もともと国民から徴収した受信料収入は,英国民向け放送以外のためには使えないことになっている。だが,実際にはそうなっていない。例えば,今年6月にBBCがポッドキャストでベートーベンの交響楽全て(第9番まで)を無料放送サービスした時は,140万人もの米国人が利用したという。国民からの受信料で成り立っているテレビやラジオ番組を,無料で外人にダウンロードさせたりするのはおかしい,という声が出てくるのはやむを得ないところか。英国外からのアクセスを技術的に識別できるようになったことも,海外アクセスの有料化に向かわせているようだ。
ただし,BBCオンラインの売り物であるBBC NEWSは有料化の対象にならないようだ。英国ジャーナリズムを誇示するサイトだし,英国の政治,経済,文化を海外に伝える場でもあるので,これまで通り無料で閲覧できそうだ。
一つ課題がある。旅行や仕事で海外に出かけている英国人が,有料化コンテンツを利用する場合である。英国人なら自由にアクセスできるはずのコンテンツを,国外からも自由に利用できるようにしなければならない。面倒な手続きが必要になるかもしれない。
◇参考
・BBCi Plans To Charge For Overseas Access -- As Soon As It Can Figure Out How(paidContent.org)
・BBC online: free unless you're foreign(Gurdian Unlimited)
・英BBC,ベートーベンの交響楽全てをポッドキャストで