2009年06月02日

アマゾンが主導権を握ろうとする電子書籍市場,グーグルが年末に参入

 Googleは電子書籍市場に参入するつもりのようだ。

 NYTimes.comによると,先週末ニューヨーク市で開かれた年次 BookExpo会議で,Googleは電子書籍市場に参入する意向をほのめかした。パブリッシャー(出版社)がデジタル版書籍を,Googleを介して消費者に直接販売できるようにしたいという。

 電子書籍市場は,Amazonが電子書籍端末Kindleを武器に主導権を握りつつある。そこでGoogleが待ったをかけたいのだろう。Amazonは攻撃的な価格戦略で,Kindle対応の電子書籍の普及を図ろうとしている。書店で26ドルで販売されているようなハードカバーの書籍を,AmazonはKindle版を9.99ドル近辺で売るようなことをしている。これに対して,Goggleはデジタル版書籍の販売価格を,出版社が自由に設定できるようにする。このため,Amazonの価格戦略に不安を抱いている出版社は,Googleの動きを歓迎しているという。

 コンテンツビジネスでは,誰がコンテンツ価格を決めていくかが重要である。コンテンツホルダーとしてはできる限り,自分たちのコントロールで販売価格を決めていきたい。だが,流通の主導権を握った特定の企業が,価格決定権を持つようになる。オンライン音楽ビジネスでは,iTunesを抱えたAppleが音楽コンテンツの価格をコントロールしているように。同じように,Amazonがデジタル書籍の価格をコントロールしようとしているのに対して,幾つかの出版社が懸念を抱いているのである。

 Googleはブック検索で,多くの書籍をデジタル化しており,それらの書籍を販売していきたいのだろう。またGoogleの狙いとしては,Kindleのような専用の電子書籍端末だけではなくて,ケータイを含めてどのインターネット端末でも,デジタル化した書籍を読めるようにしていきたいようだ。

 すでにGoogleは今年の3月にソニーと提携し,電子書籍端末「ソニー・リーダー」向けに著作権が消滅している書籍50万冊を無料で提供している。いずれ,Googleを介して売られる有料の新刊書なども,読めるようになるはずだ。

 最後に,Amazon.comで今日(6月2日)から販売される新刊書を例に,ハードカバー版とKindle版の価格を示しておく。この例では,リスト価格24.95ドルの書籍が,ハードカバー版のAmazon価格が16.47ドル,Kindle版が9.99ドルとなっている。

PriceKindle.jpg




◇参考
Preparing to Sell E-Books, Google Takes on Amazon(NYTimes.com)
Sony: Take That, Amazon!(BusinessWeek.com)
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2009年05月20日

文書共有サイト“Scribd”,マーケットプレースでマネタイジングを

 PDF文書やPowerpointのプレゼン資料,さらにはWord文書やスプレッドシートと,パソコン上で利用するドキュメントは多種多様である。こうしたドキュメントを投稿し,みんなで共同利用する文書共有サイトが定着してきた。Scribdも人気の高いサイトで,以下のCompeteの調査でも明らかなように,米国でのユニークユーザー数がこの1年間急上昇している。世界中から月間6000万人が訪れているとも言われている。メディア・パブでもこれまで何度か利用させてもらっている(たとえばこれ)。


ScribdCcompete.jpg
(ソース:Compete)

 文章共有サイトのScribdでは,動画共有サイトのYouTubeと同じくコンテンツをタダで享受させているものだから,ユーザー数がうなぎ上りに増えてきた。集客力は申し分ないのだが,課題はマネタイジングである。YouTubeは広告モデルで突き進んでいるが,安定した収益モデルがまだ見えてこない。この不況下では,広告モデルだけでの浮上はきつい。

 そこで,Scribdでは文書のマーケットプレース“ Scribd Store”を開設し,iTuneのように Pay-Per-Downloadによるマネタイジングに挑戦することになった。とりあえず, Scribd Storeにアクセスしてみた。

 次のカテゴリーの文書が販売されていた。

Fiction
Non-fiction
Travel
Business & Economics
Religion & Spirituality
Research
How-to-Guides & Manuals
Arts & Architecture
Magazines & Newspapers

 それぞれ、かなり多くの文書が販売されている。閲読回数も掲載されているので,各文書の人気度がわかる。文書の一部を立ち読みできるようにもなっている。Magazines & Newspapersでは,雑誌記事や新聞記事を販売していた。まだ少ないが,現在売られている雑誌/新聞記事の販売単価は1ドルから8ドルの範囲である。

 ここで,ある文書“Yucatan, Cancun & Cozumel”がどのように売られているかを追ってみた。Storeでは以下のように紹介されている。 337ページの文書で,2400人近くが閲読しており,11人が気に入っている。販売単価は7.99ドルである。

ScribdStore.jpg


 この文書の立ち読みも,以下のように可能だ。この文書では,337ページのうちの50ページ分を閲読できた。



 
 次にこの文書を購入できるかをチェックしてみた。すると,次のメッセージが現れる。今は,米国内だけの販売サービスである。ただし,海外展開も現在準備中とのことだ。

ScribdUSonly.jpg


 Scribd Storeはパブリシャーやコンテンツホルダーにとって,魅力あるサービスに育つかもしれない。販売価格も現在は,単価が1ドルから5000ドルの範囲で設定できる。Research分野では既に,単価5000ドルの調査資料が数多く売られている。

 ここで気になるのが売上の配分率である。販売売上の20%がScribdの取り分となるが,残り80%がパブリシャーに分配されるのだ。これは,パブリシャーにとって好条件である。最近AmazonはKindle向けのブログ販売を始めているが,この場合のAmazon取り分は70%で,ブロガーには売上の30%しか入ってこない。

