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2012年06月17日

世界のビデオゲーム市場、2013年にオンライン/モバイルがコンソール/PCを追い抜く

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 世界のビデオゲーム市場の主役がまもなくオンライン/モバイルに移行する。

 PwC(Pricewaterhouse Coopers)の「Global Entertainment and Media Outlook」によると、世界のビデオゲーム市場は年平均成長率7.2%で伸び続け、2016年に830億ドルに到達するという。注目すべき動きは、オンライン/モバイル・ゲーム市場がコンソールゲーム市場を侵食する展開で、主役交代が一気に進んでいることだ。

PwCOnlineGame2012a.jpg

 ビデオゲーム広告も、ソーシャルゲームや無料ゲームの成長に伴って売上アップに貢献していく。オンライン/モバイル・ゲームの市場規模が2013年にコンソールゲームを追い抜き、2016年には36%も上回る。ビデオゲーム市場全体では中国の急成長が特出しており、2012年に日本を抜き去り、2016年には米国とほぼ肩を並べる。

 PwCVideoGame2012.jpg

 最初のグラフで示したように、オンライン/モバイル・ゲーム市場は一本調子で成長しているが、今後5年間で倍近くに増えるモバイルインターネット加入者も潜在ゲームユーザーとなっていく。ここでも中国の加入者の伸びが目に付く。

PwCMobileInterenetSubscriber2012.jpg

 またモバイルインターネット加入者は以下のように新興国で急速に増えていく。新興国がモバイルゲームの有望市場として育ってきているのだ。

PwCMobileIntereneGrowth2012.jpg

◇参考
・Global entertainment and media outlook: 2012-2016(PwC)



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posted by 田中善一郎 at 21:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア

電子書籍市場、米国が独走

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 世界の電子書籍市場で米国が独走している。PwCの「2012 Global Entertainment & Media Outlook:2012-2016」で示されていた世界の電子書籍市場の予測でも、米国が完全に上昇気流に乗ったようだ。世界の書籍市場において、電子書籍の占める割合は2011年の4.9%から2016年には17.9%に膨れ上がる。年平均成長率30.3%で伸び続け、2016年には世界の電子書籍市場規模は208億ドルに達すると見ている。

 まず、コンシューマー向け電子書籍の市場規模の予測を、地域別に見てみよう。北米(ほとんど米国)がトップを独走している。2009年ころまでアジア・パシフィックがトップを走っていたのは、日本におけるケータイ向けエッチ系コンテンツ中心の電子書籍が貢献していたからだろう。また意外だが、北米に比べ欧州の立ち上がりが遅い。

PwCeBookSpending.jpg

 電子書籍市場にはコンシューマー向けと教育向けがあるが、北米(ほとんど米国)における予測は次のようになる。コンシューマー向電子書籍は年間平均成長率32,2%で伸び、一方教育向けは同20.5%で伸びる予定。両方を加えた全体では同29.9%で伸び続け、2016年には129億ドルに達する。

PwCeBookNorthAmerica2012.jpg

 アジアでは日本が伸びていくと予測している。これまで韓国では、コンシューマー書籍の24,2%が電子書籍が占めるほど電子化が進んでいたが、今後は電子化の速度が鈍ると見ている。

PwCeBookSpendingAsia.jpg


 日本ではこれまで電子小説と言ってもエッチ系コミックが闊歩していたようだが、米国はどうなのか。最近の状況を覗いてみた。NYTimesのベストセラー覧でランクされていたハードカバー小説のトップ5を調べてみた。すべて電子書籍版が出ていた。トップの「KISS THE DEAD」, by Laurell K. Hamilton. (Berkley, $27.95.) を米国のアマゾン書店サイトで見ると、アマゾン価格でハードカバー書籍が16.25ドル、電子書籍(ダウンロード)が12.99ドルで販売されていた。

AmazonKindleHardcoverBestseller.jpg

 現時点でトップ5のベストセラー小説の、ハードカバー書籍と電子書籍の販売価格を以下に示しておく。5位の「Spring Fever」のキンドル版電子書籍は単体では売られていないようだ。

*NYTベントセラーでトップ5となったハードカバー小説。ハードカバー書籍と電子書籍のそれぞれのアマゾン価格を掲示している。
NYTBestseller20120616.jpg

