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2014年07月12日

BuzzFeed風編集で人気急上昇の女性誌「コスモポリタン」サイト、ネイティブ広告で収益アップを

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 Cosmopolitan(コスモポリタン)誌のサイトが、7月8日に大幅に刷新した。米国の大手雑誌社 Hearst Magazinesは、旗艦媒体でもあるCosmopolitan誌を皮切りに、同社の有力雑誌のWebサイトを、モバイル/ソーシャル時代に対応したサイトに衣替えしていく。

図1

CosmopolitanSiteNew20140708.png

 Cosmopolitan誌の新サイト(http://www.cosmopolitan.com/)のホームページ画面を以下に掲げる。記事コンテンツや広告の見出し/イメージをタイムライン(ストリームライン)で流していく今風のデザインになっている。各記事は何時間前に投稿されたかが示され、もちろん代表的なソーシャルメディアでシェアできるようになっている。各カテゴリー別のトップページや各記者のアーカイブでも、同じタイムラインのデザインを採用している。また各ページのナビゲーションバーも分かりやすい。WebデザインはCode and Theory (http://www.codeandtheory.com/)が請け負った。


図2
Cosmopolitan20140710a.png


  また広告枠も、タイムライン内の記事コンテンツ枠と同じ枠を利用する。読者に対して、編集記事と同じように、広告にも目が留まるようにしていく。「MARKETPLACE」のタイトルが付けられた広告枠を適当に配し、そこにはCosmopolitanユーザーが関心を寄せるトピックス名を複数、掲載していく。その中の特定のトピックスをクリックすると、その検索結果としてスポンサードリンクが示される。またCosmopolitanサイト内のそのトピックス関連記事も紹介されていた。これは、今はやりのネイティブ広告である。タイムラインでは頻繁に「MARKETPLACE」が現れるが、掲載するトピックスはローテーションで変えていく。このネイティブ広告「MARKETPLACE」については、loglyブログの記事で詳しく紹介。


図3

Cosmoplolitan20140710b.png



 さらに、スポンサードコンテンツも編集コンテンツ枠と同じデザインやスペースで組み込んでいる。広告主のためにCosmopolitanが制作することもあり、たとえば、以下のタイムラインで現れた“COSMOPOLITAN + Sally Hansen”と明記された記事は、ネイル用品メーカーのSally Hansenがスポンサーの広告記事である。これは署名記事となっており、Cosmopolitan.comの人気編集記者であるCarly Cardellino氏がまとめたネイルアートの記事。彼女は毎日のように編集記事を投稿しているが、時折、こうしたスポンサードコンテンツも執筆しているのだろう。ファッション関係のコンシューマー雑誌ともなると、編集と広告の境界があいまいにならざる得ないのか。Cosmopolitan.comのスポンサードコンテンツの詳細は、こちらの記事を参照。

図4
CosmopolitanNativeAds201407a.png


  ところでCosmopolitanサイトはこの1年間で、目覚ましい成長を遂げてきた。月間ユニークビジター数が今年5月に3000万人を達成、1年前の1000万人から3倍に膨れ上がった。またモバイルデバイスからのアクセスが急増したのも特徴で、ページビューの69%はモバイルユーザーからであった。2012年の約33%に比べて、いかにモバイルシフトが進んだかがわかる。

 このCosmopolitanサイトの急上昇には仕掛人がいた。10か月前にCosmopolitan.com編集に就いたAmy Odell氏である。彼女は、BuzzFeedサイトに727本のバイラル記事を投稿してきた人気ブロガーで(投稿記事のアーカイブはこちら)、BuzzFeed Fashionも立ち上げてきた。バイラルメディアの主流であるリスト記事(listicle=list+article)の執筆/編集を得意としている。彼女はCosmopolitan.com編集の責任者として、またリスト記事のライターとして大車輪で活躍しているのだ。ちなみに図1に加えて図3の一番上の記事も、彼女の投稿記事である。3月に執筆した「18 Signs You’re With the ManYou Should Marry」では45万を超えるシェアを得ている。

 彼女が編集に加わった影響で、Cosmopolitan.comの記事はソーシャルメディア上で一気に拡散するようになり、特にFacebookからの参照トラフィックが急増するようになった。新しいサイトを見ても、BuzzFeed風のリスト記事が満載である。彼女のチームはコンテンツの更新や組み換えのスピードアップを実現するようになり、毎日のコンテンツ投稿数も20%アップし、一日当たり45本の新しい記事を投稿できるようになったと自慢する。

 Cosmopolitan.comの勢いが、Hearstの他雑誌サイトにも乗り移り、Hearstの雑誌サイト(18サイト)の総ユニークビジター数は月間で1億人を突破したという。それを後押したのがソーシャルメディアからの参照トラフィックである。中でも貢献したのは、Facebookからのトラフィックの割合が急増したことで、1年前の4%から25%にも跳ね上がった。

 Cosmopolitanから始めた新しいパブリッシングプットフォームは、Hearstの全雑誌サイトで採用していく。Cosmopolitanの次はElle、その後はEsquireの予定。


◇参考
・米女性誌「コスモポリタン」のサイト、新装デジタルプラットフォームでネイティブ広告にまい進(loglyブログ)
・Hearst Magazines Digital Media Introduces New Publishing Platform(newswire)・
・Welcome to the Sexy New Cosmopolitan.com(Cosmopolitan.com)
・Why Hearst Laid Off 'Cosmo' and 'Elle' Web Editors(Mashable)
・Cosmopolitan.com Gets a Makeover(WWD)
・HEARST DIGITAL'S NEW PUBLISHING PLATFORM AIMS TO BE AN ADVERTISER'S DREAM(Fashionist)





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posted by 田中善一郎 at 11:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 出版 雑誌
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