若者たちがはまっているソーシャルサイトのスナップチャットで、中高年層ユーザーの割合が急上昇している。そのような分析結果を、米comScoreが2月末にリリースした“2017 US Cross-Platform Future in Focus”で明らかにした。そのレポートの中で、米国のスナップチャット・ユーザーの年齢層別分布が2016年の1年間でどのように推移したかを、図1のように示している。
(ソース:comScore)
図1 スナップチャット・ユーザの年齢分布の推移
2015年12月にはスナップチャット・ユーザーの46.8%が18〜24歳の若者で占められていたのが、1年後の16年12月には28.5%へと急速に減っている。ミレニアル世代(18〜34歳)で見ても,その1年間で76%から54.1%へと縮小している。一方、45歳以上の中高年層の割合が、15年12月の11.2%(=7.7%+3.5%+1.0%)から1年後の16年12月には30%(=13.5%+12.4%+4.1%)へと急拡大している。明らかに、これまで若者で賑わっていたコミュニティーの場に、中高年者が流れ込んでいる。
ただ誤解してもらいたくないのは、決して若者のスナップチャット離れが起こっているわけではないことだ。それどころか、若者への浸透は今も進んでいる。図2に示すように、18〜24歳の米国人でスナップチャット・アプリを利用している割合は増え続けており、2016年12月には78%に達している。
(ソース:comScore)
図2 スナップチャット・モバイルアプリの若年層への浸透率
これまでも、学生仲間のコミュニティサイトとして立ち上がったフェイスブックや、ブログ全盛時代に140文字以下の情報発信サービスとして立ち上がったツイッターは、サービス開始時から若者の琴線に触れていたようだが、中高年層からは「なんで夢中になるのか、さっぱりわからん」と無視されていた。スナップチャットも同じ道を歩んでいるようだ。テキストではなくて動画や写真でチャットし、しかもすぐに消えてしまう。動画や写真は記録として残して置くものと思い込んでいる中高年者にすれば、動画や写真を瞬間的なメッセージとして使い捨てするやり方に、ついていけない。
にもかかわらず、フェイスブックが中高年層にも浸透し始めたきっかけは、若者(子供)と両親・祖父母との家族間の交流ツールとして使われたからと言われている。スナップチャットも同じように、外出している若者(子供)が両親に居場所を知らせるツールとして使われだしており、それに伴って中高年者のスナップチャットユーザーが増え始めているようだ。スマホのキーボードからテキストチャットでやり取りするよりも、スマホのカメラで撮った動画や写真で交流するほうが、手軽だし実感が伝わると、高齢者も認識しはじめてきたのか。「書く」「読む」から「撮る」「視る」への流れが加速化している。
このように、若者だけのものと思われた新しいネットカルチャーも、当初は見向きもしなかった中高年層にも浸透していく。図3は、代表的なSNSにおけるユーザーの年齢別分布である。2016年12月に調査した時のデータである。学生向けのSNSとしてスタートしたフェイスブックも今では、全年齢層にくまなく浸透している。米国人口分布に似通った形で、フェースブックが浸透しているのだ。ミレニアル世代の割合が特出しているとは言えなくなっている。ツイッターもトランプ爺さんが使っているように、中高年層にかなり利用されいる。最後発のスナップチャットは、ユーザーの53.4%がミレニアル世代に占められているように、まだ若者が幅を利かせているが、これからどれくらいの勢いで中高年層が増え続けるか注目される。
(ソース:comScore)
図3 主要SNSのユーザ年齢分布
スナップチャットはまだ発展途上のSNSである。代表的なSNSのモバイルアプリについて、それぞれのユニークビジター数(2016年12月)と成長率を、図4に示す。同じくcomScoreが調べた結果である。2016年12月のユニークビジター数が前年比で最も伸びたのがスナップチャットで、断トツの114%増もの成長率を誇った。
(ソース:comScore)
図4 主要SNSのモバイルアプリのユニークビジター数(2016年12月)と成長率
◇参考
・ Cross-Platform Future in Focus report (comScore)