 最近Scribdは, O'Reilly MediaやSimon & Schuster, Random Houseなどの大手出版社との提携も進めている。雑誌/書籍(e-Magazine,e-Book)の売り場として,またプロモーションの場として活用させていきたいのだろう。雑誌や書籍の章単位の販売にも力を入れていきそうだ。また同社は,文書の検索や閲読ができるApple iPhone applicationを出す予定である。


◇参考
Site Lets Writers Sell Digital Copies(NYTimes.com)
Scribd Store: YouTube for Documents Becomes iTunes for Documents(Mashable)
Social Publishing Site Scribd Adds E-Commerce; 80 Percent Revenues To Publishers(paidContent.org)
Print Books Are Target of Pirates on the Web(NYTimes.com)
Free books site Scribd to open internet store(Times online)
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2009年01月30日

「安らかに眠れ」と新聞や雑誌の死を告げるサイト

 新聞や雑誌の紙媒体が最近,米国では相次いで休刊している。そこで賑わっているのが,新聞や雑誌の死を伝えるサイトである。

 Newspaper Death Watchは,新聞社員のレイオフから新聞の休刊までを伝えるサイトである。トップページの左サイドには,R.I.P.(rest in peace)「安らかに眠れ」と告げられた新聞名が掲載されている。

NewspaperDeathWatch.jpg


 一方のMagazine Death Poolは,休刊雑誌を伝えるサイトである。昨日のトップページは以下のとおり。Realms of Fantasy誌の休刊が伝えられていた。
 
MagazineDeath.jpg

 昨日(1月28日)はもう1誌,同サイトで「安らかに眠れ」と宣告されていた。その雑誌の表紙,最近どこかで見た覚えがる。それもそのはず,2日前の記事「米大手出版社コンデナスト,デジタル部隊の統合化でネット事業を強化」で,Dominoをコンデナストの発行雑誌の一つとして紹介したばかりである。NYTimes.comでも同誌の休刊を報道していた。NYTの記事によると,Dominoは80万部もの発行部数を誇るのに,広告ページが1年間で26%も減ったため休刊するようだ。

Domino.jpg

 新聞や雑誌の広告ページがこれからも減っていくのは避けられそうもない。ということは,休刊ラッシュで「安らかに眠れ」サイトは賑わうことになる。大不況で帝国データーバンクの倒産情報サービスの利用が増えるのと同じかも。

タグ:新聞 雑誌

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2008年10月14日

アブダビが世界のメディアセンターになるのか?

AbuDhabiNewMediaHub.jpg

 アラブ首長国連邦(UAE)の首長国であるアブダビ(Abu Dhabi)が,将来,ニューヨークに代わる世界のメディアセンターになるかも??

 ニューヨークを震源地とする金融危機で青息吐息の先進国を尻目に,オイルマネーで潤うUAEのアブダビに国際メディアセンターが誕生することになった。欧米の有力メディア企業も数多く参画する。

  "twofour54"と称する20万平米のメディアゾーンが,2009年初めに立ち上がる。次のようなものを提供する。
・production facilities,infrastructure, training and a new business incubator for the development of world class Arabic content by people from the Middle East region.

 以下のメディア企業が加わる。
CNN, BBC, National Geographic Films and the Financial Times; the Thomson Foundation (a media development NGO) and the Thomson Reuters Foundation; publishers Random House and Harper Collins; C Sky Pictures, Rotana Studies and the Abu Dhabi Media Company who will all be setting up offices there.

 CNNは,同社の4番目のグローバル放送センターを2009年の早い時期にスタートさせる。またNational Geographic EntertainmentはImagenation Abu Dhabi と組んで,1億ドルのファンドで今後5年間で10〜15本の映画を作る。

 隣のドバイは世界一の超高層ビルを建築中であるが,アブダビは中近東の国際文化ハブを目指しているとか。

twofour54.jpg



◇参考
Abu Dhabi vies to become region's new media hub(MENASSAT)
CNN to Start Its Fourth Global Broadcasting Center in Abu Dhabi (Bloomberg)
Abu Dhabi to make movies with National Geographic(ABC News)
Reaching for a Higher Profile, Abu Dhabi Opens a Hub for Western Media(NYTimes.com)
1マイル(1.6km)の超高層ビルに加えて,富士山に迫る超超高層ビル構想も(メディア・パブ)
タグ:メディア

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2008年10月01日

メディア産業全体から見れば, Googleもオンラインもまだ小さい

インターネットがメディア産業を牽引し,その主役をGoogleが演じている・・・,と言いたいところだが。でもメディア産業全体から見て,現段階の売上規模だけで比較すると,まだまだGoogleもオンラインもマイナーなのかもしれない。

 Ad Age(AdvertisingAge)が発表した2008年版メディア調査によると,米メディア企業の2007年売上高ランキングでGoogleは大きく上昇したにもかかわらず,まだ12位とトップ10社に食い込めていない。またメディア産業全体の中で,デジタル(オンライン)メディアの占める割合はまだ7.9%に過ぎないのだ。

 Ad Ageのレポートでは,米メディア企業トップ100(100 Leading Media Companies)を,Excelファイルの形で提供してくれている。その表の一部を切り出して,以下に掲げておく。

MediaRanking2007.JPG
(ソース:Ad Age)

 トップ31社しか載せていないが,Google,Yahoo,Microsoft(メディア部門)の新興オンラインメディア企業を除いて,すべてが伝統的メディア企業である。またソースの表では,次のようなカテゴリー別にメディア部門の2007年売上高を示していて,参考になる。ここでは,デジタルメディア,新聞メディア,雑誌メディアだけを載せた。

NEWSPAPER
MAGAZINE
OUT OF HOME
DIGITAL
MOVIES & HOME ENTERTAINMENT
TV
RADIO
CABLE NETWORKS
CABLE SYS/SAT
OTHER
YELLOW PAGES



