最近,ブログ検索エンジンTechnoratiを利用することが増えてきた。特にこのブログを書き始めて以来,ネタ探しやファクト情報の収集にはブログ検索サービスが欠かせない。最新のオンラインメディアやネット事情を調べる際,新聞などのマスメディアよりもブログなどのソーシャルメディアに接したほうが効率が良いからである。マスメディアの重要な記事もソーシャルメディア経由で知りえるので,なおさらだ。
このように,米国のホットなニュースやトレンドを調べる時には,GoogleやYahooのWeb検索とかニュース検索よりも,Technoratiなどのブログ検索に頼る機会が増えている。そのTechnoratiサービスについて,テクノラティジャパン・マーケティングマネージャーの山崎豊美氏から,基礎的なイロハを授かった。その教えを参考にしながら,同サービスを使って幾つかの機能を見直してみた。
Twitterをネタにしたブログエントリー,インフルエンサーが書きまくる
最初に,ブログ検索エンジンTechnoratiで,ホットな話題や,それについてのネット上での反応を調べてみた。例として,近頃急に米ネット界隈で話題になっている“Twitter”がどうなっているかを,Technoratiで探ってみた。
米Technoratiのトップページには,最新の検索キーワードのトップ10が掲示されているが,一昨日はTwitterが6位にランクされていた。一時的にしろ,米国のTechnoratiユーザーはGoogleやParis Hiltonよりも頻繁にTwitterを検索していたのである。ここでまず,Twitterのフィーバーぶりが読みとれる。
実際に,英語版Technorati(検索対象が英語ブログ)と日本語版Technorati(検索対象が英語ブログ)のそれぞれで,キーワードTwitterを入力して検索してみた。
Technoratiの検索エンジンの特徴としては,検索対象ブログをオーソリティーレベルでフィルタリングできることがある。次のような4レベルから選べられる。私がTechnoratiをよく利用するのは,このフィルタリング機能があるからだ。
ブログのオーソリティー・ランクは,どれくらいの数の外部ブログからリンクを張られているかで決めている。多くの外部ブログからリンクを張られているブログが,オーソリティーの高いブログとなる。インバウンドリンクを張っている外部ブログを,ここではリンクブログと呼ぶ。山崎氏によると,上の4オーソリティーレベルのリンクブログ数が永続的に固定されていないと言う。日米でも食い違う場合があるようだ。
実際にTwitterで検索した結果を見てみよう。英語ブログエントリーを対象にした検索件数Technorati Search: twitterは次の通り。
・any authority:21,346件
・a little authority:10,258件
・some authority:4,917件
・a lot of authority:1,195件
(日本時間:2007年3月15日15時半)
a lot of authorityブログのエントリーが1195件も検索されていた。下のグラフは,過去1ヶ月間に検索された件数の推移である。昨日は,1日で200件以上のa lot of authorityブログ・エントリーが検索されている。今週開催された国際音楽産業見本市SXSWに参加したインフルエンサー的なブロガーがTwitterを話題にしたエントリーを一斉に書きまくったためである。それが引き金となって,ネット上で多くのブロガーが議論し始めたようだ。
この結果この1週間,検索件数が爆発的に増えた。このような人気の高まったキーワードとなると,検索のオーソリティーレベルをa lot of authorityに設定しないと,検索件数が多すぎて手に負えなくなる。
それでは,日本での反応はどうか。日本語ブログを対象にした「twitter」のブログ記事検索結果は次の通りであった。
全部:140件
オーソリティ☆:92件
オーソリティ☆☆:27件
オーソリティ☆☆☆:3件
(日本時間:2007年3月15日15時半)
日本語版のオーソリティ☆☆☆は英語版のa lot of authorityに対応するが,この時のリンクブログ数は56であった。日本ではほとんどTwitterは話題になっていない。
キーワードTwiiterで検索した場合の,言語別ブログの検索件数は次のようになった。
英語:21,346件
スペイン語:561件
独語:557件
中国:362件
仏語:361件
日本語:140件
新しいサービスや技術が日本に伝わるのが遅いという現象は,よくあることだが。出足は遅れていても,Second Lifeのように,ある時期になると横並びで一斉に騒ぎ出すのがいつものパターンなので。
このように,ブログ検索エンジンでは,新しい話題の動きを,リアルタイムに近い形で追うことができるのでおもしろい。出荷直後の新製品や新サービスの反応などを調査するときにも,ブログ検索エンジンが役に立つ。
Technoratiの検索エンジンは魅力的なサービスが多いが,一方で粗っぽさも多く残っている。その点については,細かくなるので,「続きを読む」で。
◇参考
・トラフィックが大爆発した“Twitter”(メディア・パブ)
・インフルエンサーがブログ記事の玉石を振り分ける(メディア・パブ)
検索結果が安定していない
今回のTwitterを検索した範囲内でも,Technoratiの粗っぽさが目についた。ブログ検索は結果がリアルタイムで変化するため仕方ないのかもしれない。でも,そのぶれ方が大きいのは,やはり気になった。またレスポンスも,時間帯によって,かなり遅くなる。こうした現象が起こるのは,おそらく米国のサーバーシステムが過負荷状態になっているせいかもしれない。
例えば,英語ブログエントリーを対象にTwitterを検索した時に,上記エントリーで示しているように,検索件数が21,346件であったが,数分後,同じ検索を試みると,検索件数が17,000件台に減っていたりと。
オーソリティレベルの検索結果も不安定であった。日本語ブログエントリーを対象にTwitterを検索した時,オーソリティレベル☆☆☆と設定すると,次のように3件のブログが検索された。
リンクブログ数が56個以上のブログのエントリーが検索されていた。
続いて,オーソリティレベル☆☆と設定すると,27件の検索結果が得られた。ところが,オーソリティレベル☆☆☆で選ばれるべきブログエントリーが幾つか現れたいた。次のブログエントリーは192個のリンクブログを得ているので,オーソリティレベル☆☆だけではなくて,オーソリティレベル☆☆☆でも選ばれるべきである。こうした例は,他でも多く見られた。
その他,インデックス時間も例えば30分となっていたのが急に3日前に遡ったり,検索結果ページに同じブログエントリーが重複掲示されたり,日本語ブログを対象にしているのに中国語ブログエントリーが紛れ込んだりと,細かいバグが幾つか残っているようだ。
でも,ブログ検索エンジンにあまり厳密さを要求するのは酷かもしれない。厳密さよりも,粗っぽさがあっても新しいサービス機能を提供してくれるほうが,ユーザーにとって有り難いのかも。