SNS,動画共有サイト,写真共有サイト,ソーシャルブックマークサイトなどのソーシャル系サイトは,米国では極めてオープンである。Web2.0サイトと呼ばれるのも,そのためだ。Widgetの貼り付けを容認したり,WebサービスAPIを公開している。こうしてお互いにトラフィックを誘導しあうことにより,ページビューも爆発的に増えてきたと言える。
これまで,米国のソーシャル系サイトはお互いwinーwinの関係を築いてこれたのだ。ところが集客狙いからマネタイズの段階に入るに従い,一部に利害関係が顕在化してきた。
そして,約1ヶ月ほど前に,MySpaceが突然,MySpace内でのPhotBucket動画締め出しを敢行したのだ。PhotBucketは動画写真共有サイトで,今や,FaceBookを追い抜き,MySpaceとYouTubeに次ぐ商用ソーシャル系のビッグ3にのし上がってきた人気サイトである。そのサイトを締め出すとなれば,当然,ユーザーから反発が噴出するのは明らか。でも動画広告事業を大きな収益源として育てたいMySpaceとしては,PhotBucketの存在は煙たくなり,ついに締め出すことになったと思われた。
ところがその2週間後に突如,MySpaceはPhotBucketの締め出しを解除したのだ。ユーザーの反発を招く閉鎖路線に突っ走れなかったためと見られてはいた。だが,その時から,締め出しと解除に至る一連の行動は,最初からPhotBucket買収を狙った策略と観測されていた。MySpaceに高く依存していたPhotBucketがMySpaceから締め出されると,企業価値が急落するのは明らか。そうでなくても,トラフィック急増でサーバー/回線費用が嵩み,経営的に厳しくなっていた。シナリオ通りに,MySpaceに買収されたと言うことか。
MySpaceのPhotobucket買収を最初にレポートしたのは,シリコンバレーのゴシップブログとして有名なValleywagのようだ。MySpaceの親会社はNews Corpである。マードックは,Dow Jonesの買収を仕掛けたり,Photobucketを獲得したりと,大忙しである。インターネット時代においても,メディア王として居座るのかな。
◇参考
・ When customers aren't customers(Valleywag)
・巨人MySpaceに挑むFacebook,大逆転のために打つ手とは?(メディア・パブ)
・MySpaceの外部ウィジェット締め出し,ブロガーから強い反発が(メディア・パブ)