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2016年10月30日

「分散型メディア」への大幅シフトでトラフィックが急増、 月間ユーザー数が3600万人を超えたテック系ニュースサイト

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VergeFacebook.png
図1 The Vergeのコンテンツ。左は自社のWebサイト(theverge.com)上のコンテンツ。右はFacebook上のコンテンツ。Facebookページとして、中核のThe Vergeに加えて、今年4月にガジェットブログのCircuit Breakerを立ち上げ、動画を中心にしたコンテンツを投稿。


  ニュースメディアを取り巻く環境が激変している。急速に進むモバイル化とソーシャル化を背景に、分散型メディアが定着してきた。特に際立つのは、分散配信される動画ニュースが爆発的な勢いで増えていることだ。また分散型を支える新しい仕掛けのインスタント記事とAMPも軌道に乗り始めている。

 分散型メディアで成果を上げているニュースブランドとしては、自前のWebサイトを持たないで外部プラットフォームだけに動画ニュースを配信する「NowThis」とか、ソーシャルプラットフォームとともに成長してきたバイラル指向の「BuzzFeed」がよく知られている。だがここにきて、自前のWebサイトを中心に展開してきたニュースメディアも、分散型メディアに本腰を入れ始めている。こうした動きが米国で盛り上がっているが、どれくらいのレベルで進んでいるのだろうか。それを示すデータを、テクノロジー系ニュースサイト「The Verge」が公表していたので、覗いてみた。

 図2は、Vergeが配信するコンテンツのビュー数がこの1年間でどう変化したかを示している。昨年と今年の、第3四半期の総ビュー数である。興味深いのは、自前のWebサイトでのビュー数(図2の@)が減ったにもかかわらず、全体のビュー数がこの1年間で40%近くも増えたことだ。SNSやアグリゲーターなどの外部プラットフォームに投稿したコンテンツが閲覧されたビュー数(図2のA〜G)が、1年間で3倍近くも急増したお陰である。つまり、分散型メディアの取り組みが功を奏したといえる。
 
VergeContentViews201610a.png
@:Website pageviews
A:Google Newsstand views
B:Flipboard flips
C:YouTube video views
D:Facebook video views(VergeとCircuit Breaker) 
E:AMP pageviews
F:Instant Article pageviews
G:Apple News views
(ソース・The Verge)
図2 The Vergeのコンテンツビュー数の内訳

 昨年の第3四半期では、総ビュー数の半分以上は自社のWebサイトでのビューが占めていた。ところが今年の第3四半期では、自社のWebサイトのビュー数(図2の@)が総ビュー数の約1/3に縮小し脇役に回ってしまっている。残りの2/3を外部プラットフォームでのビュー数が占めるようになっているのだ。

 その外部プラットフォームでのビューの内訳をみて目立つのは、動画ニュース(図2のCとD)が爆発的に増えてきたことである。瞬く間に動画ニュースだけで総ビュー数の4割も占めてしまっているのだ。さらに注目すべきは、今年の第3四半期に入ってその動画ニュースのビデオビュー数(再生回数)で、Facebook(図2のD)が圧倒的なシェアを占めていることである。

 また分散型への見逃せない動きとしては、今年に入ってFacebookのインスタント記事(図2のF)とGoogleのAMP(図2のE)が登場し、トラフィックの流れを変え始めたことがある。FacebookやGoogle検索から自社のWebサイトに流入していたトラフィックが、外部のインスタント記事やAMPページに流れていく。The VergeのNilay Patel編集長は、Webサイトのページビューが減った代わりに、AMPなどのページビューが増えているという。中でもAMPのページビューの急伸がすさまじく、The Vergeの今年9月には早くも総ビュー数の14%を占めたと同編集長が明らかにした。

 このように分散型が浸透してくると、効果測定の指標として自社Webサイトのページビュー(PV)だけでは不十分となる。外部プラットフォームでのビュー数も当然、加えなければならない。そこでThe Vergeでは、図2のように、PVではなくてコンテンツビュー(Content View;CV)という指標で評価している。そこでは、急増する動画コンテンツのビューをどのように計数するかとか、ニュースアグリゲーターのFlipboadのflip数(ページをめくる回数)をビュー数にどう対応させるかなどを、決めておかなければならない。例えばテキスト系コンテンツのCVは従来のPVと1:1対応で良いだろうが、動画コンテンツのCVはすべての再生を計数するのではなくて、ある視聴時間(プラットフォームによって異なる)以上の再生のみをCVとすることになろう。

 そのコンテンツビューの指標で見る限り、The Vergeのコンテンツのビュー数はこの1年間に飛躍的に増えた。今年に入っても加速化している。問題は、外部プラットフォームでのビュー数が大幅に増えているのに対し、自社Webサイトのページビューが減っていっていることだ。The Vergeの収益の大半は自社Webサイトでの広告売上に頼っていたはずである。自社Webサイトから外部プラットフォームへトラフィックが流れていくとなれば、ビュー数の増加に応じて外部プラットフォームで広告売上を稼ぎたい。でもFacebookやGoogleなどのプラットフォーマーのコントロール下での広告事業となる。自社Webサイトの広告と違って、いろいろと制約も課せられるし、手数料を徴収されたりもする。パブリッシャーとプラットフォーマーとの綱引きが続くことになる。

 多くのプラットフォームに配信することにより、リーチを拡大でき、新しい多くのユーザーと接することができるようになつたのは間違いない。編集長がTwitterで、今年9月の月間ユニークユーザー数が3640万人に達したと報告している。7月が3250万人だったので、3か月間で約400万人も増えたことになる。 

注:
The Vergeは今年の11月1日に創立5周年を迎えるニュースブランドで、新興ニュースパブリッシャーVox Mediaの傘下にある。同社は、Recode、SB Nation、Vox.comなどの有力なメディアブランドを擁している。

◇参考
・The Verge is turning five on November 1st, and we're refreshing our entire brand(Verge)
・Refreshing The Verge: Facebook video, Google AMP, and the (non)future of the web(Verge)
・Google AMP Gets Mixed Reviews From Publishers(WSJ)



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posted by 田中善一郎 at 17:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
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