絶頂にいたFacebookが,大きな危機に直面している。同社が始めたBeacon採用のFacebook Adが,各方面から連日,猛烈な非難を受けているからだ。
Facebookと言えば,今年,米国で最も輝いたネット企業である。CEOのMark Zuckerberg(23)も,2007年で最も話題になったネット創業者としてもてはやされてきた。
それもそのはずだ。今年5月24日に発表したFacebook Platformは,まさにGoogleキラーと称されるほどの衝撃をもたらした。これからのインターネットアプリケーションのプラットフォームとして浮上してきたからだ。サードパーティへのプラットフォーム開放の効果は抜群である。実際,登録アプリケーション数が先ほど1万点を超え,12月4日現在(日本時間)1万18に達している。
そしてFacebookは第2弾を打ち上げる。11月6日に画期的な広告プラットフォーム(Facebook Ads)を発表する。検索連動広告がGoogleをIPO後3年ほどで,時価総額でトヨタをしのぐ企業に押し上げたように,Facebook Adsが,Facebookを第2のGoogleに飛躍させるのではと注目される。同時に,Mark Zuckerbergは第2のBill Gatesになるとまで持ち上げられる。有頂天になった同氏は,Facebookが100億ドルから150億ドルの企業価値があると,舞い上がる。
ところが大きな落とし穴が待っていた。Facebook Adsは喝采を浴びる一方で,プライバシーを侵害していると非難の声が出始めたのだ。それが日増しに高まり,今やプライバシー組織だけではなくて,New York Timesをはじめとするマスメディアや,影響力のあるブロガーから,Facebookに対するブーイングの嵐が吹き荒れているのだ。
Facebook Ads(Facebookソーシャル広告)は究極のターゲッティング広告を目指している。FacebookのようなSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は,各会員のプロフィールや友人関係だけではなくて,各個人の投稿写真や動画,参加コミュニティー,閲覧した映画,読んだ書籍などなど,マーケッティング情報の宝庫となっている。さらに,Facebookでは,友人の更新プロフィールや新たな行動がNews Feedの形で伝わるようになっている。と言うことは,自分の行動も,時々刻々友人にばらまかれているのである。
Facebookソーシャル広告の特徴の一つは,このNews Feedを広告スペースとして利用する点にある。友人の行動に合わせた広告が効果的だと言うことだ。さらに,今回の広告プラットフォームが凄いのは,Facebook内に留まっていないことである。Facebook外のタイアップ企業サイトでの友人の行動も,News Feedとして送られてくるのである。例えば,どういうものを購入したかとか,どのようなイベントに参加したかが,伝わるのである。
このために採用した“Facebook Beacon”の運用が,紛糾の源となしているのだ。タイアップした企業サイトに特別のコードを埋め込むことにより,FacebookユーザーのFacebook外行動までが,広告に利用されるのである。企業サイトでのユーザーの行動情報をFacebookが受け取って,広告メディアとなるNews Feedに流すのだ。これを,ユーザーの明示的な承認を得ないで実施していたから猛反発を食らったのである。つまりオプトインサービスではなかったのだ。サービス拒否(オプトアウト)をできたのかもしれないが,これではほとんどの人は知らないままに,Facebook外の個人行動情報が利用されてしまう。もちろん,多くのユーザーにとって,親しい友人の行動を知らせてくれるのは,有り難いサービスではあるが。
Facebookシンパと思われたマスメディアやインフルエンサーブロガーからも,プライバシー侵害と反発される事態となった。こうなるとタイアップ企業も及び腰になる。有力パートナー企業のコカコーラーやTravelocity , Overstock が,“Facebook Beacon”の採用を取りやめることになった。
広告クライアントとなる企業サイトとの連携で進める“Facebook Beacon”方式広告が,大きな広告市場を新たに生み出すものと期待されていた。だが,今はそれどころではなくなっている。ブランドのダメージが大ききなっている。そこで,Facebookも急遽方向転換し,オプトインの採用に踏み切るようだ。Facebook Beaconを承認するユーザーが減り,News Feedのソーシャル広告の離陸が遅れるかもしれない。
今回の騒動で,プライバシー問題が見直されている。ソーシャル広告なども,一種の行動ターゲッティング広告である。 eMarketerの予測によると,来年の行動ターゲッティング広告市場は,今年の2倍の10億ドル台に乗せるという。2011年には38億ドルに膨れあがる有望市場である。その有望市場に満を持して打って出たのが,Facebook Adsであったのだが・・・。
◇参考
・Coke Is Holding Off on Sipping Facebook’s Beacon(Bits,NYTimes.com)
・Why the Future of Online Advertising is About Identity(Influential Marketing Blog)
・The Days of our Facebook: How Love Moved to Hate(CentralNetwork)
・Two More Facebook Advertisers Say No To Beacon(Silicon Alley Insider)
・Your Privacy Is An Illusion: Does Facebook Beacon spy on you without asking?(Vallywag)
2007年12月04日
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