 米国では最新のベストセラーを始め多くの書籍が揃っており、ハードカバー小説でも約1000円(12.99ドル)ですぐにダウンロードできる環境が整っている。これならすぐに飛びつくのだが。

◇参考
・Global entertainment and media outlook: 2012-2016(PwC)
・What will the global e-book market look like by 2016?(paidContent)
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posted by 田中善一郎 at 15:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア
2012年03月05日

TechCrunch、トラフィック急落で影響力低下の懸念が

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 TechCrunchがどうも芳しくない。月間ユニークビジター数とページビュー数が昨年秋ごろから急落しているのだ。インターネット業界で抜群の影響力を誇っていたTechCrunchに、何が起こっているのだろうか。

 月間ユニークビジター数の1年間の推移を、comScoreの調査データで見てみよう。以下の表のように、昨年8月に約500万人であったのが今年1月に355万人に大幅に減っている。またページビュー数も昨年8月の2600万から今年1月に1500万に落下した。

TechcrunchUV201201.jpg
(ソース:comScore)

 Technorati調査によるブログのAuthorityランキングでも、TechCrunchの影響力の低下が読み取れる。以前は総合ランキングでは、Huffington Postが1位に、TechCrunchが2位にほぼ定着していた。ところが、今日のTechnorati Top5を見ると、4位に甘んじていた。

TechnoratiTop5 201203.jpg
(ソース:Technorati)

 またテクノロジー分野では断トツの影響力を誇示していたのだが、テクノロジー分野のランキングでは1位のEngadget、2位のThe Vergeに抜かれて、3位に落ちていた。またビジネス分野のランキングでも、1位の座をMashable!に奪われていた。


 テクノロジー分野のニュースアグリゲーターの決定版であるTechmemeでも、掲載回数のシェアが縮小し始めている。米国のネット業界のインフルエンサーが必ずと言っていいほど活用しているTechmemeにおいて、掲載頻度が減っていけば影響力低下は避けられない。

 4年前(2008年3月3日)と昨年(2011年3月3日)、今年(2012年3月3日)の3時点における、掲載シェアのランキングを掲げておく。過去1ヶ月間の掲載回数のシェアである。テクノロジー分野のメディアの勢力図の変遷も読み取れる。

TechmemeRanking201203.jpg
(ソース:Techmeme)
 
 TechCrunchは、2005年6月にMichael Arrington氏によって創刊されたブログであった。Web2.0ブームが沸き上がろうとしていた時で、そのWeb2.0ブームに乗って急成長し、2007年ころにはテクノロジー分野のトップブログにのし上がった。そしてソーシャルメディア時代に入っても、不動のトップを独走していたのだ。2011年3月の掲載シェアでも、Techcrunchが10.45%と2位を大きく引き離していた。ところが2012年3月には掲載シェアが7.17%になり、2位の7.13%のVergeに肉薄されているのだ。

  順風満帆のTechCrunchに変調をもたらしたのは、2010年9月にTechCrunchがAOLに買収されてからであろう。TechCrunchの創業者のMichael Arrington氏はブロガーとしてもカリスマ的な存在で、ネット業界でトップインフルエンサーでもあった。一方でVCとしても意欲を燃やしていた。AOLに買収されてからも、TechCrunchは編集の独立を堅持し、Michael Arrington氏の指揮の下にそれまで通りブログ編集を続けていた。

 ところがAOLが2011年2月にブログ新聞のHuffington Postまでも買収し、その創業者のArianna Huffington氏がAOLメディアの編集トップに就いてしまった。つまり組織上、Huffington氏がArrington氏の上司となる。両者が衝突するのは明らかであった。Arrington氏がVC事業のためにTechCrunchを利用しているとHuffington氏が非難し、ついに昨年夏にArrington氏をTechCrunchから事実上追放したのだ。

 TechCrunchはArrington氏が看板のブログである。カリスマブロガーのArrington氏に加えてTechCrunchの人気ライター(ブロガー)も相次ぎ去ることになった。これが同ブログ記事の質に影響している。エッジの効いた鋭い記事が以前に比べ減り、ありきたりの発表記事が目に付くのもそのせいではなかろうか。また先週には編集長のErick Schonfeld氏が辞め、代わりにEric Eldon氏(前VentureBeat)を編集長に据え再浮上を狙うことになった。はたしてどうなるやら。

