政治ブログは,大きく進歩派ブログと保守派ブログに分けられるが,最近は進歩派ブログが保守派ブログを圧倒しているようだ。シンクタンクの米New Politics Instituteがトップ250の政治ブログを調べたところ,ページビュー数で進歩派ブログが保守派ブログの2倍近くと大きく差を拡げたという。2年前までは保守派ブログがリードしていたが,この2年間で勢力図が大きく塗り変わったとしている。ただし,この調査そのものが,政治的に中立かどうかは怪しい。
米New Politics Instituteが報告した,最近の米国の政治ブログの動向を紹介する。2年前頃までは,FreeRepublic.com, Drudge Report , Newsmax. Moveon.org といったWebサイトを中心に,保守派(つまり共和党系)サイトがオンラインの世界を支配していた。保守派の政治運動の特徴は,既存の組織をベースにトップダウン的に展開すること。メディア操作や進歩派への攻撃に力を入れる。最大の保守系サイトであるDrudge Report は,共和党との太い情報パイプを築いている。
だがブログの台頭が,ネット上の政治活動の風向きを変えた。草の根的なブログの世界は進歩的な傾向が強い。ブログなどを通して政治活動のコミュニティを作っていき,リアルでの運動へと広がっていった。進歩派のネット活動は,既存の組織の下で動くと言うよりも,草の根的に展開するのが特徴だ。2005年7月に上位250の政治ブログを調べたところ,数では進歩派が101ブログと少ないが,ページビュー総計では進歩派ブログが圧倒し保守派ブログの2倍近くにもなった(*1)。2003年頃までは,ページビュー総計で保守派ブログが優位であったが,この2年間で進歩派が一気に追い抜いたことになる。進歩派ブログの代表Dailykosと保守派ブログの代表Instapunditとを比較しても,この2年間の訪問者数などの伸びでDailykosがリードした。
トレンドを見るのに参考になるかもしれないが,調査結果は進歩派に偏っているのではなかろうか。
(*1)主要な進歩派ブログ(98サイト)の総ページビューは週15,181,649(2005年7月の週)。一方,主要な保守派ブログ(150サイト)の総ページビューは週1000万以下。
◇参考
・Emergence of the Progressive Blogosphere: A New Force in American Politics