これを暴いたのが,通信社AP(Associate Press)のレポーターPeter Svensson氏である。BitTorrentを使って,Philadelphia とSan Francisco にあるコンピュータのファイルをダウンロードしてみたところ,3回のうち2回がブロックされたという。3回目はダウンロードが実行できたが,10分も遅延があった。
Philadelphia とSan Francisco のコンピュータはいずれも,Comcastのケーブルモデム経由でインターネットに接続されていた。ダウンロードを試みたファイルは合法的なものだし,ファイルサイズも並の大きさである。通常なら,勝手にブロックされないはずだ。また,多くのBitTorrentユーザーが試みたアップロードもブロックされた。どうも,Comcast加入ユーザー(コンピュータ)のBitTorrentトラフィックが,狙い撃ちされたようである。
これまでインターネットでは,どのトラフィックも平等に扱って流すのを原則としていた。いわゆる「ネット中立性」が守られていた。だが,ビデオなどのリッチコンテンツが増えるに伴い,中立性維持が厳しくなってきている。ISPとしては,トラフィックを管理したい。なかでも,ネットに大きな負荷をもたらす音楽やビデオのP2P通信をマークしていた。
そこで,ComcastがBitTorrentトラフィックの一部をブロックしたのではと言うことだ。BitTorrentは最も人気の高いP2P通信サービスで,いろんなダウンロードサービスでよく利用されている。また同じP2P通信の仲間としては,ネット電話のSkypeやネットTVのJoostが今や花形的な存在になっている。
それだけに,今後の展開が気になる。ともかく何の予告も無しに,ComcastがP2Pトラフィックをブロックしたことに対し,ブロガーから当然のようにブーイングの嵐である。Skypeにも波及するのではと,不安視する反応も。
APがComcastに今回の件を問い合わたが,Comcastは明快な回答を寄せていない。Comcastとしては,ジャブを打って反応を見てみようとのことかもしれないが・・・。
◇文献
・Comcast blocks some Internet traffic (AP)
・AP tests Comcast's file-sharing filter (AP)
・AP Tests Comcast's File - Sharing Filter (NYTimes.com)
・How Comcast blocks your Internet traffic(Salon)
・本気なのか“GoogleNet”,太平洋海底ケーブルにも食指が動く(メディア・パブ)
・インターネットの危機説,中立性が崩壊するかも(メディア・パブ)
タグ:ネット中立性