 失速気味のTechCrunchに対し、急浮上してきた The Vergeの動向が見逃せない。Vergeは昨年11月に創刊したテクノロジー系の新生ブログであるが、Techmemeの掲載回数シェアでTechCrunchに迫り、またTechnoratiが示すテクノロジー分野のAuthorityランキングではTechCrunchを追い抜いてしまったのだ。

 このVerge誕生の背景がおもしろい。AOL傘下の人気ブログEngadgetの編集長だったJosh Topolsky氏がAOLマネージメントを嫌って飛び出て、Vergeを創刊したのである。もちろんEngadgetチームの多くのスタッフも一緒にVerge発行に加わった。AOLのEngadgetが打撃を被ったのは間違いない。

 それにしてもAOLは人騒がせな会社だ。ともかくEngadget、TechCrunch、Huffington Postの米国3大ブログを傘下に収めメディア王国を夢見たのは凄いのだが、ネット分野のメディアをけん引してきたEngadgetとTechCrunchの勢いに陰りが見え始めているのは残念である。一方でVergeやThe Next Webのようなブログメディアが急浮上しており、どうもネット分野をカバーするメディアの勢力図が塗り替わりそうである。


◇参考
・As Staff Flees, TechCrunch’s Traffic Plummets(paidContent.org)
・Editor Erick Schonfeld Out at TechCrunch, Former VentureBeat Editor Eric Eldon In(Reuters)
・HELPFUL TIPS FOR KEEPING YOUR JOB AS EDITOR OF TECHCRUNCH
(UNCRUNCED)
・Engadget Alumni Launch The Verge(Adweek)
・Goodbye Erick, Hello Eric(TechCrunch)
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posted by 田中善一郎 at 11:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア
2012年01月19日

米新聞の大統領選報道、ソーシャルメディアが不可欠に

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 新興新聞のPoliticoと伝統新聞のWashinton Post。共に政治分野を売りにしている米国の新聞である。それだけに米大統領選報道に精力的なのは当然で、今回は特にソーシャルメディア・データを活用した新機軸の企画に力を注いでいる。

 現段階では共和党の大統領候補争いが焦点であるが、その予備選の報道に早くもソーシャルメディアのデータが目玉になってきている。この4年間で、フェイスブックとツイッターが爆発的に普及してきたのでなおさらだ。特にフェイスブックは1億5000万人以上の米国人が利用しており、有権者の多くがフェイスブックを日常的に使っていることになる。一方の候補者自身(陣営)もフェイスブックやツイッターに公式アカウントを置いて、ソーシャルメディア上で有権者に向けて選挙活動を展開するのが当たり前になっている。このためフェイスブックとツイッターには候補者に対する有権者の膨大な生の声で溢れているのだ。

 共和党の予備選の代表的な候補者が獲得しているフェイスブックのファン数(「いいね!」と言っている人数)とツイッターのフォロワー数は次のようになる。

PublicanNominationSocialMedia2012.jpg

 ちなみに前回の大統領選から積極的にソーシャルメディアを利用している民主党・オバマ大統領は、フェイスブックのファン数が24,513,235人、ツイッターのフォロワー数が11,955,595人と、すでに桁違いのユーザーを抱えている。ここで、ソーシャルメディアを活用した共和党予備選の報道記事を、PoliticoとWashinton Postの両新聞を例に見ていこう。今は、21日に行われるSouth Carolina州の共和党予備選を巡るニュースで盛りがっている。

 Politicoはフェイスブックのユーザー投稿をベースにした記事を提供している。フェイスブックが、同サイトでユーザーが発した候補者に関するプライベートステータスメッセージやコメントを毎日集め、それらをsentiment analysis toolにかけて各候補者に対するポジティブ意見とネガティブ意見も計数している 。それに、Politicoの記者が解説を加える。

 以下のグラフは、フェイスブックにおける各候補者への言及数の推移である。

FaceboolPoliticoMensions20120116.jpg

 この各候補者の言及数の推移グラフに合せて作成している、ポジティブ意見数の割合とネガティブ意見数の割合を示したグラフが非常に興味深い(グラフはこちら)

