スマートフォン専用ページを表示

メディア・パブ

オンラインメディアをウオッチ
<< 欧米企業サイトが開設する「ソーシャル・メディア・ニュースルーム」とは | TOP | 奇跡の女性サイト“Glam”(1),Facebookをしのぐ勢いで日本上陸へ >>
2008年06月24日

国内でも「ソーシャルリリース」が胎動

Tweet このエントリーをはてなブックマークに追加
 先のエントリーで「ソーシャル・メディア・ニュースルーム」が欧米の企業サイトで生まれてきていることを紹介した。企業が発表する資料としては,新聞や雑誌,テレビ放送などのマスメディア向けプレスリリースだけではなくて,ソーシャルメディア向けリリースも用意する動きが出てきたのだ。ブログやSNS,ポッドキャスティング,動画/写真共有などのユーザー参加型サイトが爆発的に成長するにつれて,ソーシャルメディアがマスメディア以上の影響力を発揮することも多くなっているのである。ソーシャルメディア向けのニュースリリースが生まれてくるのも当然の流れかもしれない。

 ソーシャルリリースは一般にブログのような体裁をとっている。コメントやトラックバックを受け付けたり,また音声や写真,動画のマルティメディア機能も大抵備えている。発表内容の理解を助けたり,また掘り下げて調べることができるように,ネット上の関連情報へのリンクを張ったりもしている。また音声はポッドキャスティングサイトに動画はユーチューブに配したりして,企業が伝えたいメッセージがより幅広くソーシャルメディア内を伝播するようにしている。もちろんパーマリンクやRSSフィードは欠かせない。

 米国のPRNewswireやBusiness Wireなどのプレスリリース配信会社も,プレスリリースにこうしたソーシャルメディア対応機能を少しずつ付け加え始めている。その成果か,これまでブロガーなどに見向きもされなかったプレスリリースが,ソーシャルメディア系サイトでかなり頻繁に引用され始めているのである(こちらを参照)。

 これまでのマスメディア全盛時代では,プレスリリースを用意したとしても一般の中小企業が発表した製品やサービスがマスメディアで取り上げられることは極めて稀であった。だが,ソーシャルメディア時代では中小企業でもうまくソーシャルリリースを発信すれば,ソーシャルメディアを介して企業が伝えたいメッセージが多くの消費者に届く可能性が出てきたのだ。つまり,ロングテール企業でもリリースでビジネス機会が得られるということか。でも,独自に「ソーシャル・メディア・ニュースルーム」を構えるのは,中小企業には荷が重そう。たとえ立ち上げても,ソーシャルリリースがほとんど気づかれずに埋もれたままになりそうだ。

 そこで中小企業としては,リリースをソーシャルメディアに広く伝播させてくれる専門業者に任せたい。それに応えたソーシャルリリース配信会社が国内にも存在する。ニューズ・ツー・ユーである。News2u.netと称するサービスを実施している。

News2unet.jpg

 同サービスでは,企業の発表リリースを「プレスリリース」と言わずに「ニュースリリース」と呼んでいる。マスコミへのリリース配信代行も実施するが,ユーザーやソーシャルメディアにリリースが届くことに注力しているからだ。

 企業のニュースリリースは,ニュースリリースポータル「News2u.net」に置かれるとともに,約25サイトの提携先情報ポータルにも掲載される。提携先サイトには,Yahoo!オンビジネス,cyboze.netなどのビジネス関連や,excite,goo,Infoseek楽天などの総合ポータル,それにCNET JapanなどのIT関連が含まれる。中小企業のリリースでも,こうした多くのサイトで露出されることにより,一般の人の目に触れる機会も増えることになろう。

 ニッチな,あるいは特殊なキーワードに対応するニュースリリースだと,検索で上位に表示される場合が多くなるという。また各ニュースリリースはパーマリンクの形でニュースリリースポータルに置かれる。このため,各ニュースリリースは発表直後だけではなくて,かなり後になってもアクセスが多いのが特徴のようだ。平均すると,アクセス数の半分は発表してから1週間後という。

