オンラインニュースを発信しているパブリッシャー(新聞社や出版社)は,かねてから検索エンジンに対して多かれ少なかれ不満を抱いていた。検索エンジンはクローラー(ロボット,スパイダー)を用いて検索対象のWebサイトのコンテンツを収集し,検索できるようにインデックス化している。ところがパブリッシャー側からすれば多くの場合,自分たちのコンテンツを許可なしにインデックス化され,ニュースの見出し,要約,写真などが勝手に検索サービスサイト側で利用されている。
そこで,著作権で保護されているコンテンツのインデックス化の可否をきっちりと指示するACAP仕様を,WANを中心にしたパブリッシャー業界が策定し提案していた。Googleもこの提案を一応歓迎するとしながらも,評価する時間が必要としていた。ところが,Google European executiveの Rob Jonasが最近,ACAP対応に乗り気でないと思われる発言をしたようだ。既存のrobots.txt プロトコルでも,多くのパブリッシャーが要求するニーズを満たしていると言ったとか。一方WANの見方は違う。robots.txtはシンプルすぎてパブリッシャー側が十分なオプション指定を行えないと主張しているのだ。
どうもWAN会長のGavin O’Reillyが強硬派で,検索エンジンのようなニュースアグリゲーターをかなり毛嫌いしているのでは。検索エンジン市場で寡占化してきたGoogleを標的にして攻勢に転じた。ACAPによって,検索エンジンアクセスの制御権をパブリッシャー側が握れるようにしたいのだろうか。現実には,Googleと大手パブリッシャー(NYTや通信社など)の間では,協力関係が構築されているように思えるのだが。
◇参考
・WAN Calls on Google To Respect The Rights of Content Creators and Embrace ACAP(WAN)
・World's Publishers v. Google: The Fight Continues(Poynter Online - E-Media Tidbits)
・World’s publishers face off against Google: It’s getting ugly (matthewbuckland.com)