 またPoliticoは、有権者年齢層のフェイスブックユーザーを対象にしたアンケート調査も実施している。以下はその例で、South Carolina州の予備選を控えて、草の根運動「tea party(茶会)」の影響を調査している。調査は、おそらくSouth Carolina州のフェイスブックユーザー(有権者年齢)に絞って実施したはずだが、茶会の支持者はそれほど多くない。

FacebookPoliticopoll20120114.jpg

 Politicoとフェイスブックとの共同プロジェクトによる記事は、Politicoのニュースサイトだけではなくて、 U.S. Politics on Facebookや
POLITICO’s official Facebook pageにも掲載されている。


 Wasginton Postは、政治欄POST POLITICSに@MentionMachineを設け、候補者に対するツイッターやニュースメディアでの言及をモニターしている。以下は過去1週間のツイッターやニュースメディアにおける言及数である。

WaPomentionMashine.jpg

 やはり気になるのは、各候補者に対するポジティブ言及とネガティブ言及についてである。以下はRomney候補の例である。ポジティブ言及とネガティブ言及をタイプ別に件数で示している。

The top five types of positive Romney tweets:
1. New endorsements:7,683
2. Saying he is the best choice to be nominee: 2,219
3. Congratulating him on the win in the New Hampshire primary: 1,885
4. Thinking he will be the nominee: 1,397
5. Enjoying his campaign: 1,389

The top five types of negative Romney tweets:
1. Generally against Romney: 3,552
2. Name-calling: 2,529
3. For one or any of Romney’s rivals: 2,203
4. Questioning how Romney takes criticism:1,874
5. Saying Romney is a bad campaigner or speaker: 1,596

 
 新聞だけではなくて、Fox、CNNなどのTV系ニュースサイトもソーシャルメディアのデータを活用している。


◇参考
・Post-debate, Facebook users warm up to Newt Gingrich(Politico)
・Facebook Gives Politico Deep Access to Users’ Political Sentiments(All Things D)
・Facebook primary: Mitt Romney, Ron Paul in the lead(Politico)
・Facebook/POLITICO poll: South Carolina users cool to tea party(Politico)
・News organizations embrace social data in 2012 election coverage( Poynter.)
・ABC News creates stock market ticker tracking presidential candidates( Poynter.)
・NBC teams with Foursquare to track campaign stops( Lost Remote)
・Is Politico gaining much insight with Facebook data?(Poynter.)
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posted by 田中善一郎 at 12:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア
2012年01月02日

メディア王マードック氏がツイッターを開始か

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 News Corp. CEOのマードック氏が大晦日にTwitterを始めたようだ。

 マードックのアカウント@rupertmurdochには、24時間以内に9本のツイートが発せられている。既に、2万2000人以上もがフォローしている。内容も興味深い。

 でも偽のアカウントではなかろうか。だが、Twitter社の会長であり SquareのCEOであるJack Dorsey氏が彼のアカウント(@jack)で、次のように本人の声だと言っているから、本物のようだ。

TwitterJackDorsey.jpg



 マードック氏のアカントでの第一声は次の通り。
MurdochTwitter1.jpg
 
 昨年からのベストセラーである「The Rational Optimist: How Prosperity Evolves」 (邦訳:「繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史」、マット・リドレー (著))を読み終えたとのつぶやきである。その後、次々と発するツイートの内容も個人的でおもしろい。

 ツイッター上では、@rupertmurdochの検索結果のように、マードックのツイッターの話で盛り上がってきている。 


◇参考
・Rupert Murdoch joins Twitter? 'Now this will be fascinating,' says Piers(Guardian)
・Rupert Murdoch joins Twitter, immediately comes under fire(TNW)
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posted by 田中善一郎 at 01:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア
2011年12月17日

インターネット広告費がTV広告費を追い抜く国が現れてきた

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 メディア広告のキングと言えばテレビ(TV)である。まだまだ世界的にもテレビ時代は揺るぎそうもないが、でもいくつかの西欧諸国では、急躍進するインタネット広告がTV広告を追い抜きトップに躍り出始めている。

 このような興味深い動きを、Ofcom(Office of Communications:英国情報通信庁)が先日発行したレポート「International Communications Market Report 2011」で知らせてくれている。今年のレポートでも、世界のメディアやテレコムの動向や現況が、数多くのグラフを駆使して紹介されており、有難いことに363ページの長大レポートが無料で入手できる。

