英ロイター(Reuters Institute)は、26か国のオンライン・ニュース・ユーザーを対象に年初に実施したメディア接触調査で、そのようにレポートしていた。さらにそのレポートを補完する形でロイターは、同じ調査を今年4月に、香港、シンガポール、台湾、マレーシアのアジア4国でも実施し、このほど「REUTERS INSTITUTE DIGITAL NEWS REPORT 2016 - ASIA-PACIFIC SUPPLEMENT」としてまとめた。そのレポートでも、これらアジア4国と比較しても、日本人のメディア接触が最も受動的で非ソーシャルであると見ている。
今回の調査レポートでは、年初に実施した日本、米国、英国、韓国、オーストラリアの調査結果とも比較しており、アジア4国の消費者のメディア接触の特徴を明らかにしている。今回対象としたアジア4国もネットがかなり普及している国々で、普及率は香港が81%、シンガポールが82%、台湾が84%、マレーシアが68%となっている。今回も前回同様、YouGovが調査を行った。
ソーシャルメディアを介してのニュース接触、アジア4国は日本以上に盛ん
アンケート結果からいくつか拾って紹介する。まず、この1週間でニュース情報をどのメディアから入手したかを質問し、複数回答させた結果から見ていこう。利用メディアとしては、TV、プリント(新聞、雑誌など)、オンライン(ソーシャルメディアを含む)、ソーシャルメディアの4種。図1がその結果。アジア4国が日米英よりも、オンラインでニュースを入手している割合が高くなっていたことが目についた。またソーシャルメディアを介してニュースと接触する人の割合を比較すると、日本が42%とアジア4国を含めた9国の中で最も低かった。
図1 ニュース情報の入手メディアは?(複数回答)。アジアの4国は、オンラインでニュース情報を入手している人の割合が日本よりも高い。過去1週間でオンラインニュースに接触した回答者の割合は、台湾が90%、マレーシアが88%、シンガポールと香港が84%に対して、日本は72%であった。ソーシャルメディアだけに絞ると、台湾が55%、マレーシアが69%、シンガポールが59%、香港が42%に対して、日本は31%。
オンラインシフトが先行している米英や日本で、アジア4国よりもプリントメディアの利用者の割合が低くなっているが、TVの利用率はそれほど低くなっていない。TVのニュース番組が充実しているからか。米国ではCNNやFox Newsのような強力な24時間ニュース番組が存在するし、英国では巨大なBBCを擁している。
次の図2は、この1週間でニュース情報の接触で最もよく利用したメディアを一つだけ答えさせた時に、オンラインと答えた人の割合を示している。35歳以下と35歳以上とに分けた。ここでも意外だったのは、日本の35歳以下の若い人たちで主要メディアとしてオンラインを利用している割合が58%と、9国の中で最も低かったことだ。
図2 主要ニュースソースがオンラインメディアと答えた人の割合。35歳以下の若い回答者でオンラインを主要ニュースソースとしている割合は、シンガポールが72%、香港が64%、台湾が62%、マレーシアが62%に対して、日本は58%。ちなみに韓国は73%。
オンラインニュースの接触、アジア4国と欧米は似通っているが、日本だけは違っている
このように、オンラインメディア、中でもソーシャルメディアを介してニュースソースに接触するユーザーの割合が日本は低くなっている。でも、極端な差があるわけではない。それよりも、オンラインメディアの接触の仕方に日本人の特異性が際立っていることに、注目したい。
オーディエンスがこの1週間で、どのようなチャンネルを介してオンラインニュースを見つけたかを、複数回答させた結果を図3に示す。つまり、オンラインニュースとの出会いの場(チャンネル)を答えさせている。実際のアンケートでは9種のチャンネルを選ばせていたが、図3ではそのうちの4種のチャンネルの利用度だけを抜き出して掲載した。
ダイレクト・エントリー(ニュースブランドのWebサイトやアプリに直接アクセス)でオンラインニュースに接している割合は、前回の26か国を対象にした調査で、日本が12%とずば抜けて低かった。今回のアジア4国との比較でも、香港(42%)、マレーシア(45%)、シンガポール(36%)、台湾(34%) と大きく差をつけられている。新聞社やテレビ局などの伝統マスメディアのニュースサイトが、日本ではオンラインニュースの主流となってこなかったためである。
