先ほど,the World Association of Newspapers(WAN)のサイトを覗くと,次のような掲示が出ていた。
・新聞は1800億ドル産業である
・毎日,14億人が新聞を読んでいる
・1万1000種以上の有料紙を発行している
・従業員数は約200万人である
・広告メディアとしては2番目の市場規模である
世界レベルで見ると,すごいメディアである。
3日から6日まで,南ア連邦で第60回世界新聞会議(World Newspaper Congress)が開かれていることもあって,WANから新聞を元気づけるデータが次々と出てきている。
・2006年の世界の有料新聞発行部数は前年比2.3%増
・売上高は過去5年間で9.5%増
・有料紙の広告売上高(2006年)は前年比3.8%増で,2002年に比べ15.8%増
・フリー紙を加えると,新聞発行部数は前年比4.6%増で,2002年に比べ14.8%増
世界市場では,確かに新聞は衰退産業ではない。
問題は米国である。北米の新聞発行部数は前年比1.9%減で,過去5年間で5%以上も落っこちている。やっぱり,米新聞業界は厳しいのだ。
◇参考
・Newspapers flourish in Internet age (The Peninsula On-line,via AFP)
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このメディア・パブでは米国の新聞業界が厳しい状況にあることをしつこいほど書いてきました。そこでたまには,米国を離れて,世界で見ると新聞業界が必ずしも衰退していないことも伝えたかったのです。どこかのエントリーでも触れたと思いますが,中国とインドで新聞はこれからもしばらく伸びると見ています。WANの2年くらい前のデータで,日刊新聞の発行部数は1位が中国,2位がインド,3位が日本でした。人口も中国が13億人強,インドは11億人強。でもインターネット普及率は中国は10%,インドは3.5%です(Internet Usage Statsin Asia)。米英のように,成熟産業の新聞がネットの影響で勢いを失っている先進国も増えていますが,一方で中国やインドのような大国では,まだ新聞紙が伸びる余地があると推測したのです。確かに,米新聞産業が世界の新聞産業をリードしているのかもしれません。その米新聞産業が落ち目だから,世界の新聞産業がダメとは言い切れないし。
他産業でも,このような事例があるのでは。例えば,石炭産業は米国では衰退産業ですが,世界的には豪州などが増産しており,世界的には成長産業かもしれませんし。