすごい勢いで台頭している。もう,提携メインストリームメディアから調達する約2000本のニュース記事だけでは,十分にユーザーのニーズに応えられない心配が出てきたと言うのである。
そこで,読者参加型機能と外部(アウトバウンド)リンク機能を積極的に導入することになった。注目したいのは外部リンク機能の導入である。これは,これまでのYahoo!サイトの設計思想を覆す意味を持つからである。
Yahoo!のサイトは,ニュースサイトもそうだが,外部リンクをなるべく設けないことにしている。せっかく訪れた客を外に逃がさないためだ。単なるポータル(入口)ではなくて,Yahoo!サイト内で何でもかんでも用が足せるように仕組んでいるのだ。Yahoo!サイトが驚異的なページビューを達成できたのも頷ける。だから,Yahoo!ニュースも,ニュース本文をサイト内に取り込んでいるのである。ニュース本文を読むために,外部のニュースサイトに飛ばなくても済むようにしたのである。
いわば,Yahooサイトは巨大な鎖国であったのかもしれない。ユーザーも鎖国内の行動で満足できたのではなかろうか。だが,今やWeb2.0時代である。いくら巨大と言っても,サイト内のコンテンツだけでユーザーを囲い込むことが難しくなってきた。外部に優れたコンテンツがあれば,誘導するパス(アウトバウンド・リンク)を用意する必要がでてきた。こうした鎖国開放策は,保守的な米国新聞社サイトでも,昨年半ば当たりから一気に進み始めている。
Yahoo!ニュースで始まった読者参加型機能と外部リンク機能の拡充は,おそらくWeb2.0風サイトに変身する第一歩にすぎないと思われる。今回の読者参加型機能と外部リンク機能については,明日以降のエントリーで紹介する。
◇参考
・Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュースがニュースです!
・Top news sites for October (CyberJournalist.net)
・ 新聞に生き残りの道はあるか 新聞社サイト、アクセス伸びず(ITmedia News)
・新聞社系ニュースサイトをWeb2.0風に変身させる試み(メディア・パブ)
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