Pewが今年7月30日〜8月12日に実施した調査”News Use Across Social Media Platforms 2018"の結果を図1に示す。SNSを介してニュースと出会っている成人の割合が、今年は68%となった。

(ソース:Pew Research Center)
図1 SNSを介してニュースと接触している米成人の割合
2年前の2016年の62%、昨年の2017年の67%、そして今年の68%と増えてきているのだ。この2年間、SNSのニュースコンテンツについて、フェイクニュースとか極端に偏っているとか、さらに接触する消費者個人の情報が不正に利用されているとかで、各国の機関やメディアから毎日のように厳しく叩かれ続けているにも拘わらずである。SNSを介してニュースと接している消費者自身も、図2に示すように、58%の人はSNSで出会うニュースの多くが不正確であると答えている。

(ソース:Pew Research Center)
図2 ソーシャルメディア・ニュース消費者の何%がSNSで出会うニュースを正確だと見ているか?
ただアメリカの伝統的なニュースメディアはリベラル派が以前から多いこともあって、エリート意識の高いニュースメディアに対する共和党支持者からの反発が高まっている。トランプ大統領の出現もあり、共和党支持者の72%がSNSのニュースコンテンツの多くが不正確だと声を大きくしているのだろう。逆に民主党支持者は不正確だと答えて割合は46%と比較的少ない。
もともと、ソーシャルメディアのコンテンツを鵜呑みにする人は少ないはず。2年ほど前に、英ロイターが実施したデジタルニュースのユーザー調査を思い出す。米英のニュース消費者は、エンターテイメント性の高いバイラルニュースをSNS上で楽しむ一方で、正確なニュースを得るためにNYタイムズのような伝統メディアとも接していた。正確さよりも面白さ重視の軟派系新興ニュースメディアと、正確さ重視の硬派系伝統ニュースメディアを併せ読みする人が多いということだった。ちなみに同じロイターの調査によると、日本人は楽しさ重視で、軟派ニュースに関心を持つ人の割合が調査対象の26か国中で最も高かった(「日本人のニュースメディア接触、先進国の中で際立つ特異性、ロイター調査が浮き彫りに」)。
不正確なニュースコンテンツが氾濫していることを認識しながらも、モバイル化、ソーシャル化の流れに乗って、アメリカ人はSNSを介してニュースと接する機会が減りそうもない。SNSもメッセンジャーも含めると種類が増えている。図3に、代表的なSNSで米成人の何%がニュースと接しているかを示している。Facebookが43%と最も多く、次いで21%のYouTube、12%のTwittertが続いていた。Facebookは昨年の45%から2%減となったが、アメリカのニュースパブリッシャーにとってはまだまだFacebookは頼らざる得ない存在である。

(ソース:Pew Research Center)
図3 ニュースメディア消費者の多い代表的なSNS
ソーシャルメディア・ニュース消費者の各SNSのデモグラフィックデータが興味深い。ここではニュース消費者の多いトップ7種のSNSを取り上げている。ビジネスパーソン特化のLinkedIn、10代のZ世代に絶大人気のSnapchat、ニュースオタクがはまってしまうReddit、の個性豊かな3SNSは、残念ながら日本では開花しないままに終わりそう。
トップ4種のSNSは米国だけではなくて、日本を含むグローバルに浸透している。米国のニュース消費者の各SNSのデモグラフィックデータは、以前から気になっていたが、相変わらず意外性がある。まずFacebookでは、女性比率が61%で白人比率が62%と高いのに驚く。男性はLinkedIn(男性比率が64%)やReddit(男性比率が72%)を利用するようになっているのだろう。
Facebookの白人比率が62%と高いのに対して、Instagramでは白人比率が35%と極めて低い(昨年は32%)のも驚きだ。またTwitterのニュース消費者に高学歴者が多いのも、ちょっと意外であった。エリートビジネスパーソンが多そうなLinkedInや技術オタクがたむろするRedditのニュース消費者は高学歴者の割合が多いのは理解できるのだが・・・。

(ソース:Pew Research Center)
図4 ソーシャルメディア・ニュース消費者のプロフィール
◇参考
・News Use Across Social Media Platforms 2018(Pew Research Center)