突発的な大事件時に,市民の写真やビデオが主要メディアで使われることは当然として,日常的に一般市民の作品を採用する動きが活発だ。視聴者・読者参加番組として定番化しつつある。特にこの半年,米国のテレビ局のWebサイトでは相次いで,視聴者がビデオを投稿できるコーナーを設け,その中から一部をテレビ放送で流したりしている。ゴア前米大統領などが始めたCurrentは,番組コンテンツの25%を市民ビデオで占めることになっている。
写真共有サイトのFlickrやビデオ共有サイトのYouTubeも,素人作品を主要メディアに採用するパイプ役になっている。さらに,メディアへの採用に特化した専門会社も出てきた。Scooptでは,カメラ付き携帯電話機などで撮った写真やビデオを電子メールなどで受け付け,投稿者の作品をメディアに紹介し販売している。掲載料の半分が投稿者に支払われる。市民パパラッチを増殖するかもしれないが・・。
カメラ付きケータイの所有者は,遅れていた米国でも,今年中に2300万人に達する予定。誰もが写真・ビデオレポーターの時代である。TV局や新聞社を中心に,社のカメラマンを講師にしたビデオジャーナリズム講座が盛んになっている。予備軍の養成にもなるし,講座そのものがビジネスになっているのかもしれない。
市民だけではない。当のメディア企業のスタッフ自身がビデオジャーナリズムになるべきだ。一時はやったビデオジャーナリズムの復活である。ABC,CBS,NBCでは一部スタッフに実験的にビデオカメラ付きケータイを持たせる。ABCでは年末までに,ニュース番組のレポーターにビデオカメラ付きケータイ(Nokia N90を携帯させる予定だ。ちなみにN90は1台が900ドルで,画質はVHS並(MPEG 4 352x288)である。
◇参考
・Citizen Media (lostremote)
・Why Everybody Is a Reporter(Broadcasting & Cable)
・London explosions: Your photos (BBC)
・Citizen journalism or citizen paparazzi?(Conversations Blog )
・ビデオ共有サイト“YouTube”,まるでFlickrのビデオ版
・ゴアのTV,ともかくスタート
・米CNNも視聴者参加プログラムを推進
・米ニュース専門ケーブルTV,市民ビデオジャーナリストに挑戦
・米地方テレビ局の果敢なネット戦略,ブログで新鮮な息吹を