米新聞社サイトのソーシャルメディア化は一昨年あたりから始まってはいた。だがこれまで,RSSフィードとか社内ブログなどを採用して,外部ソーシャルメディアからの集客を増やすことに注力していた。つまり閲覧者が入ってくるインバウンドリンクは歓迎していたが,閲覧者が外に出て行くアウトバウンドリンクは避けていた。
しかし昨年ころから,自社記事を引用したブログなどへのアウトバウンドリンクを採用することが増えてきた。新聞社サイトとソーシャルサイトとの往来を促したのだ。washingtonpost.comも多数の外部ブログとの間でブログネットワークを開設していた(このブログネットワークは一種のアドネットワークでもあったが,成果が上がらず最近閉鎖された)。
このようにアウトバウンドリンクを一部認め,新聞社サイトも少しずつだが開放路線を歩み始めていた。だが,記事本文からのアウトバウンドリンクは事実上禁止されたままであった。それが今回,washingtonpost.comがpaidContent.orgに続いてTechCrunchともコンテンツパートナーとして契約し,外部ブログを記事本文に使うことになった。ということは,記事本文からのアウトバウンドリンクが発生することになる。
実例を見ていこう。washingtonpost.comの技術(Technology)ニュースページ(washingtonpost.com > Technology)にアクセスすると,以下のように,パートナーブログの記事案内枠が現れる。

先週に契約したばかりのTchCrunchの記事見出しに加えて,paidContent.orgとmocoNews.netの記事見出しが掲載されている。いずれも個人ブログの域を脱しており,ブログ出版社が発行するブログと見るべきだ。ちなみに mocoNews.netは,paidContent.orgと同じcontentNextに属するブログである。
これらブログの記事とはアウトバウンドリンクで繋がっているのではなくて,クリックするとwashingtonpost.com記事にそのまま飛び閲覧できるのだ。以下は,Washingtonpost.comの記事として掲載されたTechCrunchのブログ記事である。この例では,VentureBeatやBusinessWeekへのアウトバウンドリンクが張られていた。その下に比較のために,TechCrunchサイト内のオリジナル記事を載せておく。
●washingtonpost.com掲載のTechCrunch記事

●TechCrunchのオリジナル記事

washingtonpost.com掲載記事とオリジナル記事とは,完全に同じではなかった。まずFacebookのロゴがwashingtonpost.com掲載記事では外されていた。宣伝のようになるのを嫌ったためであろう。また,washingtonpost.comでは上場企業名に対して会社案内ページへのリンクを張るようにしているので,オリジナル記事にはないMicrosoftのリンクを張っていた。逆に,オリジナル記事ではFacebookの会社案内を掲載していたが,washingtonpost.com掲載記事ではそれを外していた。TechCrunchではベンチャー企業が主役であるため,仕方がないところか。
◇参考
・ブロガーを喜ばせるブログ広告ネット,米新聞社WPが開始