世界トップクラスの新聞社でありオンライン事業でも先行しているNYT(The New York Times Company)すら,苦境に立たされている。そのNYTが,もし今すぐに新聞紙を休刊し,オンライン事業に全面シフトしたとすると,どうなるのだろうか。Silicon Alley InsiderのHenry Blodgetが,そのシミュレーション結果をレポートしている。極端な仮定の基でのシミュレーションであるが,新聞経営の問題を浮き彫りにしているので紹介する。
まず現況のデータの把握から。Compete調査によるNYTimes.com の月間ユーザー数は750万人である(確か,Compete調査は米国ユーザーだけを対象にしているはず)。一方,NYTimes紙の購読者数は約110万人である。2007年第2四半期の決算で,オンライン事業の売上高がNYT全社売上高の10%台を初めて突破した。つまり750万人相手のオンライン事業で10%の売上高しか達成していないのに,110万人相手のオフライン(新聞紙)事業で90%の売上高を稼いでいることになる。
ここでオフライン事業を止めて,すべてオンライン事業に切り替えたらどうなるかだ。
NYT紙の購読者は約110万人となっているが,回し読み読者を加えると実数は2〜3倍程度になるはず。となると新聞紙が無くなると,200万人強の人たちがNYTimes.comを新たに読むことになろう。そこで,NYTimes.comの読者が750万人から1000万人に増えるとする。
新聞紙を休刊すると,次のように新聞紙関連の経費や売上高がゼロになり,オンライン事業の広告売上高が上積みされる。
・新聞紙の製造/流通経費(紙代,印刷代,配送費など)→ゼロ
・オンライン広告在庫(売上高)→33%増:オンライン読者が750万人から1000万人と増えるため,
・オフライン編集費→オンライン編集費
・新聞紙の広告売上高/販売売上高→ゼロ
ところで,年間550億ドルの新聞広告費は,新聞紙が消えるとオンライン広告費に流れるとしよう。でも新聞社系のオンラインサイトに全部が流れるわけではない。多くは, eBay, Monster, Yahoo, Googleなどのサイトに取られてしまいそう。ここではNYT紙の休刊で,これまでのオフライン(NYT紙)広告売上の25%が,NYTimes.comに流れると仮定している。
このような仮定の下で,NYTが新聞紙を休刊した場合に2007年第2四半期の収支がどうなるかを,はじいた結果が次の表である。
*Adjustments(1):
Offline to zero
Online readers increase 7.5mm to 10mm
Online revenue up by 33%
BONUS: Online up by 25% of offline
*Adjustments(2):
Cut all raw materials
Assume all "other" is print-related and cut
Assume 25% of "wages" is print and cut
Adjustments(3):
Reduce SGA by 1/3rd for lower revenue
結論としては,売上高が半分以下に落ち込み,従業員の半分近くを解雇しても,大幅赤字が避けられないとのことである。非常に乱暴なシミュレーションだが,早急なオンラインシフトが多難含みであることを示唆しているのかも。
◇参考
・Running the Numbers: Why Newspapers Are Screwed (Silicon Alley Insider)
・米有力新聞社NYTとDJ,第2四半期決算も冴えない(メディア・パブ)












