このMySpaceの独走に待ったをかけようと,2番手のFacebookが大きな手を打つのではとの話が,WIREDなどで報じられている。その手とは,ユーザーのプロフィールページに外部のオーディオ,ビデオなどのコンテンツを自由に組み込めるようにする開放策である。つまり,外部のWidget(ウィジェット)をプロフィールページに貼り付けることを認めるのではとの憶測である。
Facebookはもともと学生などに限定したSNSで,ハデハデしさはないが学生向けに特化し安心して使えるため大学生や高校生に人気が高い。プロフィールページへの外部Widgetの組み込みを認めないため,非常にスッキリした作りになっている。それが,外部Widgetの貼り付けを認めるとなると,180度の方向転換である。
一方,MySpaceのプロフィールページは,YouTubeのビデオ画面を貼り付けることができたりと,自由にカスタマイズできるのが特徴である。この開放策が功を奏して,MySpaceが爆発的に会員を増やしてきたとも言える。でも,この開放策が集客には効果を発揮したが,集金には足を引っ張っているのでは・・・。こうマードックが考えたようだ。そこで,MySpaceは開放策の見直しに入った。そして最近,動画・写真共有サイトPhotBucketの動画Widget(ウィジェット)の締め出しを,2週間ほど前に敢行したのである。
プロフィールページのカスタマイズに関して,MySpaceが開放から閉鎖路線に,逆にFacebookが閉鎖から開放路線に切り替わるかもしれないのだ。これが進むと,SNS市場の勢力図が激変するかもしれない。
上の路線変更が実施されると,今後の展開はどうなるのか。見方は二つある。一つは,閉鎖に向かうMySpaceから開放に向かうFacebookにドッとユーザーが流れるという見方だ。でもその流れが大きくなるとなれば,MySpaceも閉鎖路線にブレーキをかけることになろうが。
もう一つは,Facebookの開放路線がうまくいかないという見方である。Facebookの良さは,プロフィールページがシンプルでナビゲーションにすぐれていることである。それなのに,好き勝手に外部Widgetが貼り付けられていくと,Facebookの良さを失い,逆にユーザーのFacebook離れを引き起こしかねない。
いい機会なので,MySpaceとFacebookの最近の利用推移も見ておこう。以下のCompeteとAlexaの両データを見ても明らかなように,MySpaceとFacebookの差は大きい(クリックで拡大表示可能)。Competeのデータによると,3月の訪問者数はMySpaceが約6000万人に対し,Facebookは1500万人弱である。だが,1年前に比べると,MySpaceが38%増に対し,Facebookは55%増である。今年に入って,MySpaceの利用者数はほとんど増えていない。
Facebookは,今では学生以外でも招待なしで会員になることができる。さらにプロフィールページの開放策を採れば,弾みが付いて,ひょっとしたら大逆転の可能性が生まれるかもしれない。
*月間訪問者数の推移,ソース:Compete
*Daily Reachの推移,ソース:Alexa
このエントリーを投稿しようとしたら,TechCrunchから,“PhotoBucket Back on MySpace (I Want To Know The Backstory)”の記事が飛び込んできた。2週間前に実施したPhotoBucketの締め出しを,MySpaceが解除したからだ。これまでも,MySpaceは特定のWidgetに対して,締め出し/解除を繰り返してきたが・・・。ユーザーの反発を招く閉鎖路線に突っ走るのに,迷いがあるのだろうか。TechCrunchの記事にあるように,“I Want To Know The Backstory”である。
◇参考
・Note to Everyone: MySpace Is Not the Web. Get Ready to Move On(Wired)
・Facebook Widgets(Mashable)
・MySpaceの外部ウィジェット締め出し,ブロガーから強い反発が(メディア・パブ)
・米国のWeb2.0サイト,トップ25はどこか(メディア・パブ)
・For Social Networks, Generating Revenue a Struggle(MarketingVOX)
・PhotoBucket Back on MySpace (I Want To Know The Backstory)(TechCrunch)
・Videos working on MySpace again!(Blog.Photobucket.com)