逆にアグリゲーターでオンラインニュースに接している割合は、日本が43%と飛びぬけて高っかったが、やはり、香港(12%)、マレーシア(15%)、シンガポール(10%)、台湾(12%)と比べても、抜きんでいる。アグリゲーターであるヤフーニュースが圧倒的なシェアを握っていたからである。さらにモバイル時代に入っても、スマートニュースのようなアグリゲーターのニュースアプリが日本では受けた。こうしたアグリゲーターでは、ニュースブランドのサイトに直接行かなくても、複数のマスメディアが提供するニュースをまとめて閲覧できる。受身的であるだけに、中高年層にもなじみやすい。例えばスマートニュース・ユーザーの年齢層分布でも、50代以上が46%も占めている。
先にも述べたように、ソーシャルメディアをオンラインニュースとの出会いの場としているユーザーの割合が、日本は低い。香港(38%)、マレーシア(57%)、シンガポール(53%)、台湾(54%)に対して、日本は17%である。
図3 オンラインニュースと出会うチャンネル。
ニュース記事に参加する度合い、日本人が最も希薄
ニュースメディアは昔のように提供者主導の一方向ではなくて、消費者(ユーザー)主導の双方向性メディアとなっている。今やユーザーがニュースメディアに参加するのが当たり前になっているのだ。そこで、ニュース記事にどのような形で参加しているかを、アンケートしている。参加する場としては、ニュースブランドのWebサイトよりも、ソーシャルメディアが中心となっている。図4では、ソーシャルメディアでニュース記事に参加している回答者の割合を、項目別に示している。
ニュース記事にコメントする(Comment on a news story in a social network)割合は、香港(24%)、マレーシア(22%)、シンガポール(13%)、台湾(26%)に対して、日本は6%であった。
次のニュース記事をシェアする(Share a news story via social network)割合は、香港(28%)、マレーシア(32%)、シンガポール(27%)、台湾(34%)に対して、日本は9%。
またニュースに関連する写真や動画を投稿したり送る(Post or send a news related picture or video to a social network)割合は、香港(12%)、マレーシア(16%)、シンガポール(11%)、台湾(15%)に対して、日本はわずか3%であった。
図4 ニュース記事に参加する。
このように、アジア4国のオンラインニュース・ユーザーは、ニュース記事への参加意識が米国並みに高い。一方で日本人の多くは、アグリゲーター・ニュースサイトが一方向で提供してくれるニュースを受け取るのに満足し、ニュース記事に能動的に参加することをあまりは好まないようだ。
ロイターは先の26か国を対象にした調査のレポートで、ニュース接触に関して日本の消費者が26カ国中最も受動的で、最も能動的でない国民としてまとめていた。今回は、アジア4国に日本、米国、英国、韓国、オーストラリアを加えた9国を対象に、同じようにニュースに対して能動的な行動をとるオーディエンスの割合を比較した。それをグラフ化したのが図5である。ニュースの参加者を、最も能動的なProactive、その次に能動的なReactive、そして受動的なPassiveとの分けて、国別に内訳を示している。ここでもニュースに対して受動的な行動をとるユーザーの割合が、日本が9国の中で最も高いと結論付けている
図5 ニュースメディアへの参加態度。能動的か受動的か
ニュース接触においても、受動的で保守的で非ソーシャルであるのは、国民性に起因しているだろう。良し悪しは別にして、グローバルに見て日本人のメディア接触が、多くの国とちょっと違うのだということを、認識しておいたほうがよさそう。
◇参考
・NEW REPORT EXAMINES ONLINE NEWS HABITS ACROSS ASIA-PACIFIC REGION(Reuters Institute for the Study of Journalism)
・日本人のニュースメディア接触、先進国の中で際立つ特異性、ロイター調査が浮き彫りに(メディア・パブ)
コメントできないように設定しているから参加したくてもできないだけでは?
Yahooは一部コメントできるようだけど、規制ばかり強化して検閲してるから自由闊達な議論になどなりえないし。
こういう海外系自称メディアの調査は概して事情をちゃんと把握してない出鱈目な条件で比較するから、根本的に判断を誤る情報になる。
そしてバカ外人の垂れ流すこの手の情報を有り難がって嬉々としてそのまま垂れ流すバカメディア・・・
ああ・・・、もう世の中バカばっかで困るわ。