 次のグラフは,カテゴリー別メディアの売り上げシェアを示している。売上には,広告,サブスクリプション,ライセンスなどが含まれる。

USMediaRevenue.JPG
(ソース:Ad Age)


 米トップ100社(メディア部門)の2007年総売上高は2990億ドルとなっている。デジタルは7.9%で,売上規模では5番目のメディア。トップは31%のCABLE SYS/SAT(System/Satellite)である。

 新聞メディアの売上シェアは10.4%と,4番目で踏ん張っているようだが。でも急下降しており,過去の栄光の面影はほとんどない。Ad Ageはこのようなメディア調査を20年前から始めているが,1988年レポート(1987年売上)によると,その当時,新聞はまさにメディアのキングであったようだ。メディア別売上シェアで,新聞は35.9%も占めていたのだ。そして,トップ100には37社の新聞社が名を連ね,トップ10のメディア企業に何と4社もがランクされていた。

 それが今年のランキングでは,トップ10には新聞社の姿は見当たらない。昨年は,Gannettが14位,Tribuneが17位,NYTが23位となっているが,今後さらにランクを落としていくことになりそう。金融危機により広告離れが加速化するのは避けがたく,これからどうなるのだろうか。



◇参考
Index to the 2008 Media 100(Advertising Age - DataCenter)
Net U.S. media revenue by sector in 2007(Advertising Age - DataCenter)
タグ:メディア

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2008年09月30日

減り続けるメディア人口, 金融危機で人員削減が加速化しそう

 メディア産業で働く人口が,米国で減り続けている。Ad Age DataCenterのレポートによると,メディア産業に就業する者が2002年に比べて,8.5%も減っているのだ。グラフからも明らかに,米国のメディア産業の人口減が止まりそうもない。

MediaJob02May08July.JPG
(ソース:Ad Age)

 だが,すべてのメディア業界で減り続けているわけではない。以下の表は,メディア別の人口増減をまとめている。2002年5月および2007年7月に比べて,現在(2008年7月)のメディア別従業員がどれくらい増減しているかを示している。

MediaJob2008July.jpg
(ソース:Ad Age)


 メディア産業全体では,2002年5月に比べて,マイナス8.5%の約8万人も減ったのである。この1年間だけでも,約2万人もがメディア業界からはじき出されている。中でも,新聞業界は深刻である。この6年間で6万4000人,この1年間で2万4000人が整理された。希望の星はインターネットメディアとなるが,2002年以降,4300人しか増えていない。この1年間は,オンラインシフトに拍車がかかたこともあって,7600人も増えてはいる。でも,オフラインメディアを追い出された人を,オンラインメディアが受け入れることができるかどうか。かなり厳しそう。

 Ad Ageのレポートはリーマンショックの前にまとめられている。今回の金融危機でさらに大打撃を受け始めており,メディア企業が至る所で悲鳴を上げている。人員削減が加速化するのは避けられそうもない。


 実はメディア人口が減っているものの,メディア産業自体は,2001年のネット(IT)バブル崩壊を経て,安定成長期に入っていた。それが2007年に入って,新聞業界を中心に,暗雲が垂れこんでいた。2007年の米メディア業界の総売上高は2991億ドルで,前年比4.6%増となっている(トップ100のメディア企業について)。以下のグラフのように,明らかに減速し始めたところに,今回の金融危機が襲ってきたのだ。2008年は急ブレーキがかかるのだろう。

MediaGrowthRate.JPG

 ここで見落せないのは,2002年からの安定成長期においてもメディア産業人口が減り続けていることだ。やはり構造的な背景があるのだろう。インターネットメディアが本格離陸し,さらにユーザー参加型のソーシャルメディアの台頭も大きい。伝統的なマスメディアで働く人は減っていても,ソーシャルメディアに参加する人を加えると,実はメディア従業員は爆発的に増えてきているともいえる。

 また,以前なら多くのメディア企業は,同じようなコンテンツを横並びで発信していても,地域や流通の壁で守られ,事業としてやっていけた。つまり同じようなコンテンツを作ったり,それを流通させるために,多くのメディア従業員を養っていけた。そのような時代は終わってきているのだ。また,テクノロジーの進歩も,職人風メディア人から多くの仕事を奪ってきている。



◇参考
Revenue Growth Slowest Since 2001(Advertising Age)
Media Employment: Industry Loses Nearly 20,000 Jobs(Advertising Age - DataCenter)
タグ:メディア

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2008年08月11日

新興メディアサイトは伝統メディアサイトよりも効率が20倍も高い?

 ブログネットワークGawker Mediaの創設者Nick Dentonは,新聞社サイトがつまらないとあざ笑っているという。

 Gawker Mediaは米国でトップクラスのブログ出版社で,次のような12種の主要ブログを抱えている。
Gizmodo - Gadgets and technology
Kotaku - Video games
Lifehacker - Lifehacks, productivity, tips, tricks, downloads and Getting Things Done
Gawker.com - New York City media and gossip
Fleshbot - Sex and pornography
Jezebel - Celebrity, Sex, Fashion for women
Consumerist - Consumer advocate
Jalopnik - Cars and automotive culture
Deadspin - Sports
io9 - Science fiction
Defamer - Hollywood news and gossip
Valleywag - San Francisco and Silicon Valley gossip
(Wikipediaより

 Gawker Mediaは勢いづいている。上の12ブログの総ページビュー(7月の月間)が2億5400万ページに達したと,このほど発表したばかりだ。米国で4番手の新聞社であるLos Angeles Timesのサイト(LATimes.com)の同月ページビューが1億2700万ページだから,新興メディアの Gawker Mediaは伝統メディアのLATimesより2倍ものページが閲覧されたことになる。なのにニュースルームのスタッフ数は,Gawker Mediaが80人と少人数で済んでいるのに対し,LATimesは700人と大所帯である。そこでGawker Mediaは,自分たちをLATimesよりも20倍近く効率の高いメディアであると自慢している。