 このサービスの利用料は年間契約の場合で月額10万5000円(税込み)となっており,配信本数に制限がない。これまで累積で1.050社が利用し,投稿されたニュースリリースが2万9973本も溜まっている。

 利用企業は中小企業だけではない。大企業も増えているようだ。これまでのプレスリリースは全社的な公式発表となるため,どうしても障壁が高くなる。たとえば事業部単位でいろんなキャンペーンを実施したくても,臨機応変にリリースを出せないことが多かった。そこで,事業部単独でこのサービスを利用している大企業も少なくない。

 ただし,こうしたソーシャルリリース配信サービスを利用して,ネット上でリリースの露出を増やしたとしても,必ずしも(ソーシャル)ニュースリリースへのアクセスが多くなるとは限らない。ニュースリリースの内容がつまらないと誰も振り向いてもらえない。企業が魅力あるニュースリリースを発信していくには,特徴ある製品やサービスを出すなりして,ユーザーが関心を抱くイベントを仕掛けていく必要があるのだ。おもしろそうなニュースリリースを出し続けていけば,ニュースリリースの閲覧数も増え,そしてその企業のウェブサイトへのアクセスも増ることになる。ニュースリリース閲覧者の約25%が,そのリリースからのリンクで企業サイトに訪れているという。


◇参考
・Electrolux launches a social media newsroom(weconverse)
・MEET MINNEAPOLIS LAUNCHES SOCIAL MEDIA NEWSROOM(PRNewswire)
・ソーシャルメディア向けニュースリリースが定着の兆し(メディア・パブ)
・Web2.0時代の企業ニュースリリース,ソーシャルメディア向けに発信を(メディア・パブ)
・「ソーシャル・メディア・ニュース・リリース」の採用,米企業が次々と(メディア・パブ)




タグ:PR

この記事をブックマーク: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事を検索: Google 検索
posted by 田中善一郎 at 08:33 | Comment(0) | TrackBack(1) | マーケティング 広告
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

media pub でNews2u.netを紹介いただきました!
Excerpt: いつも愛読しているブログ「media pub」にNews2u.netを紹介いただ...
Weblog: ネットPRのニューズ・ツー・ユー社長のブログ : minako's blog
Tracked: 2008-06-24 15:59
Powered by Seesaa
Seesaaブログ
新着記事
(10/17)激しく責め立てられる「…
(09/19)動画配信のソーシャル系…
(09/11)SNS上のニュースは不正…
(07/28)勢いが続く「LINE」「In…
(06/30)TVニュースだけではなく…
(06/15)ニュースユーザーのFB離…
(06/01)高年層のSNS利用が増え…
(05/21)金融新聞「FT」までがFB…
(05/06)米ニュースメディアが相…
(04/16)モバイル広告市場を牽引…
(04/10)FBのアルゴリズム変更後…
(03/14)紙の「雑誌ブランド」は…
(02/07)「メディア」も「プラッ…
(01/30)国民の信頼が最も低い米…
(01/21)メディアに好かれる「グ…
(12/21)若いミレニアル世代ほど…
(12/08)世界の全広告費の25%を…
(11/28)デジタル売上8億ドルの…
(09/28)「グーグル」と「FB」が…
(09/07)FBに頼る海外のニュース…
カテゴリ
RSS配信 ブログ(202)
マーケティング 広告(339)
新聞 ニュース(702)
出版 雑誌(319)
TV  ビデオ ラジオ(277)
ポータル サーチエンジン(179)
メディア(94)
ケータイ モバイル(115)
市場(144)
その他(47)
日記(1)
Web2.0 SNS CGM(312)
ネットワーク(30)
ビッグデータ AI(4)
過去ログ
記事検索
 
プロフィール
名前:田中善一郎
E-mail:ztanaka@excite.co.jp