広告ビジネスの大きなトレンドは明白である。伝統的な4媒体広告からオンライン(デジタル)広告へ。そのオンライン広告もデスクトップ広告からモバイル広告へ。グローバル時代においては、このトレンドは先進国だけではなくて新興国でも同時進行している。先進国ではステップを踏んで進行していくが、新興国では中抜きして先行してしまうことも起こっている。
でも、主流であった4媒体広告や、オンラインのデスクトップ広告も、成長率が鈍化したり微減しているが、グローバルな広告費のシェアで見れば、今でも主流の座を降りたわけではない。一方のデジタル広告やその中でのモバイル広告は急成長の真っ只中にあり、広告ビジネスの牽引役を演じているのは間違いないのであるが、世界の広告市場のシェアからするとまだ主流と言えない。
今年のグローバル広告費は、Magna Globalによると5160億ドルとなる。別の調査会社のZenithOptimediaがはじいた予測では5240億ドルと、前年比5.4%増の高成長を期待している。その中でデジタル広告の躍進が目立ち、今年は200億ドル増えて1400億ドルに達すると、Magna Globalは見ている。全広告の1/3近くが、デジタル広告が占めることになる
このような広告産業のトレンドを俯瞰できるグラフを、DIGIDAYがまとめてくれていたので、紹介する。時間的な推移と定量的な規模感がつかめる。
*広告のデスクトップ広告とモバイル広告のシェア推移
爆発的なモバイル広告に比べ、デスクトップ広告はシュリンクしているように見える。シェアは確かに縮小しているが、今年のデスクトップ広告費は前年比9%増と、成長を続けているとMagna Globalは見ている。そのデスクトップ広告を、サーチ、ビデオ、ディスプレイ、ソーシャルに分類して、それぞれの広告費の成長率の推移を示したのが、次のグラフである。デスクトップのビデオ広告やソーシャル広告は20%前後の高成長率を示し、来年にかけてさらに成長率をアップする勢いである。
*デスクトップ広告の成長率
ただし、デスクトップのディスプレイは、マイナス成長に落ち込んでいる。プラス成長に戻る気配はない。このディスプレイ広告の代替となる広告として、またモバイル広告に適した広告として、登場してきたのがネイティブ広告である。デジタル広告の新風として期待されているのである。
新風と言えば、この2〜3年のプログラマティック広告取引の成長もすさまじい。Magna Globalによると、グローバルなプログラマティック費は今年は前年比37%増の1840億ドルにも達する。特に米国が先行しており、米国ではデジタル広告の33%はリアルタイムビッディング(RTB)による。グローバルのプログラマティック費の予測は次の通り。
*プログラマティックの推移
最後に、メディア別のグローバル広告費のシェアを、ZenithOptimediaのデータでグラフ化したのが次の図である。2013年と2016年(予測)を示している。TV広告のシェアは微減しているが、まだまだ広告の王様の地位を譲りそうもない。
*メディア別広告費
◇参考