150年の歴史を誇る評論誌“Atlantic”も,オンライン事業に活路を見いだそうと躍起である。
政治から文化まで世界のあらゆる事柄を評論する老舗雑誌のAtlanticは,とりあえずオンラインサイトを構えてはいたが,硬派で保守的な体質がゆえに冴えない作りのサイトとなっていた。
ところが昨年の春あたりから風向きが変わった。Atlantic.comに力を入れ始めたのだ。まず,ブログやビデオなどサイトオリジナルのコンテンツを導入した。中でも話題になったのは,政治評論で有名なAndrew Sullivan を招き入れ,同氏の政治ブログ“The Dayly Dish”をAtlanticサイト内に持ってこさせたことだ。
Sullivan効果はすぐに現れた。comScoreのデータによると,同サイトの月刊ユニークユーザー数が,2006年12月の7万2000人から2007年12月の30万8000人へと年間で4倍も急上昇した。増えたトラフィックの30%はSullivanのブログへのアクセスであったとのこと。
さらに昨日(22日)から,雑誌コンテンツを含めてすべてのコンテンツが,無料で閲覧できるようになった。最新号の雑誌コンテンツも登録なしで読むことができる。さらにEdiotr's Noteによると,1995年からのバックナンバーやそれ以前の一部記事も閲覧できるようだ。
NYTの記事によると,雑誌(紙媒体)の発行部数は約40万部で落ち着いているようだが,300万ドルから500万ドルの赤字基調となっておりまだまだ厳しい状況に直面している。米大統領選挙の年に有料の壁を取っ払い,オンライン事業を開花させ,5年以内での黒字化を期待しているようだ。果たしてオンライン事業が救世主になってくれるかどうか・・・。
◇参考
・Editors' Note(Atlantic.com)
・A Venerable Magazine Energizes Its Web Site (NYTimes.com)
・米国の人気RSSフィード(その1),日本との違いがくっきり(メディア・パブ)
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