第3四半期の決算発表で示されたデータを見てみよう。モバイル端末からフェイスブックを利用している月間のアクティブユーザー数(MAU)が世界で16億5800万人に達した。9月30日時点のフェイスブックのMAUが17億8800人となっているので、ほとんどのユーザーがモバイル端末からもフェイスブックにアクセスしているのだ。

図1 モバイルMAU。 単位:100万人
注目したいのは、モバイル端末からしか利用しないユーザー、つまりモバイル・オンリー・ユーザーが急増していることである。そして、ついに月間のモバイルMAUが10億550万人と10億の大台に乗せた。これは新興国/開発途上国で、パソコンを使わないでインターネットに初めて接するモバイルユーザーが増えていることにもよる。またフェイスブックが、開発途上国で安い月額固定料金サービスを提供していることも大きい。

図2 モバイルオンリーMAU。単位:100万人
こうしたグローバルにほぼ同時に展開しているモバイルシフトは、GlobalStatsが発表したStatCounterでも見られる。最近、モバイル端末からのインターネット利用が、デスクトップからの利用を追い抜いたばかりであった。さらにここでもモバイルシフトが加速化しそう。

図3 モバイル端末からのインターネット利用が、デスクトップからの利用を追い抜く
フェイスブックのモバイルシフトが高く評価されているのは、同社の売上に大きく貢献しているからだ。売上高のほとんどを占める広告売上高は、第3四半期に前年同期比59%増の68億2000万ドルと急成長を遂げたが、そのうちの84%がモバイル広告であった。前年同期のモバイル広告比率が78%であったので、広告売上でのモバイルシフトも順調に進んできたといえる。
米国のインターネット広告売上を示す"Internet Advertising Revenue Report"が、IABとPwCから先日公表された。それによると今年上期(1月〜6月)の米国のモバイル広告売上高が155億ドルと、前年同期比89%の爆発的な伸びを示している。そのインターネット広告の約半分(47%)をモバイル広告が占めるようになっている。

図4 主なアドフォーマット別の広告売上高シェア。モバイル広告売上高のシェアが、昨年上期の30%から今年上期の47%と急拡大している
米国のインターネット広告売上高の半分近くをモバイル広告が占めるようになったことに目を見張るが、一方でフェイスブックが同社のネット広告売上高の84%も占めているということは、いかにフェイスブックがモバイルシフトで先行していたかを物語っている。
モバイル広告事業で先行できたお陰で、フェイスブックは最近の四半期決算毎に、アナリストの予測を上回る売上高を誇示してこれた。今回の第3四半期の決算でも予想を上回る好業績を示した。にもかかわらず、発表後の株価は低迷気味となる。モバイル広告で先行したということは、いち早くピークを迎え、減速することになると懸念されていた。同社CFOも広告売上高は2017年半ばから減速すると説明会で語っている。これから本格化するInstagramやMessenger、WhatsApp、動画などの広告売上だけでは、これまでのような予想を上回る成績を出し続けることは難しいということか。法人向けのWorkplaceやAI&AR/VR技術を活用した事業にも期待したいところだがも、収益に貢献できるには時間がかかりそう。
◇参考
・Facebook Reports Third Quarter 2016 Results
(Facebook)
・Facebook Q3 2016 Results(Facebook)
・Mobile and tablet internet usage exceeds desktop for first time worldwide(StatCounter)
・One billion people now use Facebook on a mobile device − and only a mobile device − for the first time(recode)
・ 2016 Internet Advertising Revenue Half-Year Report
(IAB)