昨年あたりから,ページビュー数によるWebサイト評価を見直すべきとの声が日増しに高まっていた。Ajaxのような技術が普及し,またストリームメディアが増えるに伴い,ページビュー数によるサイト評価が,実態とかけ離れてきていたからだ。
最近では,AjaxやFlashなどのインターラクティブ技術に加えて,プレビュー機能,RSSフィード全文配信,Widgetの台頭など,ユーザービリティーを高める技術や手法が次々と採られるようになっている。ところが,こうした新しい技術を採用していくと,ページビューがますます減っていく。このため英ABC Electronicは昨年末に,ページインプレションの代わりにユニークユーザー数を,インターネットの広告効果指標として採用し始めていた。
もう,ページビュー絶対主義の幕を下ろすのは,時間の問題であった。そしてついにNielsen/NetRatingsが,ユーザーのサイト滞在時間の総計による評価を,優先して採用することになるのだ。 ページビュー数をベースに運用していたバナー広告料金などに,影響が及ぶことになろう。
Webサイトランキングの見方も変わってきそう。例えば,ページビュー数の比較では,MySpaceはYouTubeの11倍近いページビューを誇っていた。クリック量産工場と言われるSNSサイトは,一般のサイトに比べページビュー数が多くなる。逆に,ストリームコンテンツを流す動画/音楽系サイトは滞在時間が長くても,ページビュー数を稼ぎにくい。ユーザー滞在時間の総計で比較するようになると,ランキングが大きく入れ替わるのは明らかである。
APの記事によると,ページビューランキングから滞在時間ランキングに変えると,AOLが6位からトップに躍り出るのに対し,Googleは3位から5位に落っこちる。AOLはインスタントメッセージ・ユーザーを数多く抱えているためユーザーの滞在時間が長くなりやすい。今年5月の米国ユーザーの総滞在時間は250億分で,Yahooの200億分を凌いでいる(ページビュー数ではYahooがトップ)。一方,Googleは検索エンジンユーザーが多いため,滞在時間が比較的短い。ユーザーは検索結果を得ると,すぐに外の目的サイトに飛んでいくためである。そのため,ページビューランキングでは3位であったのが,滞在時間ランキングでは5位に落ちる。
一方で,滞在時間の指標も絶対とは言えない。先ほどのGoogleの検索エンジンの例のように,滞在時間が短くても有効利用できているサイトが,低く評価されやすいからだ。また,ユニークユーザー数で評価する方法も考えられるが,重複カウントされる問題がある。でも,これまでのページビュー評価よりもベターと言えそう。新しい技術を駆使して,ユーザーにとって使いやすいサイトを設計すればするほど,ページビューが減り低く評価されるのでは,やはり面白くない。
でも日本では,ページビュー神話を信じておきたい人が多そうなので,どうなるのかな。
◇参考
・Nielsen scraps Web page view rankings (AP)
・Nielsen//NetRatings Adds “Total Minutes” Metric to Syndicated Service as Best Measure of Online Engagement (プレスリリース)
・ページのプレビュー機能が普及,ますますページビューが減ってしまうのでは(メディア・パブ)
・Web2.0技術を使うと,広告売上が減ってしまうかも(メディア・パブ)
・MySpaceに抜かれたYahooの言い訳,PVが減ったのはAjaxを使ったから(メディア・パブ)
・RSSフィード,部分配信から全文配信に変えるべきか(メディア・パブ)
・ページインプレッションを不採用,英国のネット広告で(メディア・パブ)
・ページビュー神話が崩壊,ネット広告はどうなる(メディア・パブ)
・やっぱり変だよMySpace,ページビュー見直し論へ発展へ(メディア・パブ)
タグ:広告
Yahoo Japan批判キター!!w
タブブラウザで開きっぱなし、とか
よくやりますけど・・・。
とはいえ、単純にPV=コンテンツへのアクセス数より滞在時間=サイトのサービスを享受した時間のほうが意味がある、というところには同意です。
RSSで全文配信しているところなどは、サイトを訪れずともサービスを受けています。こういったところをどう計測していくのか、課題はいろいろありますね。