Ofcon2011.jpg

 英国機関のレポートなので、英国や西欧諸国、米国、それに英連邦(カナダ、オーストラリア、インド)の各国のデータが主に取り上げられている。ただしいくつかのグラフでは日本のデータも添えられており、グローバルの中での相対的な位置づけが読み取れる。最近では、先進国以上に新興国におけるインターネットなどの成長が著しいが、市場規模で見ればメディア産業はまだしばらく先進国中心に展開されるはず。特にメディア産業を大きく支える広告事業においては、売上規模で先進国が大半を占めているのが現状だ。

 そこでここでは、レポートの中から世界のメディア広告の動きを拾い出して紹介する。最初のグラフは、主要各国における2010年広告費のメディア別シェアを示している。その次の2番目のグラフでは、各国のインターネット広告シェアの推移を示している。過去1年間および過去5年間のCAGR(年平均成長率)も国別に算出している。各国でこぞってインターネット広告のシェアが急激に拡大している。その結果ここ数年各国で、インターネット広告費が雑誌広告費を超えた、さらには新聞広告費を抜き去ったといったニュースが、年末に報じられている。そしてついにテレビ広告費を上回ったというニュースも聞かれるようになったのだ。スウェーデンやオランダでは、最初のグラフで示すように、インターネット広告費がTV広告費を追い抜いている。また英国やドイツでも、ほぼ同じシェアとなっている。英国では Internet Advertising Bureau (IAB)のデータによると,2009年上半期に既にインターネット広告費がTV広告費に追い付いていることになっている。英国ではBBCの存在が早い時期でのトップ交代劇を演じさせているのかもしれない。

 テレビがメディア広告の主役であり続ける米国や日本では、インターネット広告の台頭は新聞広告や雑誌広告のシェアを侵食することになった。だが西欧の各国では米国や日本と違って、意外と新聞広告が踏ん張っている。ドイツ、スウェーデン、オランダ、アイルランドでは、2010年になっても新聞広告がトップシェアを堅持している。 

Ofcom201112d.jpg
注:1£(1ポンド)=120.9円 、2011年12月17日


Ofcom201112g.jpg

 次は世界全体(グローバル)のメディア別広告費の推移である。2009年はリーマンショック後の金融危機で深刻な広告不況に襲われたが、2010年にリバウンドした。でも、2011年はEU危機が蔓延し回復を鈍らせている。グローバルで眺めてみても、新聞や雑誌メディアはじわじわと勢いを失ってきているが、テレビはまだ元気がよくて勢いを失ってはいない。

Ofcom201112b.jpg


 メディア別のCAGR(年平均成長率)を比べても、明暗がくっきりと表れている。

Ofcom201112c.jpg


 最後に、各国のTV産業のデータを。2010年はリバウンドの年だったので、異常に高い成長率はそのためである。1人当たりの広告売上高は、日本と米国はほぼ同じレベルである。

OfcomTV Industry.jpg

◇参考
・International Communications Market Report 2011(Ofcom)
・UK Internet ad spend overtakes TV for first time(Reuters)

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posted by 田中善一郎 at 15:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア
2011年06月16日

広告事業が厳しい雑誌や新聞、デジタル販売が救ってくれるのか?

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 米メディア産業の予測が、調査会社から次々と公表されている。その中で、新聞と雑誌の行く末を、予測データから見ていく。

 eMarketerが広告費について、同社を含めた各調査会社の予測データを、横並びに比較してくれている。各調査会社の対象範囲が違っているが、ここでは大ざっぱなトレンドを見たいため、それらの違いを無視する。

 まず、eMarketerが占った米国新聞の広告売上高の予測(単位:10億ドル)。落ちるところまで落ちた感のある新聞紙(プリント)広告は、さらに2015年までひたすら下っていく。ただし微かな光明も。プリント広告の凹み分をオンライン広告で埋めることができなかったのだが、2014年ころから補えるようになり、総広告(プリント+オンライン)売上が下げ止まると期待している。

USNewsAd2015a.jpg

 次が、各調査会社の比較である。ドイツ銀行の予測は厳しい。2014年〜2015年になっても新聞広告売上高は急な下り坂を転げ落ちると見ている(オンライン広告を含んでいないかも)。

