モバイルシフトがうまく推移したお蔭で、フェイスブックの2014年1〜3月期の売上高が前年同期比72%増の25億200万ドルと快調に推移している。ウォールストリートのアナリストが予測していた23億6000万ドルを大きく上回っている。総売上の91%が広告売上高となっているように,広告に非常に高く依存している。その広告事業でもモバイルシフトが急激に進んでおり、今四半期の広告売上高の59%までもがモバイル広告からの収入で占められるようになった。
フェイスブックの利用環境は3年近く前まで、デスクトップ(PC)が中心であったが、2年ほど前から猛烈な勢いでモバイルへのシフトが進んできた。世界の月間アクティブユーザー数(MAU)は前年同期比15%増の12億7600万人となっているが、そのうち79%の10億800万人はモバイル端末からもアクセスしている。モバイルMAUが10億人を突破したのだ。全ユーザーのうちモバイルユーザーの割合が、2年前の54%、1年前の68%、そして今期の79%と急増してきているのだ。
*フェイスブックの月間アクティブユーザー数
*モバイル利用の月間アクティブユーザー数
フェイスブックのグローバルのMAUは今も増え続けている。最初のグラフでもわかるように、欧米地域で伸びが鈍化している一方で、アジアなどの新興国地域で急成長しているからだ。特に新興国での特徴は、デスクトップ(PC)と有線によるインターネット利用をバイパスして、最初からモバイル環境によるインターネット利用から入る人が多いことである。このため、モバイル端末からしかフェイスブックを利用しないユーザーが、次のグラフのように一気に増え始めてきた。現在3億4100万人がモバイルオンリー・ユーザーで、この1年間でほぼ倍増した。(ただし別の見方をすれば、PCからもフェイスブックを利用しているユーザーが世界で9億3500万人も存在していることになる)
*モバイル端末からしかフェイスブックを利用しない月間アクティブユーザー数
モバイル環境での利用が増えるに伴い、売上もモバイル分野へのシフトが進む。全売上高の9割以上を占める広告売上高が急成長しているのも、モバイル広告がけん引しているからである。(Q4'13が多くなっているのは年末の季節要因のため)
*広告売上高の推移
広告売上高のうちモバイル広告が占める割合は以下のように急激に増えている。1年前には30%であったのが、今期は59%に跳ね上がっている。売上高で見ると、3億7400万ドル(Q1'13)から13億3600万ドル(Q1'14)へと爆発的に増えている。
*フェイスブックの広告売上高のうちモバイル広告の占める割合
(ソース:GIGAOM)
ただしグローバルで見ると、これからも成長し膨大なユーザー数も抱えるアジアなどの新興地域市場における売上高は、相対的に高くない。つまりARPU(ユーザー1人あたりの月間売上高)は低い。逆に、アジアなどに比べユーザー数が少なく成長も鈍化している北米や欧州市場での広告売上高は大きい。以下の地域別のARPUの推移を見ても、ARPUが際立て高い北米市場においては、四半期広告ARPUがこの1年間で2.86ドル(Q1'13)から5.16ドル(Q1'14)と倍近くも増やしてきている。これからも北米や欧州市場において、ユーザー数が頭打ちであっても広告売上高を増やしていかなければならないだろう。それを後押しするためにも、近くフェイスブックがモバイル版アドネットワークを立ち上げると見られている。4月末に開かれるFacebook開発者向け会議で計画が発表されるようである。
*地域別のARPU(ユーザー1人あたりの月間売上高)
◇参考
・Facebook Quartely Earning Slides Q1 2014(Facebook)