 Gawker Mediaがすごい勢いで急成長しているのは,以下のグラフからも明らかである。
GawkerMediaTraffic.jpg

 また,発行しているブログも,以下のようにかなりのページビューを獲得しており,ブランド力のあるターゲットメディアとしての地位を確保してきている。

●Gawker Mediaの各ブログの2008年7月の月間ページビュー(単位:百万(m))
GawkerMediaNetwork200807.jpg

 ただ,Gawker MediaとLATimesをページビュー数で比較するのはお門違いかもしれない。LATimesは売上の大半を依存している新聞紙事業が中核だし,政治や社会問題,災害,事件などの信頼性を要求されるオリジナル記事を数多く発信している。多くのスタッフを抱えざる得ない。一方のGawker Mediaは身軽なネット専門メディアである。上の12種のブログの内容を見てもわかるように,ゲーム,ガジェット,セレブ,セックス,車,スポーツなどのかなりマニア的な人気テーマに絞っており,多くの人が飛びつきそうなゴシップネタも多い。このような新興メディアから老舗の伝統メディアがこき下ろされているわけだか・・・。

 でも残念ながら,伝統メディアに反発する勢いがない。それどころではない。LATimesのような新聞社は経営的に崖っぷちに立たされている。大幅なコストカット策を次々と打たなければならない。LATimesも今は150人のリストラを進行中である。編集のあり方も抜本的に見直さざる得ないだろう。新興メディアの手法を参考にしなければならないのかもしれない。
 

追記:
 Gawker Mediaのような新興メディア会社の売上高は,既存の大手新聞社や雑誌社に比べるとかなり小さい。Gawker Mediaの今年の売上規模は2000万ドルから3000万ドル程度でなかろうか。だが,オンライン専業メディアであり,また外部ブロガーを利用しているので,既存の新聞社や雑誌社に比べ,比較にならないほど低コストで運用されている。同社の企業価値は,SAIによると,1億5000万ドルとなっている。



◇参考
Gawker's Nick Denton To LA Times: I Scoff At Your Puny Web Site(Silicon Alley Media)
Gawker Media Sets All Time Traffic Record in July(Gawker Media)
Monthly web report: 127 million page views for July (Readers' Representative Journal ,
Los Angeles Times)
Gawker Media Revenue: New Est. $10-$15 Million(Silicon Alley Media)
前代未聞のジャーナリスト大量リストラ時代に思うこと(ビンボー留学便りのその後「LA・新米記者の奮闘日記」,日経ウーマンネット)
また始まった米新聞社の人員削減の嵐,NYTは100人の記者が犠牲に(メディア・パブ)
タグ:メディア

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2008年07月18日

2024年のメディア市場は5.7兆ドル

 Future of Media Summit 2008 と称する会議が,シリコンバレー(7月14日)とシドニー(7月15日)の2ヶ所で,ビデオ回線を介して開催された。Future Exploration Networkが催すこの会議に合わせて公開されたのが,Future of Media Report 2008 と題するレポートである。

 そのレポートの中から,最初の部分をちょっとだけ紹介する。まず,2024年のメディア産業の市場規模を占っていた。16年後のメディア産業(エンターテイメントも含む)は世界で5.7兆ドル(5.7 trillion )の市場規模になると予測している。現在(2008年)はPricewaterhouseCoopersによると1.7兆ドル規模とのこと。そのうちメディア広告売上はZenith Optimediaによると,以下の図のように今年は5000億ドル程度と見ている。

GlobalAds.JPG

 地殻変動真っ最中のメディア産業について,2024年の遠い将来までを見通すことは難しい。ここでは,次の7つのメガトレンドの延長上で将来を眺望している。

1. Increasing media consumption
2. Fragmentation
3. Participation
4. Personalization
5. New revenue models
6. Generational change
7. Increasing bandwidth

 特に目新しさがあるわけではないが,外部会社の予測データを使って解説していた。

 たとえば,1. Increasing media consumptionでは,メディア接触時間の推移をCaratのデータで示している。ケータイなどの浸透でユビキタス化が進み,朝から晩までメディア漬けになりそうだ。

MediaConsumtion.JPG

残りは原文をどうぞ。


◇参考
Launch of the Future of Media Report 2008! We predict the media industry will be worth US$5.7 trillion in 2024(Trends in the Living Networks)
タグ:メディア

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2008年03月18日

米国のニュースメディアを俯瞰できる報告書,今年も公開

 米国のニュースメディアのトレンドを俯瞰できる年次報告書“The State of the News Media” が,今年もPEJ(Project for Excellence in Journalism)から公開された。2004年から毎年発行されている報告書である。

 Newspapers,Online,Network TV,Cable TV,Local TV,Magazines,Radioのニュースメディア別に,2007年までのデータを基に現況やトレンドを解説している。使っているデータは調査会社や協会などがネット上で公開しているものが中心であるが,ここまで広範に収集し整理してくれていると,とても便利である。メディアのトレンドを定性的に把握していても,それを立証する定量データがすぐに見つからない場合が多い。でもこの報告書をみれば,なんとかなりそう。

 200ページを超えるボリュームたっぷりの報告書だが,無料で閲覧できる。目次は次の通り。

・Overview
・A Year in the News
・Journalist Survey
・Newspapers
・Online
・Network TV
・Cable TV
・Local TV
・Magazines
・Radio
・Ethnic
・Special Reports

 メディア別に,次のような章が設けられている。
Intro | Content Analysis | Audience | Economics | Ownership | News Investment | Alternative Weeklies | Charts & Tables

