米国の新車(軽トラック含む)の販売台数は今年、1,630万台に達すると予測され、景気後退前の水準に復活する見込みだ。産業別で2番目に広告売上規模が大きい自動車広告費も当然のように増えており、来年も更なる大幅アップが期待されている。その中で見逃せないのが、自動車ディーラーが出稿する広告である。ローカルのメディアにとって、最も力を入れて取り込みたい広告であるのだが・・・。
自動車ディーラーの広告はこれまで、ローカルの新聞やラジオ、それにTVといった伝統的マスメディアを支えてきた。自動車ディーラー広告費のメディア別シェアを振り返ってみると、2000年ころには新聞が50%を超え、それにラジオとTVを加えると80%も占めていたのだ。その当時、オンラインに代表されるデジタル広告のシェアがわずか5%しかなかた。それがデジタル広告が伝統的マスメディアのシェアをジワジワと蚕食していき、昨年(2013年)にはついに50%も占めるようになった。さらに今年は57%、来年は67%と、自動車広告のデジタルシフトは止まりそうもない。
これらのデータは、Borrellが発行した「2014 to 2015 Automotive Advertising Outlook」によるものである。そのグラフ化した図を以下に掲げる。
図 米国の自動車ディーラー広告費のメディア別シェア
(図のソース:NEWSOSAUR)
Borrellは、米国のディーラーが来年、広告費に前年比7%増の277億ドルをつぎ込むと見ている。そこで注力するのはオンライン広告費で、前年比27%増の151億ドルに膨らむと予測している。このようにディーラーが広告予算を増やすにもかかわらず、一方で新聞紙離れを一段と進め、2015年の新聞紙広告費を21.4億ドルに縮小させると見られている。これは前年に比べ27%減で、8億ドル分が減ってしまうことになる。メディア別シェアでも初めて10%を切る。
デジタルシフトの勢いは、自動車ディーラーのTV広告予算にも及びそうだ。同じようにBorrellの予測でも、来年のTV広告費は今年に比べ11%減って、13億ドルになってしまう。メディア別シェアも新聞と同じく10%を切る。
◇参考
・Digital clinches control of local auto ads(NEWSOSAUR)
・Half Of Automotive Advertising To Shift To Digital(MediaPost)
・Dealerships' newspaper ad spending forecast to dive(Automotive News)
・自動車販売台数速報 米国 2014年(MARKLINES)