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2008年06月02日

インターネットTVの本流は,YouTubeかHuluか

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 “Google owns the biggest television station on the planet”。米経済誌ForbesはGoogle傘下のYouTubeを世界最大のTV局だと持ち上げる。

 Nielsen Onlineが発表したVideoCensusデータを見ても,確かにYouTubeが独走しているようだ。今年2月のオンラインビデオのストリーム総計はYouTubeが29億と,世界総数の48.5%も占めている。 Fox Interactive Media が4億,Yahooが2.45億なので,他サイトを圧倒している。2月の月間ユニーク視聴者数も抜きん出ており,7000万人と世界シェアで60%となっている。

 オンラインビデオ市場でもGoogleが主導権を握ろうとしているのだ。その動きに対抗して登場してきたのが動画ストリーム配信サイトHulu.comである。米NBC Universalと米News Corpの合弁で生まれ,昨年10月からのβ版テストを経て,今年3月から米国で正式サービスを開始した。コンテンツ提供者が大同団結して運用する配信サイトは苦戦するのではと見ていたのだが,Huluの滑り出しは順調のようだ。

 4月のストリーム総数で,米テレビ局サイトの中でHuluが早くもトップに躍り出ている。ストリーム数が前月比で301%増とすごいスタートダッシュである。

Hulu200804.jpg
(Nielsen VideoCensus)

 映画会社やTV局など50社以上と契約し,TV番組とか映画,ビデオクリップを配信している。AOL,Comcast,MSN,MySpace,Yahooなどのパートナーサイトからも共同配信している。さらに,この出足の勢いを見て,Tv.com,TVGuide.com,Break.com,Zap2it.com,BuddyTV,Flixster,それにMyYearbookも,次々とHuluのコンテンツを配信することになった。

 だが,HuluとYouTubeでは一部競合する側面もあるが,全面対決する間柄ではなさそうだ。Huluは合法的な動画コンテンツをスポンサー付で無料提供するサイトである。プロのコンテンツが対象である。残念ながら当初の配信は,米国内に限定されている。一方のYouTubeは大量のUGV(User Generated Video)も含んだ動画投稿サイトで,一部非合法のコンテンツも混じったりしている。配信ストリーム数ではYouTubeが段違いに多い。危なっかしく,そして怪しい動画も満載のYouTubeに,多くの人が集まるは当然ということか。

 ということでNews Corpのマードックも,YouTubeを訴訟することはしないで,プロモーションの場として利用していきたいと話す。Huluは著作権をきっちりとコントロールできる場として位置づける。実際,Huluをプロモーシュンするために,YouTubeにHuluDotCom channel を設けている。LATimes.comの記事によると,ある日には,HuluDotComがYouTubeの中でもっとも視聴数の多いチャンネルになったという。確かに,Huluが提供するコンテンツのビデオクリップが,かなりYouTubeで視聴されている。またNBCはHuluのサービス開始に合わせて、同社コンテンツをYouTubeから引きあげたはずだが、プロモーションのためにYouTubeで再登場させているのがおもしろい。

HuluDotCom.jpg

 ビデオクリップの一つを貼り付けておく。


 このように,YouTubeとHuluは共存しそうでもあるが,これから本格的に立ち上がるオンラインビデオの広告市場では競合しそう。Huluはもともと広告有りを前提にした動画配信サービスを展開しているのでわかりやすいが,YouTubeの広告事業の先行きは読みづらい。悲観論も少なくないが,Forbesは楽観論を語っている。Forbesの記事によると,Youtubeの売り上げは今年が2億ドルで,来年は3.5億ドルと,これから急増していくと予言している。


◇参考
・GooTube(Forbes.com)
・YouTubeキラーの“Hulu”,出足の評判は上々(メディア・パブ)
・Web Scout: Spinning through online entertainment and connected culture(LATimes.com)
・IDC: US Internet Ad Spending to Boom(CIO)
・NBC using YouTube clips to drive Hulu traffic(ars technica)
・Hulu lands new partners as usages rises(Reuters)
・Hulu by numbers(Reuters)
・Hulu vs. YouTube II: 'Family Guy' Takeover(LATimes.com)
・Game Still Over: YouTube Gains Share, Again(Silicon Alley Insider)
・YouTube,米オンラインビデオ市場でも寡占化進む(メディア・パブ)
タグ:YouTube Hulu

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posted by 田中善一郎 at 08:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
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