 各章の最後のCharts & Tablesが参考になる。例として,新聞,オンライン,ネットワークTVのそれぞれの図表ページへのリンクを付けておく。
Newspapers
Online
Network TV

 図のサンプルを幾つか貼り付けておく。最初の2点の図は,米国のニュースメディアがどのようなトッピクスをどれくらい取り上げているかを示している。最初の図は全ニュースメディアを対象に,次の図はメディア別に比べている。どうしても選挙の季節なので大統領選挙関係ニュースが増えているが,米国のニュースメディアの特徴としては海外ニュースが多いことだ。特に新聞やオンラインが顕著である。ケーブルTVは国内ニュースを充実させている。

MostCoveredTopics2007a.JPG

TopicsbyMediaSector2007.JPG

 次は,オンラインニュースサイトのユニークユーザー数ランキングである。Nielsen調査とcomScore調査を掲げておく。2007年にユニークユーザー数を増やしたサイトは,上位5〜6サイトに集中していた。

OnlineNewsSites2007.JPG

OnlineNewsSites2007comScore.JPG

 米国の有力ニュースメディアは,英語であることもあってグローバル市場を前提に展開している。最初のグラフで示したように海外ニュースに力を入れているのもそのためであろう。

 過去のデータも組み込んでトレンドを示すグラフも多い。例として,新聞の購読者数と年齢層別の購読率の推移を示すグラフを以下に掲げておく。

NewspaperCirculation2007.JPG

NewspaperReadershipAge2007.JPG




◇参考
The State of the News Media 2008(Journalism.org)
米ニュースメディアのトレンドを把握できる報告書,2006年版が公開(メディア・パブ)
米ニュースメディアの全貌をまとめた報告書,今年も公表(メディア・パブ)
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2008年03月10日

次期ロシア大統領が会長の「ガスプロム」,ロシア版YouTubeの“RuTube”を買収

GazpromMedia.JPG

 「プーチン」,「メドべージェフ」,「ガスプロム」とくると,おどおどしい鉄のトライアングルをイメージしてしまうのだが・・・。その一角を占める政府系天然ガス企業「ガスブロム」が,ロシアの動画共有サイト“RuTube”を買収することになったそうな。こっちの組み合わせは,何をイメージすればいいのやら・・・。

 ガスプロム(英語版サイトロシア語版サイト)は,プーチン政権下で世界有数のエネルギー企業に成長。そこの会長を務めるメドベージェフ第1副首相が,プーチンの強い指名を受けて次期大統領に当選。そしてメドベージェフはプーチンを首相に逆指名。筋書き通り進み,プーチンを頂点とする鉄のトライアングルはより強固になってきた。

 RIA Novosti (ロシア通信社ノーボスチ)によると,その天然ガス企業「ガスプロム」傘下のメディア会社Gazprom Mediaが,ロシアの動画共有サイトRuTubeを1500万ドルで買収する。RuTubeは,以下のトップ画面のように,YouTubeとよく似た作りになっている。アマチュアが制作した思われるビデオも投稿されていたが,メドベージェフやプーチンが登場しているビデオも少なくなかった。

RuTube.JPG


 Gazprom Mediaの会社案内も覗いてみた。1998年に設立された会社で,TV,ラジオ,新聞,雑誌,映画制作,広告などのメディア事業を展開している。具体的な事業内容を以下に掲げておく。

・TV companies NTV and TNT , satellite TV company NTV-PLUS
・Radio stations Echo of Moscow, First Popular Radio (Popsa), Radio NEXT, CITY-FM, Relax-FM and Detskoe radio
・Publishing house Seven Days: magazines Itogy, 7 Days TV-・Program, Caravan of Stories’ Collection, Caravan of Stories. Newspapers Izvestia, Tribuna, St. Petersburg’s Chas Pik and a TV guide Panorama TV Strana.
・Film- production company NTV-Kino
・Cinema-theaters Oktyabr and Crystal Palace
・Gazprom-Media (advertising)
・Telebasis, Komstek engineering company and Advertising company SMS (real estate management and ownership).

 プロパガンダのために利用されるのかな。



◇参考
Gazprom's media wing finalizes deal to buy RuTube - Kommersant(RIA Novosti)
Russia’s RuTube Video Site Sells To Gazprom; Valued At $15 Million: Report(paidContent.org)


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2007年05月31日

伝統メディアが新興Web2.0企業を買収して上手くいくのか?

 米CBSが,音楽SNSの英Last.fmを2.8億ドルで買収することになった。

 Last.fmは最も人気の高い音楽SNSで,世界200ヶ国以上に1500万人以上のユーザーを抱えている。日本でもエキサイトと提携して日本語版サイトを運営している。

 米国では,こうした伝統的なメディア企業によるネットメディア企業の大型買収は珍しくない。New York TimesがAbout.comを,Dow JonesがMerketWatchを,NBCがiVillageを,そしてNews CorpがMySpaceを買収してきた。

 古い体質のメディア企業が,異質文化の新興メディア企業を買収して上手くいくのだろうか。これまでの買収事例を見る限りは,順調に推移しているように思える。

 新興ネットサイトのブランドを維持させ,独立して運用させているのが特徴的である。新旧企業間のシナージー効果を無理矢理仕掛けて,伝統的なメディア事業を後押しさせるいった戦略を必ずしも採っていない。買収したネット企業のサイトを独立した形で更に発展させて,そこからの売上と利益を最大限に伸ばすことにより,伝統的企業に貢献させている。

 たとえば,About.comを買収したNew York Times Co(NYT)もそうだ。今や同社において,売上と利益の成長率が最も高い部門がAbout.comである。About.comのサイトを見れば分かるのだが,NYTの臭いを全く嗅ぎ取ることができない。トップページの右隅に,小さく“©2007 About, Inc., A part of The New York Times Company”とあるだけである。一方,NYTimes.comのトップページには,About.comの面影が全くない。

