共に,前年同期に比べ売上高を伸ばしたが,純利益を大きく減らした。 DJ ではMarketWatchの売上が,NYTCではAbout.comの売上が,今期は新たに計上されいる。つまり,大型買収によって得た事業の売上が,売上高増に貢献している。にもかかわらず大幅に利益を落としているのだ。新聞業界が抱える深刻な構造的な問題を,有力2社をもってしても解消できていないことを物語っている。
DJの7-9月期決算では,売上高は前年同期比6.7%増の4億2120万ドルに対し,純利益は同19%減の1020万ドルだった。営業利益は同22.5%減の1580万ドル。やはり,WSJ紙などを持つPrint Publishing事業部門の低迷が目立つ。 売上高は同2.5%減の2億442万ドル。米国でも海外でも広告売上を減らしている。収益も前年同期のマイナス1659万ドルからマイナス2698万ドルと赤字幅を膨らませてしまった。世間の好景気を反映できていない。
一方,望みを託す電子メディアのElectronic Publishing事業部門は元気だ。売上高は同30.1%増の1億2710ドル,そして利益も 同46.3%増の3173万ドルの黒字になっている。売上高利益率も,前年同期の22.2%から今期は25%へとアップした。紙のマイナスをネットのプラスで補う形になってきた。このように今期,売上高も営業利益も大きく増えたのは,MarketWatch事業の分が上乗せしているからである。Electronic Publishingがもっと頑張らないと,同社の経営は難しくなる。
NYTCも厳しい。同社の7-9月期決算では,売上高は前年同期比2.2%増の7億9110万ドルに対し,純利益は同52.2%減の2310万ドルに落ち込んだ。営業利益は同46.55%減の4510万ドル。相次ぐ従業員削減の経費などが響いている。全体の総広告売上高は同4%増と頑張っており,看板のNew York Times Media Group,の広告も同2.9%増と健闘している。だが総販売売上高は1.2%減と歯止めがかからない状況。
オンライン単独の収支が分からないが,About.comを仲間に入れたこともあって,同社のWebサイトの集客力は増しているようだ。9月のユニークユーザー数は3500万人と過去最高に達した。ハリケーン・カトリーナ報道でアクセスが急増したこともあるが,SEO(search engine optimization)対策も功を奏したという。
◇参考
・The New York Times Company Reports September Revenues (プレスリリース)
・The New York Times Company Reports 2005 Third-Quarter Results (プレスリリース)
・Dow Jones Reports Third Quarter Results (Oct. 20, 2005) (プレスリリース)
・THIRD QUARTER 2005 EARNINGS SCHEDULE(プレスリリース)