SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)アプリケーションを開発するサードパーティーが,ドッとFacebookプラットフォームになびくことになったのだ。このままではFacebookプラットフォームが,パソコンのWindowsのような存在になるかもしれない。危機感を募らせたGoogleが,このFacebookへの流れを阻止しようと,昨年11月初めに対抗プラットフォームとしてOpenSocialを発表した。MySpaceなどの主要SNSがこぞってOpenSocialの支持に回り,あたかもFacebook包囲網が形成される。
だが,それ以降もFacebookへの流れは変わらず,最近ではさらにアプリケーションの開発ペースが加速化しており,そして先日2万本を超えたのだ。また昨年末には,OpenSocial陣営のBeboまでがFacebookクローンのプラットフォームを構築した。そこでBeboサイトを覗いてみると,以下のように1837本のアプリケーションが登録されていた。
このように実績を重ねていくFacebookオープンプラットフォームに対し,追走するGoogleのOpenSocialは仕様を固めている段階で,各SNSに本格的に実装されていくのはこれからである。OpenSocialを業界標準として幅広く浸透させていくには,Googleプロジェクトの看板を下ろし中立性をもっとアピールする必要が出てきた。そこで生まれたのが非営利団体“OpenSocial Foundation”である。その設立発表の発起人に,GoogleとMySpace(News Corp)に加えて,注目のYahooも名を連ねる。Foundation設立の背景の一つに,YahooがOpenSocial陣営に入りやすくすることがあったのかもしれない。
ともかく今は,Google対抗でMicrosoftがYahooに買収を仕掛けている最中である。いくらGoogleの看板を下ろしたとしても,YahooがGoogleと並んでFoundationを設立するのは,Microsoftにとっておもしろくないはず。
一方で,MicrosoftはFacebookに2億4000万ドル出資し,広告パートナーとしてFacebookと手を組んでいる。オープン路線に舵を切り替えたMicrosoftだが,おいそれとOpenSocial Foundationに入りずらいところがあるのだ。Facebookもサードパーティーのデベロッパーや会員ユーザーからの要求が高まらない限り,すぐにはFoundationに参加しないだろう。
またMicrosoftは今週,Facebook,LinkedIn, Tagged, Hi5, Beboの大手SNS5社と提携して,各SNSとWindows Liveとの間でデータポータビリティーを実現していくことを明らかにしたばかりだ。FacebookやBeboのユーザーは,Windows Liveの自分のアドレス帳の友人をSNSに取り込むことができる。また逆にWindows Live Messengerで提携SNSの友人を招待することができる。
このような流れを見ていると,Google,Yahoo,MySpaceのOpenSocial陣営に対して,仲間入りしていないFacebookとMicrosoftが手を組んでいることになるのか。でもMicrosoftがYahooを買収すると,この対立構造も崩れてしまいそうだ。さらに,ReadWriteWebやTechCrunchなどが述べているように,呉越同舟のOpenSocial陣営には分裂の心配がいつも付きまとう。
◇参考
・More Questions Than Answers About OpenSocial(ReadWriteWeb)
・グーグル vs フェースブックの対決が鮮明に,逆風のFacebookに一転追い風が(メディア・パブ)
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