 About.comはNYTに買収されたのだが,ユーザーからはAbout.comがNYTimes.comの傘下に収まったとは見えないのである。

 また,NYTimes.comが1年前にサイトのリニューアルを実施したときに,その陣頭指揮をAbouto.comの者に執らせたことを思い出す。外様のスタッフがNYTimesの記者に対しネット記事の作法を指導したのである。つまり,伝統的企業の価値観を買収先企業に押しつけるのではなくて,買収先企業の新しい価値観を重視し採り入れていく。

 でも,日本で伝統的なメディア企業が新興ネット企業を買収した場合,どうなるのだろうか。伝統的メディア企業の本業を活性化するためだけに,ネット企業を利用することにならなければ良いのだが・・・。


◇参考
米新聞のエースNYTも4月は業績悪化(メディア・パブ)
NYTimesのサイト, ブランド依存から脱却し検索エンジン対策も(メディア・パブ)

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2007年05月07日

米メディア業界にレイオフの嵐が

 米Challenger, Gray and Christmasのレポートによると,メディア企業において2007年第1四半期に4,391人がレイオフされたという。昨年同期は2,271人だったので,93%も増えたことになる(Media Bizの記事より)。

 つい最近も, The Chicago Tribune と Los Angeles Timesで,250人の人員カットが発表されたばかりである。 今年には,新聞業界で12%,雑誌業界で6%,TV業界で12%,映画/ビデオ業界で28%のスタッフが,職を追い出されるという。


◇参考
Media layoffs nearly double in first quarter(Media Biz)
米新聞社,今年は一段と厳しくなりそう(メディア・パブ)
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2007年03月02日

“シリコン”バレーが“メディア”バレーに

ハイテクの中心地がシリコンバレーなら,メディアの中心地はニューヨークであった。

 ところが最近では,新興のメディア企業がシリコンバレーで誕生している。またYahooやGoogleなどの大手ネット企業も今や,ビジネスモデルとしては,ハイテク企業というよりもメディア企業となってきている。

 そこで,Silicon Valley WatcherのTom Foremski氏のように,シリコンバレーを「メディアバレー」と呼ぶ人も出てきた。 

 シリコンバレーのGoogle, Yahoo, EBayやカリフォルニア北部を拠点にするYoutube, Facebookは,コンテンツを提供し広告ビジネスを展開しているから,メディア企業といってもおかしくない。Business2.0誌が今年有望な新興ネット企業25社を選出していたが,そのうちの18社が広告売上に依存するソーシャルメディア企業であった(このエントリーの表を参考)。それらの新興企業のほとんどはシリコンバレーを中心としたベイエリアで活動している。

 伝統的なメディア企業が多いニューヨークに対し,急成長するネット系メディア企業が続々と生まれているシリコンバレー周辺。確かに“シリコン”バレーは,“メディア”バレーと呼ぶほうがふさわしいのかもしれない。


◇参考
Silicon Valley has become Media Valley - someone should tell NYC (Silicon Valley Watcher )
注目したいWeb2.0の新興企業,Business2.0誌が選出(メディア・パブ)

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2007年02月15日

ソーシャルサイト,一部インフルエンサーが牛耳る心配も

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 ユーザー参加型のソーシャル・ニュース・サイトやソーシャル・ブックマーキング・サイトを介して,鮮度が高くて人気の高いニュースと接している人は多い。特定のニュースサイトではなくて,こうしたソーシャル系サイトをハブにして,日々のニュースを追いかけているのだ。

 Digg,Reddit, Del.icio.us,Newsvine,それに日本では「はてなブックマーク」などが代表的なサイトである。最近では,こうしたソーシャルサイトが,ネット上のニュース記事やブログエントリー,ビデオクリップを価値付けし始めているいえる。その結果として,有力なソーシャルサイトに掲載されると,ソース元サイトにアクセスが殺到することになる。

 ソーシャル・ブックマーキング・サイトやソーシャル・ニュース・サイトでは,登録ユーザーの投稿(通知)や投票/ブックマーキングを通して,掲載する記事などを決めていく。誰もが参加できるので,多くの参加者の集合知が掲載記事や掲載順序を決めているはずだが・・・・。

 ところが,実際はそうとは言えないようだ。ソーシャル・ニュース・サイトのDiggでは,90万人の登録者を抱えているのにもかかわらず,掲載される記事やビデオクリップなどの3分の1は,わずか30人の登録者による投稿であるという(WSJ.comより)。Publishing2.0でも,以下のようなグラフ(Diggトップユーザー vs 掲載記事数)を示し,掲載されている記事の多くが特定のユーザーによる投稿であることを示している。

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 典型的なロングテールである。フラット化していないのだ。いわゆるスター的存在のインフルエンサーが生まれてきているのである。彼らが,素早く嗅ぎ分け投稿したコンテンツに多くの投票が集まっていることになる。つまり限られた特定のインフルエンサーが“良し”とするコンテンツが,多くの人に読まれたり視聴されたりしているのである。

 そこで当然のように,インフルエンサーに歩み寄る輩が現れる。Netscapeはかつて,同サイトのソーシャル・ニュース・サイトのために,Diggの人気投稿者を月1000ドルの報酬で引き抜いたりしたことがあった。また企業がソーシャルメディア対策の一環として,特定テーマのコンテンツを投稿してもらうために,有力投稿者と契約したりする動きも出てきている。

 ソーシャルサイトとしては,質を高めるために優れたインフルエンサーを多く囲い込みたい。だが一方で,掲載されるコンテンツが,ごく限られたインフルエンサーの嗜好に偏るおそれも生じる。また,企業からワイロを受け取って,企業にとって都合の良い記事を投稿するインフルエンサーが増えるのも心配だ。

