2000年ころまでは,大人の10人に6人くらいは,新聞を読んで朝を迎えていた。それが,今では新聞紙の求心力が弱まってきている。インターネットでニュースを閲覧する人が増え,紙を読むなら無料新聞を手にするようになってきた。ネットで新聞を読むといっても,読者が向かうのは,www.naver.com, www.yahoo.co.kr , www.daum.netといった主要なポータルサイトである。たとえば,Naverには毎日1300万人も訪れている(ユーザー数はNaverのスポークスマンの話より。また1300万人はポータル全体のアクセス者数のはずで,ニュースサイトへのアクセス数はこんなに多いとは思えない)。
韓国の主要新聞社は,1999年と2000年に, インターネット事業部を独立のビジネスユニットに分けた。独立したインターネット事業ユニットに対し,まだ発展途上のポータルサイト側が,コンテンツの転用を申し出た。ポータルサイト側は(月?)100万〜500万won(約1000ドル〜5000ドル)で転載許可を得た。ポータルへの転載を認めたことが墓穴を掘ることになったと,新聞社側が後悔しているという。
現在は,毎月200万〜1500万wonのフラット料金で,新聞社各社はポータル会社に記事を売っている。つまり転載を認めている。というよりも,今やポータルサイトに依存するようになり,続けざる得なくなっているのだ。特に若い人には,ポータルに頼らないとリーチできなくなっているのだ。
だが,若者達は,政治記事や経済記事よりも,ゴシップ,スポーツ,娯楽関連の記事を読みたがる。ニュースの流通役として力を付けてきたポータルサイト側は,若者にアピールする記事を新聞社側に要求するのは当然の流れである。
そうした要求を蹴る余裕がないのが韓国新聞社の台所事情である。新聞紙の購読者数も広告売上も激減しているのだ。15歳〜60歳の大人が新聞紙を購読している割合は,2000年に57%であったのが,2004年は41%に落ち込んでいる(cyber newspaper Pressianのデータ。実際には,これほど落ち込んでいないかも)。140紙の新聞広告費もは,2004年は前年に比べ7.7%も減らしている(2004年広告費は1.7456 trillion won )。
一方,インターネットサイトの売上は急増している。特にポータルサイトは絶好調だ。韓国最大の検索サイトであるNaverの2004年売上は229.3 billion won で,2001年の約10倍に膨れあがった。売上の37%は検索連動型広告である。多くの広告は若者をターゲットにしている。その若者がインターネットになびいている。新聞社も売上をポータルへの依存を高めていくと,ニュースコンテンツへのコントロールを失うかもしれない。健全なジャーナリズムを維持できるかどうか,韓国新聞社は厳しい局面を迎えている。
◇参考
・Internet takes on South Korea's powerful newspapers(M&C Tech)