米国の調査会社eMarketerが発表した世界の小売Eコマース売上高の国別予測を、グラフで見てみよう。これは、トップ10の先進国の売上高推移である。中国の売上高の伸びが際立って大きく、2018年には米国などの残り9カ国の売上高総計と肩を並べそうだ。2019年には先進9カ国が束になっても、中国の市場規模には追い付けなくなりそう。
図1 世界トップ10カ国の小売Eコマース売上高予測(旅行やイベントチケット販売は含まれていない)
(ソース:eMarketer)
世界トップ10カ国における、2013年および2018年(予測)の小売Eコマース売上高を、eMarketerが次のようにはじき出している。
図2 2013年と2018年(予測)の国別小売Eコマース売上高。単位は10億ドル
(ソース:eMarketer)
2013年の売上高は中国が3158億ドルと、既に米国を抜いてトップに立っている。それでも、その他の先進9カ国の売上高を総計すると5616億ドルとなっていた。ところが、中国の成長率は2013年が47%、2014年が35%と群を抜いて高く、2018年の売上高は1兆ドル(10,113億ドル)を突破する見込みである。2018年の先進9カ国の売上高総額が10,251億ドルなので、図3のようにほぼ肩を並べることになる。2018年には中国の売上高が、全世界総計の40%以上を占めるとeMarketerは見ているのだ。その時の日本の市場規模は、中国の約1割となるのか。
図3 中国 対 先進9か国
(ソース:eMarketer)
今回のeMarketerの発表では、世界の小売売上高の総額および年成長率の推移も示されていたので、それも紹介しておく。今年は前年比6.1%増の22.5兆ドルとなる。
図4 世界の小売売上高の推移。単位は兆ドル
(ソース:eMarketer)
小売売上高の総額の中で、オンラインの小売Eコマースがどれくらい占めているかを示しているのが、次の図である。 棒グラフが全世界のEコマースの売上高で、青の線グラフは小売売上総額の中でEコマース売上高の占める割合を示している。2014年のEコマースの売上高は1兆3160億ドルで、全小売売上高の5.9%となる。2018年には2兆4890億ドルとなり、全小売売上高の8.8%を占めるようになる。オンラインの成長率が高いが、当分は小売り全体の10%に届きそうもない。小売りの世界はオフラインが中心であることに変わりがないが、国や商品分野によって程度の差があるものの、オンラインシフトが進んでいるのも間違いない。また、オンラインとオフライン小売りの連携も欠かせなくなっている。
図5 世界の小売Eコマース売上高の推移。単位は兆ドル
(ソース:eMarketer)
中国は、Eコマースの売上高が大きいだけではなくて、小売ビジネスの中でEコマースの割合が高い国であることも見逃せない。次の表は、全小売売上高の中でEコマース売上高の占める割合を示している。割合の高いトップ10カ国を取り上げている。
図6 全小売売上高の中でEコマース売上高の占める割合
(ソース:eMarketer)
◇参考
・Retail Sales Worldwide Will Top $22 Trillion This Year(eMarketer)