同社の2012年第4四半期/通年決算によると、同年第4四半期および通年のどちらも、前年(2011年)に比べ総売上高をアップさせている。第4四半期は年末の季節要因でいつも広告売上が膨らむが、プリント(新聞紙)広告売上はやはりダメで前年同期比で5.2%減と沈んだ。デジタル広告売上は同5.1%増と踏ん張ったが、広告売上全体では第4四半期も3.1%減の前年割れになってしまった。一方で、販売は同16.1%増と目覚ましい伸びを示し、広告売上げの落ち込み分を十分に補う売上高を達成した。販売売上高が急増したのは、有料のデジタル購読者数が増え続けていることに加え、新聞紙購読料を値上げしたことが貢献しているようだ。
*NYT社の2012年第4四半期/通年決算:単位:1000ドル
有料のデジタル購読者数は次のように推移している。
・2011年第2四半期:28万1000人
・2011年第3四半期:32万4000人
・2011年第4四半期:39万人
・2012年第1四半期:47万2000人
・2012年第2四半期:53万2000人
・2012年第3四半期:59万2000人
=56万6000人( NYTimes.com + IHT)+2万6000人(Boston Globe)
・2012年第4四半期:66万8000人
=64万0000人( NYTimes.com + IHT)+2万8000人(Boston Globe)
今年の決算で注目すべきことは、上の通年の売上高で示されているように、初めて販売売上高(circulation revenues)が広告売上高を上回ったことだ。NYタイムズを中心とした“News York Times Media Group”でも、やはり販売売上高(circulation revenues)が広告売上高を上回った。
*the New York Times Media Group の2012年第4四半期/通年売上高:単位:1000ドル
the New York Times Media Groupの売上高(ほとんど New York Timesの売上高)の内訳が、どのように変わってきたかを以下のように示す。かつては新聞紙広告に完全に頼ってきたが、これからは販売売上への依存が増していく。
今回の決算結果から、NYT社の展望が少しは見え始めているが、決して安泰とは言えない。広告売上げが下げ止まらないだけに、それを補うだけの販売売上を増やしていくには、しばらく今のペースでデジタル購読者数を増やし続けなけれならない。
それと、今回の決算で見過ごせないことがある。2012年は2011年に比べ週数が一つ多い。つまり2012年は1週間分の売上が上乗せされたことになる。例えば第4四半期は、2011年は13週分しかないのに2012年は一つ多い14週分となっている。そこで、2012年も13週分の売上高で計算すると、2012年第4四半期は増収ではなくて減収(0.7%減)となる。広告売上高も前年同期比3.1%減ではなくて8.7%減に、販売売上高は16.1%増ではなくて8.6%増になる。
◇参考
・The New York Times Company Reports 2012 Fourth-Quarter and Full-Year Results(NYT社プレスリリース)
・New York Times posts ho-hum numbers, slow digital growth(paidContent)
・New York Times Digital Business And CEO The Focus Of Earnings(Forbes)
・NYタイムズ社,広告依存から販売依存へ(メディア・パブ)
・The New York Times’ shifting model(Monday Note)
・The New York Times: Running faster and faster to stay in the same place(GIGAOM)