ということで,今日は「クチコミの技術」と「テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか」を読み終え片付けることにした。
発売前のネットクチコミで勝負が決まる
◆「クチコミの技術」,
・著者:コグレマサト,いしたにまさき
・発行:日経BP社
・定価:1,575円(税込み)
・購入:日経BP書店,アマゾン
「クチコミの技術」は,ネットクチコミのお陰で,売れに売れている。それもそのはず,著者の二人は著名なブロガーで,本の中のクチコミ技術を著者自身が実践しているのだから。ヒットするのが当り前か。
本の内容については,共感しているブロガーによってアチコチで紹介されているので,もういいかな。それよりも,著者自身がこの本を売り込むために実施したクチコミの手法が面白そう。
ネットクチコミを成功させるには,やはり影響力のあるブロガーに取り上げてもらうことが,一番効果的だ。そのためには,ブロガーが飛びつきたくなるブログネタを提供すること。つまり誰よりも早く,特別の情報や体験をブロガーに提供することである。
そこで,新刊書の場合は,次の二つを実施することであろう。昨年あたりから,かなり浸透してきている。
1.影響力のあるブロガーに,納本時にすかさず献本する。
2.本のさわりの部分をPDFファイルで,ネット上で公開する。
どちらも,新刊書が書店に並ぶ前に実施することが肝だ。発売の1週間前あたりに献本すると,指名された何人かのブロガーは早く紹介しなけらばと思うはずだ。
PDFファイルでの公開は,出版元のやることで,なんとかなる。「クチコミの技術」でも発売の2週間前から,前書きと第1章のPDFファイル(kuchikomi.pdf)がネット上で閲覧できた。鍵は,影響力のあるブロガーへの献本である。この点,著者自身が,最も影響力のあるブロガーだから強い。コグレマサト氏のネタフルといしたにまさき氏の[mi]みたいもん!が,ネットクチコミの強力な発火点として使えるのだから。
そこで,発売の1ヶ月ほど前から,二人は自分のブログで,新刊書の予告を書きまくり,盛り上げていった。月間ページビュー100万を誇るネタフルで何度も薦められると,多くのネタフルファンは買わざるえない状況に追い込まれたはず。[mi]みたいもん!でも,発売前の3週間だけで,以下のエントリーを連発した。
3.8:「クチコミの技術」を執筆、そして発売されます!(2007/3/29発売予定)
3.13:「クチコミの技術」の出版に微妙に合わせたセミナーが開催されます。
3.19:" target="_blank">「クチコミの技術」公式ブログがスタート
3.20:クチコミの技術の見本が届いた!
3.23:クチコミの技術がAmazonランキングで鈍感力を抜いて、当たりも出たよ!
3.24:Dan the Speed King
3.26:『クチコミの技術』がamazonでジャンル別1位になりました。
3.26:『クチコミの技術』がamazonの総合ランキングで1ページ目に入りました。
3.29:クチコミの技術、書評ムービ−のプレイリストを作成&dan kodaiムービー大人気!
元気よく発火したところで,次に影響力のあるブロガーに献本して働きかける。納本日の20日に,あるブロガーミーティングがタイミングよく開かれ,著名なブロガーが集まっていた。当然のように,著者二人はホカホカの本を集まったブロガーに次々と手渡した。その結果,次の日から有力ブログのエントリーから,「クチコミの技術」の書評が相次ぎ発信されることになる。さらに,そのミーティングの当日,書評ブロガーとしても有名な小飼弾氏にも手渡し,その場で読まして印象談話を8分ほどのビデオに収め,Youtube にアップした。このビデオだけでも6000人以上が視聴した。YouTubeの利用は流石である。Video results for 'クチコミの技術' を見ると,12本もの関連ビデオが投稿されていた。
このように,“広告に頼らない共感型マーケティング”を発売前から実施することにより,書店に並ぶ前から,クチコミで広がることになる。発売前の27日頃には,アマゾンでビジネス書部門で1位になった(アマゾンでの先行販売を実施したことも効をそ奏した)。
以下は,「クチコミの技術」を取り上げたブログエントリー数の推移である(テクノラティ調べ)。いかに,3月29日の発売前から,ブログの世界でこの本が話題になっていたかが分かる。
(テクノラティジャパン)検索件数:551件,書店発売日:3月29日
ビデオ配信サービス担当者には必読の書
◆「テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか」
・著者:吉野次郎
・発行:日経BP社
・定価:1,575円(税込み)
・購入:日経BP書店,アマゾン
もう一つの「テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか」は,テーマがテーマだし,筆者がネットマーケッティングのプロでもないので,前書のようにクチコミで本の話題が広がることがあまり無かった。下のグラフでも分かるように,12月4日の発売前にはネット上でほとんど取り上げられていない。発売後にピークが一度現れただけで,多くの人には訴求しなかったようだ。せっかく良い本なのに惜しいなぁ。ということで,筆者を顔見知りであることもあって、ぜひこの本を薦めたい。
(テクノラティジャパン)検索件数:177件、書店発売日:12月4日
放送分野は閉鎖的な世界である。放送業界で当たり前のことでも,他業界の人には信じられないことが多い。ニューズレター「日経ニューメディア」の記者でもある筆者が,新鮮な目線で放送業界を足で歩いて得た生の情報を基にまとめている。個人的にもバラバラの知識がこの本で整理ができた。これまで放送業界に疎かった人で,ビデオ配信サービス事業に携わる人も多いはず。そのような人にぜひ読んでもらいたい。TVコンテンツに対して放送業界の人たちがなぜ頑なな行動を取るのか,米国では日本と違ってどうして番組制作会社が強いのか,など放送事業の基礎を整理して見直してみたはどうか。
クチコミを越えたクチコミってところでしょうか?
そのうちに悪用、またはIT接待ならぬ、裏金なんぞ……
変な方向性に行かないよう願いたいものです。
なかなかいい本もありますよ!
例えば 図書館のすぐれちゃん
とか?
参考までに!