 そこで,Diggがトップユーザー(上グラフのヘッド部分の登録者)一覧表の掲載を今月上旬に,突然,止めてしまったのだ。インフルエンサーの存在を見せなくしたのである。トップ100に選ばれることは,彼らはおそらく誇りに思っていたはず。それを外したのだから,驚きだった。だが,直ぐに外部サイトが,Top 100 Diggersを作り,公表してしまった。確かに,Diggページのコンテンツから,一覧表は作れてしまう。

 ネット時代は世界をフラット化するはず。だが実際は,特定の極に集中する現象が現れる。ソーシャルサイトも,一部のギークやマニアに左右されかねないし,下手すれば恣意的に操作されるかもしれない。

追記:
WSJ.comには,ソーシャルメディアで活躍している,知られざるインフルエンサー20人を紹介している。

◇参考
A couple updates…(Digg the Blog)
Digg Tries To Flatten The Head Of Its Long Tail Participation Curve(Publishing 2.0)
Digg、トップユーザーのリスト公表を中止(TechCrunch Japanese)
Diggトップユーザーリスト復活(TechCrunch Japanese)
The Wizards of Buzz((WSJ.com)
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2007年01月27日

米メディアがレイオフの嵐,昨年は1万7809人も

  米メディア業界のレイオフの嵐が止まらない。2006年は1万7809人で,2005年の9453人に比べ88%も増えた( Challenger, Gray & Christmasの調査より)。今年に入っても, Time Inc や the New York Times Companyがレイオフを発表しており,この傾向は続きそう。

   プリントメディアからオンラインメディアへのシフトに伴う調整で,‘old media’ のリストラは避けられない。

◇参考
US: Media job cuts surged, to continue(Editors Weblog)
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2007年01月15日

メディア分野のM&A,2006年は151件と過去最大,2007年も多発か

  メディア分野のM&A(企業の合併及び買収)に関するレポートを,メディア投資銀行のDeSilva & Phillipsが発表した。DeSilva&Phillips M&AReport_2007と称するレポートをPDFファイル(8ページ)でダウンロードできる。

  このレポートによると,2006年のメディア分野のM&Aは,件数が151件と過去最大であった。金額も205億ドルでバブル時の2000年に次ぐ規模になった。2006年には,ベンチャーキャピタリストValconによるオランダの出版/リサーチ企業VNUの大型買収が成立し,買収額は111億ドルであった。1998年から2006年までのM&A件数と金額の推移を示したグラフは次の通り。2000年のAOL-Time Warnerの超大型M&Aは桁違いの金額のためグラフでは外している。また,GoogleのYouTube買収も入っていない。

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(クリックで拡大表示)

  このレポートには,2006年に発生したM&Aのトップ15(金額ベース)が一覧表で掲載されている。

  また,同レポートでは,2007年もメディア企業のM&Aは活発で,件数や金額ともに少なくとも2006年のレベルを上回ると推測している。昨年NBC UniversalがiVillageを獲得したように,今年も米国ではOld MediaとNew Mediaとの間でのM&Aが数多く起こりそうだ。また,マードックがWSJを買収するといったうわさ話が出ているが,今年はアッと驚くような買収劇が演じられるかも。


◇参考
Media M&A In 2007: Pace to Increase (paidContent.org)
Murdoch buys the WSJ? Why not?(Reuters Blogs)
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2007年01月09日

米デジタルメディア産業の動向を解説したレポート(92ページ),Oppenheimerが無料公開

 Oppenheimer & Co.,が 米デジタルメディアの動向を解説したレポート“The Digital Consumer: Examining Trends in Digital Media”を発行した。92ページのレポートで,pdfファイルの全文を無料でダウンロードできる。TV(動画),ラジオ,音楽,ゲームの各産業の動きが把握できる。

  米国のデジタルメディアについて,コンテンツから伝送メディアまでに渡って,2006年の動きや将来動向を解説している。データやグラフが豊富である。データそのものは公開されたものが大半だが,これだけ整理してまとまめてくれると役に立つ。

目次は次の通り。
・Introduction:The Digital Consumer:Unplugged
・Recap:What Happened in 2006
・Top 10 Ideas in 2007
・Subscription Media
・Content Creation in Digital Media
・E-Commerce & Interctive Enterment Outlook
・Media Infrastructure :The Next Spending Cycle(finally) Begins
・Wireless Device and Technology
・Semiconductors:Digital Media Enables-The Silicon Trail
・Appendex: Top Mergers and Acquitions in 2006
・Important Disclosures

  最初のIntroductionに,コンシューマ向けデジタルメディアのvalue chain operationが,これまでの流れとこれからの流れを対比させて,掲載されている。

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(ソース:Oppenheimer & Co.)

  これからは,Aggrigator(アグリゲーター)がメディア産業の主導的役割を果たすことになろう。そのアグリゲーターの覇権を巡って,ネット企業のGoogleやYahoo,それに伝統的なメディア企業との間で激しいつばぜり合いが演じられている最中なのだ。

 3章の“Top 10 Ideas in 2007”では,次の10点をあげて,今年のデジタルメディアの方向を示している。
・ Consolidation, Deconsolidation, and Swapping continue.
・ Mobile Media: Large and Growing
・ HDTV makes an Impact
・ Cable Plant Upgrades
・ Music transitions from offline to online to wireless
・ Advertising: New Media gains enable a pushback
・ Cable sub growth continues as satellite TV pullback persists and   Telcos disappoint
・ Gaming: re-start your engines
・ Flash - Hybrid flash hard disk drives start to pick up
・ 3G WCDMA mobile devices will replace 2G GSM devices
Then it goes into granular details and sub-sectors in digital media

