新聞は,購読者も減り広告も減り,斜陽産業の代表選手と思っていたのだが・・・・。
WAN(the World Association of Newspapers)の発表によると,新聞が初めて1万タイトルを突破し,世界的には今や新聞ブームという(Press Gazette より)。
世界の新聞発行部数は最近5年間で約10%も増えている。この1年間では2.36%も増えた。欧州は最近5年間で2.12%増とやや停滞していたが,この1年間では4.18%と急増したとのことだ。
WAN CEO のTimothy Balding は「この数字から明らかなように,新聞産業は健全で力強く,増え続ける競合メディアに対しうまく対応できている。実情を知らずして新聞の死を予測する風潮はおかしい」と息巻く。日刊の無料新聞紙の台頭も無視できない。無料紙の発行部数は,2001年の1200万部から2005年の2900万部へと,爆発的に増えている。欧州における有料新聞+無料新聞の総発行部数は,この5年間で約15%増になるという。
Baldingはさらに付け加える。世界の新聞産業は,1800億ドル規模であり,200万人以上の従業員が働いている。
WAN CEOの立場として,新聞産業が斜陽どころか成長していると主張したいのだろう。でも,新聞大国の米国はどう見ても息切れしている。世界の新聞発行部数が増えても,それに伴って売上高も増えているのだろうか。特に広告売上高はどうなっているのか。BRICsなどの国では,新聞部数が増えているかもしれないが・・・。
◇参考
・the World Association of Newspapers(Press Gazette )
2007年02月07日
この記事へのコメント
WANのプレス・リリースは私も昨日読みました。しかし、この楽天的過ぎる記事は、逆に新聞界ーとくに有料紙を発行している既存の新聞界ーが、危機とその困惑振りを隠したがっているという証左にしか受け取れない、皮肉な記事となっています。ご指摘のような点を分析すれば、部数が増えているといっても、無料紙および、おそらくは中国における新聞発行の急増が主たる要因と容易に推測できます。こうしたことにWANが正直に向き合う姿勢を見せない限り、有料紙の衰退傾向を食い止めることはできないのではないでしょうか。WANともあろうものが情けない、というのがこの記事の率直な感想でした。
Posted by 橋場 義之 at 2007年02月08日 12:54
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斜陽産業
Excerpt: メディア・パブ:新聞は斜陽産業じゃないWAN CEOのTimothyBaldingは「この数字から明らかなように,新聞産業は健全で力強く,増え続ける競合メディアに対しうまく対応できている。実情を知らず..
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