オンライン音楽サービスを別にすれば、ネット時代のオーディオメディア・サービスはやや精彩を欠いていた。伝統のラジオ放送に代わって、インターネットラジオやポッドキャストがかなり前から飛び出してはいたが、ここしばらく伸び悩んでいた。ところが2年ほど前から米国でポッドキャスト・ブームが再熱していると、何度か聞かされている。確かに最近、主要なニュースメディアもこぞって、動画コンテンツとともに、ポッドキャストによるオーディオニュース・コンテンツも充実させている。
またオーディオメディアと言えば、今年1月のCES(Consumer Electronics Show)で最大の目玉となった音声アシスタント機能によるサービスも気になる。爆発的に開花するのではとの期待が膨らむ。
その「ポッドキャスト」や「音声アシスタント」が、米国の消費者に現時点でどの程度受け入れられているのかを知りたい。ちょうどその望みに応える調査を米エジソン研究所(Edison Research)が2017年1月から2月の間に実施し、このほど公表していたので覗いてみた。
調査は、12歳以上のアメリカ人2000人を対象に、RDD方式(Random Digit Dialing:ランダムに発生させた電話番号に電話をかけて調査する手法)で実施した。その調査レポートから「ポッドキャスト」と「音声アシスタント(Smart Speaker)」について紹介する。
まず、ポッドキャストから。回答者の24%が、先月の1か月間にポッドキャストを利用していた。6700万人の米国人が少なくとも月に1回、ポッドキャスト番組を聴いていることになる。年推移のグラフを見ても分かるように、確かに2年ほど前から利用者が増え始めている。
(ソース:Edison Research、Toriton Digital)
図1 ポッドキャスト普及率の推移
次の図2は世代別の利用状況である。スマホでの利用が増えてきたこともあって、若い人への普及が広まっている。注目したいのは、働き盛りの25歳〜54歳の年齢層の利用が目立って増えていることだ。硬派のニュースメディアがポッドキャストによるコンテンツに力を入れているのも頷ける。
(ソース:Edison Research、Toriton Digital)
図2 ポッドキャストの世代別普及率
普及率はまだ低いものの、既存ポッドキャストユーザーの利用頻度は高い。回答者の14%は毎週利用しており、彼らは平均すると週に5回以上ポッドキャストを聴いている。かなり習慣化している。
車社会の米国では通勤中や通学中が主な利用場所と思われるが、調査結果によると、次のように自宅や仕事中でもよく利用されていた。
・At Home:80%
・In a car/truck:47%
・At work:29%
・Walking around/On foot:28%
・At a gym/Working out:20%
・Riding public transportation:19%
(ソース:Edison Research、Toriton Digital)
図3 ポッドキャストの利用場所(複数回答)
次は音声アシスタントの調査について。人工知能を搭載する音声アシスタントの「Amazon Echo(Alexa)」と「Google Home」について、どれくらい認知されているか、そしてどれくらい所有されているかを調べた結果を図3に示す。新しいタイプの製品であるが、発売が始まっている米国では一般の人にもかなり知られているようだ。
販売で先行したAmazon Alexaは回答者の57%に商品を知られており、既に5%の人に所有されている。後発のGoogle Homeは回答者の45%に認知されており、 昨年末に販売が開始され、2%の人が入手している。発展途上のサービスであるが、若年層に支持されているようである。
(ソース:Edison Research、Toriton Digital)
図3 音声アシスタントの認知率と所有率。ここで「Amazon Alexa」とあるのは、Alexa音声サービスを使っているAmazon Echoあるいは Amazon Dotをさしている。
◇参考
・The Infinite Dial 2017(Edison Research、Toriton Digital)
・「音声アシスタント」を使っていますか? 世界の若年層ネットユーザーの半数が利用(メディア・パブ)