ほとんどの雑誌社は、雑誌ブランドごとに有力なソーシャルメディアに公式ページや公式アカウントを設けている。そうした雑誌ブランドの公式ページ/アカウントおけるいいね!数/フォロワー数を集計しとりあえず電子版のアクティビティーを見ていこうとしているのだろう。このほど10月分の最新データが、"Social Media Report"として公表されたので紹介する。代表的なブランドである166誌のそれぞれについて、ソーシャルメディアでのアクティビティーが示されている。ソーシャルメディアには、Facebook、Twitter、 Google+、Instagram、それにPinterestの5サイトを対象とし、いいね!数/フォロワー数などのアクティビティー数が計数されている。
最初のグラフは、5つの各ソーシャルメディアにおける、いいね!数/フォロワー数(Likes/Followers)の多いトップ10誌のランキング表である。米国の有力老舗雑誌が上位に名を連ねている。
次は5ソーシャルメディアのいいね!数/フォロワー数総計のランキングである。トップ25誌までを掲げている。National GeographicはPinterestを除く有力ソーシャルメディアのすべてでトップとなっていた。Timeは4月の再出発以降トラフィックを急増させており、総合ランキングで2位にランクされた。3位に付けた男性誌PlayboyはFacebookフレンドリーにするために8月にWebサイトを衣替えしたのが功を奏したという。硬い経済誌のEconomistが4位に顔を見せているのも注目したい。
いいね!数/フォロワー数の166誌総計を、ソーシャルメディア別に計数すると、次のようになる。やはりフェイスブックでのアクティビティーが最も活気があり、1億9800件と全体の約半分を占めていた。
次は、いいね!数/フォロワー数の月間伸び率である。9月と10月の伸び率である。写真を売りにしている雑誌が多いのか、Instagramの成長ぶりが際立った。
参考までに、いいね!数/フォロワー数がずば抜けて多かったNational GeographicのFacebookページのスナップショットを以下に載せておく。
バイラルメディアなどの新興のネットパブリシャー・サイトでは、トラフィックの主流がソーシャルメディアからの流入トラフィックになりつつある。つまり読者がメディアサイトのコンテンツを見つける場がFacebookなどのソーシャルメディアに移ってきており、また当然のようにコメントなどのやり取りもソーシャルメディアで済ませるようになってきた。追うように伝統的な新聞サイトも今年に入って、ソーシャルメディアからの流入トラフィックを増やす施策に注力し始めている。英Guardianも成功事例である。一方これまでソーシャルメディア対策が今一つ不透明であった雑誌サイトも、米雑誌協会の後押しもあって、読者との接点の場としてソーシャルメディアを重視していこうとしているのだ。ただ、公式ページや公式アカウントのいいね!数/フォロワー数が必ずしもメディアサイトのホームページへの流入トラフィックに連動するわけではない。それでもソーシャルメディアからの流入トラフィックを急増させた雑誌サイトの事例報告が、出始めている。たとえばCosmopolitanやHarper’s Bazaarなどを擁する 大手出版社のHearst Magazinesは、Facebookからの流入トラフィックの割合を1年間で4%から25%に増やした。
◇参考
・Study: Facebook the social platform of choice for magazines(CAPITAL)
・How Hearst learned to play with emotions to drive Facebook traffic(Digiday)
・Publishers introduce new metric for magazines(CAPITAL)