Googleは収益の大半を検索広告事業に頼っている。その検索広告売上高はクリック数にほぼ連動するだけに,クリック数が減り始めるとGoogleは大打撃を被りかねない。comScoreの統計データに株価も敏感に反応し,Google株が低落した。
発表データに過剰反応し業界がややパニック状況に陥っていたので,comScoreが沈静化に動いた。comScore CEO のMagid AbrahamはJames Lamberti( SVP of Search and Media)と共に,同社ブログで今回の発表データについて解説を行っている。
クリック数が減った大きな理由の一つとして,次のように説明している。
More specifically, the evidence suggests that the softness in Google’s paid click metrics is primarily a result of Google’s own quality initiatives that result in a reduction in the number of paid listings and, therefore, the opportunity for paid clicks to occur.
“Google’s own quality initiatives”が何を意味しているのかが理解できていないのだが,TechCrunchによると誤ってクリックしないように広告方式を改良したようである。その結果,掲載広告が少なくなり,広告をクリックする機会も減ったようだ。
もともと景気後退で,中小企業からの広告出稿そのものが減っていることも考えられる。さらに,サブプライム問題などでユーザーの消費意欲も減退しており,クリックする気にならないのかもしれない。
いろんな理由があるにしろ,クリック総数が減ってきた。なのにGoogleの広告売上が伸びている。なぜならクリック単価が上がっているからのようだ。“Google’s own quality initiatives”が,クリックの質を高めクリック単価値上げに結びつくのかどうかは,つかめていない。
ともかくcomScoreのデータでは,米国でのGoogleのペイドクリック(paid click)数が,2008年1月に前月から7%も減っている。同じ時期に,検索クエリ数が9%も増加しているにもかかわらずである。検索クエリ当たりのクリック数が16%も落ち込んでいることになる。市場の平均値と比べて,Googleのクリック数の減少率が際だって高いことが気になる。
次に,検索結果ページに広告が掲載されている割合(Ad Coverage Index)も重要な指標である。GoogleのAd Coverage Indexが,以下のグラフのように,やはり年初にかけて低下している。クリック率(paid click rate)も低下傾向にある。
(ソース:comScore)
このように,Googleにとって悪いデータが並んでいるが,米国での広告売上は減ってはいない。それどころか相変わらず増えている。先に述べたように,クリック単価が上がっているためで,クリック当たりの売上は21%もアップしたようだ。
Googleの検索広告に変調が見られているのは確かなようだ。特にGoogleのペイドクリック数の減り方が際だっていたが,それは広告方式を改良したためとcomScoreは説明している。Googleの検索広告が曲がり角を迎えているかどうかは,もう少し見ていく必要がありそう。それにcomScoreデータの信憑性についても,ちょっと気掛かりであるが。
◇参考
・Why Google's surprising paid click data are less surprising (comScore Voices)
・Comscore on Comscore Google Disaster: No Big Deal( Silicon Alley Insider)
・Question for Comscore: Did You Talk to Google About Report?( Silicon Alley Insider)
・グーグルのピークは終わるのか(メディア・パブ)
・グーグルのクリックスルー率が減ったのはクリックエリア変更の影響(TechCrunch Japanese )
気がします。google wikiあたりも
すごそうですし^^
昨今のセキュリティソフトや、ブラウザのAdd-Inが原因しているかもしれません。
これらのソフトやAdd-Inで使用されているデータは各社(者)独自に集めているものだと
思いますが、Googleの広告関係やアクセス解析はドメインごとブラックリストに
入っていて、ブラウザ上に表示すらされないというのが現実ですから。
これからのアメリカ経済にも注目していかないといけないですね。