2007年07月11日

ページビュー神話,いよいよ終焉に向かう

 サイトを評価する軸足を,これまでのページビュー数からサイト滞在時間に移していく。インターネットサイトの測定で権威あるNielsen/NetRatingsも,そのように方向転換することになった。

 昨年あたりから,ページビュー数によるWebサイト評価を見直すべきとの声が日増しに高まっていた。Ajaxのような技術が普及し,またストリームメディアが増えるに伴い,ページビュー数によるサイト評価が,実態とかけ離れてきていたからだ。

 最近では,AjaxやFlashなどのインターラクティブ技術に加えて,プレビュー機能,RSSフィード全文配信,Widgetの台頭など,ユーザービリティーを高める技術や手法が次々と採られるようになっている。ところが,こうした新しい技術を採用していくと,ページビューがますます減っていく。このため英ABC Electronicは昨年末に,ページインプレションの代わりにユニークユーザー数を,インターネットの広告効果指標として採用し始めていた。

 もう,ページビュー絶対主義の幕を下ろすのは,時間の問題であった。そしてついにNielsen/NetRatingsが,ユーザーのサイト滞在時間の総計による評価を,優先して採用することになるのだ。 ページビュー数をベースに運用していたバナー広告料金などに,影響が及ぶことになろう。

 Webサイトランキングの見方も変わってきそう。例えば,ページビュー数の比較では,MySpaceはYouTubeの11倍近いページビューを誇っていた。クリック量産工場と言われるSNSサイトは,一般のサイトに比べページビュー数が多くなる。逆に,ストリームコンテンツを流す動画/音楽系サイトは滞在時間が長くても,ページビュー数を稼ぎにくい。ユーザー滞在時間の総計で比較するようになると,ランキングが大きく入れ替わるのは明らかである。

 APの記事によると,ページビューランキングから滞在時間ランキングに変えると,AOLが6位からトップに躍り出るのに対し,Googleは3位から5位に落っこちる。AOLはインスタントメッセージ・ユーザーを数多く抱えているためユーザーの滞在時間が長くなりやすい。今年5月の米国ユーザーの総滞在時間は250億分で,Yahooの200億分を凌いでいる(ページビュー数ではYahooがトップ)。一方,Googleは検索エンジンユーザーが多いため,滞在時間が比較的短い。ユーザーは検索結果を得ると,すぐに外の目的サイトに飛んでいくためである。そのため,ページビューランキングでは3位であったのが,滞在時間ランキングでは5位に落ちる。

 一方で,滞在時間の指標も絶対とは言えない。先ほどのGoogleの検索エンジンの例のように,滞在時間が短くても有効利用できているサイトが,低く評価されやすいからだ。また,ユニークユーザー数で評価する方法も考えられるが,重複カウントされる問題がある。でも,これまでのページビュー評価よりもベターと言えそう。新しい技術を駆使して,ユーザーにとって使いやすいサイトを設計すればするほど,ページビューが減り低く評価されるのでは,やはり面白くない。

 でも日本では,ページビュー神話を信じておきたい人が多そうなので,どうなるのかな。



◇参考 
Nielsen scraps Web page view rankings (AP)
Nielsen//NetRatings Adds “Total Minutes” Metric to Syndicated Service as Best Measure of Online Engagement (プレスリリース)
ページのプレビュー機能が普及,ますますページビューが減ってしまうのでは(メディア・パブ)
Web2.0技術を使うと,広告売上が減ってしまうかも(メディア・パブ)
MySpaceに抜かれたYahooの言い訳,PVが減ったのはAjaxを使ったから(メディア・パブ)
RSSフィード,部分配信から全文配信に変えるべきか(メディア・パブ)
ページインプレッションを不採用,英国のネット広告で(メディア・パブ)
ページビュー神話が崩壊,ネット広告はどうなる(メディア・パブ)
やっぱり変だよMySpace,ページビュー見直し論へ発展へ(メディア・パブ)
タグ:広告

posted by Kilimanjaro at 07:19 | Comment(3) | TrackBack(6) | マーケティング 広告
この記事へのコメント
>でも日本では,ページビュー神話を信じておきたい人が多そうなので,どうなるのかな。

Yahoo Japan批判キター!!w
Posted by ひろや at 2007年07月11日 14:51
滞在時間も微妙っちゃ微妙ですよね。

タブブラウザで開きっぱなし、とか
よくやりますけど・・・。
Posted by yo-ill at 2007年07月12日 14:21
滞在時間をどう測るかには、タブブラウザで複数起動した場合の取り扱いや、サイトから退出したというイベントを掴めない、といったような技術的な課題がまだあると認識しています。
とはいえ、単純にPV=コンテンツへのアクセス数より滞在時間=サイトのサービスを享受した時間のほうが意味がある、というところには同意です。
RSSで全文配信しているところなどは、サイトを訪れずともサービスを受けています。こういったところをどう計測していくのか、課題はいろいろありますね。
Posted by いーちゃん@murphyfox at 2007年07月14日 00:29
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