早速,試してみた。米時間22日16時のWSJ.comのトップページを開いてみると,次の3本の記事が掲載されていた。
いずれのニュース記事も有料の壁に阻まれて全文を読むことはできなかった。見出しをクリックしても,本文初めの10行分しか表示されない。たとえば,2番目の記事見出しをクリックすると,次のようなページが現れた。
2番目の記事の“Complete coverage”をクリックすると,以下のようにログインを要求された。
ところが裏技を使えば,全文を読める場合があるのだ。Google Newsサイトで"U.S. Death Toll in Iraq Nears 4,000 "を検索してみると,次のようにWSJ.comの記事が出てきた。
検索結果に現れた記事に飛ぶと,以下のように全文がタダで閲覧できたのだ(ここでは記事の一部しか貼り付けていない)。
この記事のURLは,
http://online.wsj.com/article/SB120621934487257625.html?mod=googlenews_wsj
となっている。つまりGoogle News向けに,全文記事が用意されている。
3番目の記事も,以下のように検索結果から,全文記事へのリンクが示されていた。
この他,Digg経由でも有料記事が無料で閲読できるようだ。これらの裏技がいつも有効かどうかは定かではない。おそらく,こうしたやり方で有料記事がタダで読まれることを,WSJとしては隠しておきたかったかもしれない。
WSJは最近,無料で閲覧できる記事数を増やして,ソーシャルメディアからのトラフィック増に力を入れている。その一環として,Google NewsやDiggにおいてもWSJ記事の露出機会を増やす手が打たれたのであろう。その時,露出する記事は無料閲覧できることが前提である。そこで,WSJは有料記事も無料閲覧できる形で適当にソーシャルサイトにばらまいているようだ。
有料サービスを継続しているWSJ.com(Wall Street Journal)とFT.com(Financial Times)は,ソーシャルメディア対策として無料で閲覧できる範囲を広げてきている。FT.comの有料記事が,外部の配給先のニュースサイトで無料で読めることは,以前から時々見られていた。最近は,FT.comにおいて1ヶ月間で30本までの有料記事を無料で閲覧させたり,またFacebookの学生会員に無料化サービスを提供したりしている。WSJもFTも,有料サービスの看板を立てながら,無料コンテンツにアクセスするユーザーも増やして広告売上を大きく伸ばしていきたいのだ。
◇参考
・The Wall Street Journal's Web site is already (secretly) free(Machinist,Salon.com)
・英ファイナンシャル・タイムズ,有料サービスをFacebookの学生会員に無料提供(メディア・パブ)
・WSJサイトが有料の砦を死守,でも実際は無料記事拡大へまい進(メディア。パブ)
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