2008年第1四半期の売上高は前年同期比4.9%減の7億4800万ドルと下降線を辿っている。中核のNews Media Group(NYT紙やNYTimes.comなど)の売上高は5.7%減の7億2000万ドルであった。落ち込んだ要因は,言うまでもなく広告の低迷である。同Groupの広告売上高は4億3200万ドルで前年同期に比べ10.6%も減らした。ちなみに販売売上高は2億2700万ドルで前年同期比1.9%増。
ともかく深刻なのは広告売上高が歯止めなく落ち込んでいることだ。新聞紙広告の不振が大きく響いているが,インターネット広告が10%少々の増加率で期待ほどに伸びていないのも心配だ。
また,新装したWall Street Journal紙の動きも気になる。昨日のWSJの紙面刷新で,WSJ紙は予想通りNYT紙の領域に浸食してきた。第1面ページに,これまで以上に多くの政治記事や国内/海外事件記事を掲載している。op-ed記事も拡充し,ページ数を2から3に増やした。平日のスポーツ欄も加えた。また秋からのウィークエンド版の文化欄を開発中である。読者層の拡大を狙っているのだろう。オンラインのWSJ.comも秋に刷新する予定である。
NYTが経営悪化で苦しんでいるときに,WSJが攻め込んできたのだ。何らかの手を打つ必要がある。そこで出てきたのが,「BlommbergとNYTの合併」の話である。“Murdoch, Ink.”というタイトルのNewsweek記事が,Michael Bloomberg(現NY市長)の友人が彼にBlommbergとNYTとの合併を検討するよう促したと伝えている。具体的な話ではなくて,様子を見るための観測気球を上げたようであるが。これまでもBlommbergがNYTを救い出すべきだとの提案があちこちで提案されてきた。今度は時期が時期だけに,ひょっとするとの声も。News Corp傘下のNew York Postが早速,“ Mayor Mike Bloomberg may emerge as a white knight for the New York Times.”とはやし立てる。
ついにMichael Bloomberg本人が,「新聞事業に参入することはあり得ない。自分は新聞人ではない」と全面否定を。今のところ一件落着のようだが,将来どうなるやら。
◇参考
・Murdoch, Ink.(Newsweek)
・NYTC Reports First-Quarter Results(NYTプレスリリース)
・Craigslist Makes a Mint the Old Fashioned Way(ClickZ)
・Earnings: Gannett Q1 Revs Fall 8.4 Percent; Income Falls 8.9 Percent(paidContent.org)
・The Murdoch Effect: Bloomberg-New York Times Merger Thoughts?; Civic Duty To Save NYT(paidContent.org)
・Bloomberg says not interested in newspaper business(Reuters)
・TIMES MAY BE FIT FOR BLOOMBERG MERGER(New York Post)
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