 他の章では,アプリケーション(Eコマース,広告)やコンテンツ(TV,ラジオ,音楽,ゲーム)から伝送メディア(ブロードバンド,ケータイなど)まで,市場データを用いたりして動向を紹介している。またケータイ端末やTV受像機,ゲーム機のタイプ別市場予測なども掲載されていた。

 Appendexでは,メディア関連企業において2006年に実施されたM&Aの一覧表が掲載されている。  


◇参考
The Digital Consumer: Examining Trends in Digital Media(Oppenheimer )
Information The Digital Consumer: Digital Media Trends in 2007(paidContent.org)




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2006年12月09日

米国の10代,週72時間もデジタルメディアと接触

 米国の10代は,週に72時間以上もデジタルメディア(internet, cell phone, television, music and video games)と接触している。Harrison Group が,米国の10代(13〜18歳)1000人を対象に調査した結果である。

 1週間は168(24×7)時間だから,メディア接触時間72時間と睡眠時間49時間(7×7)を引くと,残りは48時間となる。今の子供達は,学校生活を除く大半の時間,メディアにどっぷり浸かっていることになる。

 最近はさらに,SNSが10代の間でブームになっており,ますますメディア接触時間が増加している。米国の10代の68%は,MySpaceや Zanga ,FacebookなどのSNSに,自分のプロフィールを登録しているという。

 また,こうした10代の消費パワーも大きくなっている。米国には,13〜18歳の年齢層の若者が2520万人いるが,彼らは年間に1950億ドルも消費しているという。72時間も接触するメディアが,彼らの消費の行方に大きな影響を及ぼしているのだろう。

 以上の調査結果を含めて, 2006 Harrison Group/VNU Teen Trend Report で,米10代の生活を詳しくレポートしている。

◇参考
Flagship Study of America's Youth Describes What Teens Want(Harrison Groupのプレスリリース)
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2006年12月02日

米国の新聞社/雑誌社サイト,Web2.0がどこまで浸透しているのか

  新聞社や雑誌社のWebサイトも,Web2.0ブームに煽られてかのように,Web2.0機能を充実させている。

  主要雑誌のWebサイトがどの程度Web2.0機能を装備しているのか。その調査結果をBivings Reportがこのほど発表した。米国で発行部数の多い上位50雑誌を対象に,各種Web2.0機能の有無をチェックしている。同社はまた,主要新聞系サイトを対象に,同様の調査を今夏に実施していた。

  Web2.0機能とは何ぞやとなると曖昧ではあるが,この2〜3年の間に浮上してきた読者参加型の双方向機能が中心である。

  以下の表では,そうしたWeb2.0機能を,トップ50新聞やトップ50雑誌の何%が備えているかを示している。

米トップ50の新聞/雑誌がWeb2.0機能を装備している割合(単位:%)
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*以上のほかに,トップ50雑誌の7%がタグ付け機能を備え,12%がモバイル版を用意している。

  雑誌について補足する。ここで調査の対象になったトップ50誌はいずれも発行部数が150万部を超える大雑誌である。このため,Webサイトに熱心なビジネス誌や技術誌などが外されている。

 トップ50誌だけを対象にすると,48%の雑誌がRSSフィード配信を実施しているが,まだどこもRSSフィード広告に踏み出していない。また30%がレポーター(記者も含む)ブログを,34%がビデオを,14%がポッドキャストを発信していた。だが,ビジネス誌や技術誌などはもっと高い割合でWeb2.0機能を提供しているはずだ。

 以下は,トップ50誌が装備しているWeb2.0機能数を示している。

米有力雑誌のWeb2.0機能数(スコア):発行部数の上位50誌
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◇参考
The Use of the Internet by America’s Newspapers(The Bivings Report)
The State Of Magazine Websites (The Bivings Report)
The State Of Magazine Websites(paidContent.org)
タグ:新聞

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2006年11月29日

エンターテイメント産業,コンテンツよりもアグリゲーションが鍵握る

  ネット時代のメディア(コンテンツ)事業では,これまで以上に,コンテンツそのものよりもコンテンツアグリゲーションが重要になってくる。実際,そのような展開になっている。

  ブロードバンド本番を迎えて,音楽から動画(映画,TV番組など)までのエンターテイメント産業でも,オンライン配信がコンテンツ流通の勢力図を塗り替えようとしている。その全体像を把握するのに格好のレポートが公開されている。 Bear Stearnsのアナリスト Spencer Wangがまとめたレポート“The Long Tail:Why Aggregation & Context and Not (Necessarily) Content are King in Entertainment”である。38ページのPDFファイルでこちらからダウンロードできる。

 レポートの筋書きは目新しいものではない。だが,豊富な統計データをベースに図表を使ってトレンドをまとめており,頭の整理になる。以下はレポートの中の図例である。これからのエンターテイメント・コンテンツの供給フローを示している。このフローで四角で囲んだ部分が,オンライン配信サービスで新たに参入してきた者である。

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 主導権がこれまでのContent Distribution業者からContent Package業者へとシフトしていくことになろう。コンテンツ数の急増に伴い,コンテンツをフィルタリングしてくれるアグリゲーターが主役を演じることになる。そのアグリゲーターとしては,伝統的なメディア企業だけではなくて,Google,Yahoo,MySpace,Apple(iTunes)などのネット企業が大きく割り込んで来ているのだ。

 また,コンテンツそのものもプロの作品だけではなくて,UGC(User Generated Content)の台頭も無視できない。同レポートが報告しているように,例えば,11月15日のYouTubeビデオのトップ20のうち,75%のコンテンツはUGCであった。


◇参考
The Long Tail:Why Aggregation & Context and Not (Necessarily) Content are King in Entertainment

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