だが,フィードで全文を配信しているブログが多い。私は,当たり外れが少なく是非モノのブログだと,RSSリーダー(Bloglinesを使用)で全文を読むようにしている。作業効率が高いからだ。そのため,元のブログにアクセスすることはほとんどなくなる。でも,信号対雑音比が高くないRSSフィードでは,最初から全文を見たくない。読みたい記事を探すために,見出しと要約(時には見出しだけ)で素早く判断したい。
では,ニュースフィードや商用ブログのRSSフィードはどうだろうか。RSSフィードで配信する大きな狙いは,Webサイトへの集客効果を高めることである。記事全文をRSSフィードで送るなんて,とんでもないことなのだ。RSSリーダーで記事全文を読まれてしまい,そこで完結されては困ってしまう。Webサイトのページビューが減るだけに終わってしまう。要約にとどめたRSSフィードを配信するだけでも,ページビューが減るのではと心配しているメディアサイトも存在するくらいだから。
ところが,米出版社の一部が,RSSフィードで全文を配信しはじめたのだ。RSSフィードに入れ込むコンテンツとして,「見出し+抜粋」で済ませるのか,それとも「見出し+全文」まで盛り込むべきか。実は,広告ビジネスとも絡み,面白い論争ネタになりそうである。
米国の先進的なブログ出版社のGawker Media も,RSSフィードによる全文配信を試みている。RSSフィードとして,次の2種類を用意して,ユーザーに選ばせている。
・RSS 2.0 Full Content (ad-supported)
・RSS 2.0 Partial Content (ad-free)
つまり,前者だと,ブログ記事そのものをRSSリーダーで読むことができる。その代わり,広告も付いてくる。後者は記事全文を読むべきかを判断するのに最低限必要な抜粋だけで,目障りな広告は外している。二者択一はスマートなやり方ではある。
IDGのIT誌InfoWordのサイトでも,RSSフィードによる全文配信を始めた。早速,Bloglinesで登録して見てみたが,各ニュース記事(全文)にちゃっかり広告が出ていた。広告主は,IBM,Microsoft,OracleといったメジャーなIT企業である。
RSSフィードの“抜粋 vs 記事全文”については,もう少しメリットやデメリットを整理していきたい。
◇参考
・InfoWorld Putting Full Stories in RSS Feeds(paidContent.org)
・RSS ads are now 2 years old -- time to push the envelope again (Matt McAlisterのブログ)