USNewsAd2015b.jpg

 eMarketerがはじいた米国雑誌の広告売上高の予測(単位:10億ドル)は次の通り。新聞に対してはわりと楽観的に予測していたのに対し、雑誌(プリント)広告売上高についてはかなり悲観的に見ている。

USMagAd2015a.jpg

 逆にドイツ銀行は、雑誌については楽観的に見ている。

USMagAd2015b.jpg

 参考までに、米国の各媒体の協会から公表されている実績データをもとに、過去6年間の新聞、雑誌、インターネット広告売上高の推移を、グラフ表示してみた(単位は100万ドル)。新聞は下降線を辿っており、2011年に入っても第1四半期の広告売上高が前年同期比で未だにマイナス成長を続けている。一方雑誌広告は、2010年にプラス成長に転じており、2011年も増え続けている。ドイツ銀行の予測のように、2015年には雑誌広告が新聞広告にほぼ追い付くこともあり得る。

USmagNewsInternetAd2010.jpg
Global entertainment and media outlook: 2011-2015

 だだはっきりしているのは、新聞社も雑誌社もこれまでのように広告売上に大きく頼れなくなってきている。そこで、どうしても販売売上高(購読料収入)にこれまで以上に期待したい。デジタル分野で有料化が本格的に動き始めているのもそのためである。 

 今まで新聞や雑誌の広告予測はしばしば見かけるのだが、販売売上高(購読料収入)についてまとめたデータが見つけられないでいた。ところが今週、PricewaterhouseCoopersが発表した「Global entertainment and media outlook: 2011-2015」の中で、次のような販売売上高の予測が出ていた(単位:100万ドル)。

PwCCirculationRevenueNewspaperMag.jpg

 スマートフォンやタブレットの普及で、電子雑誌や電子新聞などのデジタル販売(オンラインも含む)が2015年までにどれくらい伸びるのか。ところが予測は甘くない。電子雑誌は事実上iPadの出現した2010年から立ち上がったのだが、その電子雑誌を含むデジタル販売売上(北米のコンシューマ雑誌が対象)は、2010年に400万ドルであったのが、2015年には6億1100万ドルに膨れ上がる。一方の新聞のデジタル販売売上は2010年の1億5000万ドルから2015年になっても3億3100万ドルとあまり増えない。それだけ、新聞の有料化が難しいとも言える。

 読者の紙離れにより、プリントの新聞や雑誌の販売売上は当然落ちていく。新聞(プリント)の販売売上(curculation revenues)は、2010年に102億ドルだったのが2015年に95億ドルに落ちる。雑誌(プリント)の販売売上は2010年の92億ドルから2015年に88億ドルとなる。

 新聞は、プリントで失った販売売上高をデジタル売上高で補えていない(プリントでマイナス7億ドル、デジタルでプラス1.8億ドル)。一方雑誌は、プリントで4億ドルの販売売上減となるが、デジタルで約6億ドルの販売売上増となる。

 こう見ていくと、デジタル時代において、雑誌は活路を見いだせる可能性がありそうだが、新聞はやはり厳しいそう。それにしても、2015年になっても、スマホやタブレット向け電子雑誌や電子新聞の売上は、紙に比べて微々たるものである。だから、いつまでたっても紙にしがみつきたくなるのだろう。


◇参考
・Global entertainment and media outlook: 2011-2015(PwC)
・Gains in Online Magazine & Newspaper Ad Spending Will Not Offset Print Losses(eMarketer)
・Digital Subscriptions Will Lift Magazines But Not Newspapers(Forbes)
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posted by 田中善一郎 at 11:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア
2011年06月09日

この2年間、FacebookやTwitter以外で急成長した米国の大規模Webサイトはどこ

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 急成長している新興のWebサイト(オンラインサービス)となると、やっぱりFacebookとTwitterである。まだ上場もしていないのに、主役の座に就きソーシャル化の流れを加速化させている。

 たまたま手元にあったcomScoreのデータで、Webサイトの月間ユニークビジター数の推移を見ても、両サイトの勢いぶりは抜きんでいる。この2サイトだけがやたらに目立つのだが、そのほかにも急成長している大規模サイトがありそうである。そこで大ざっぱであるが、comScoreのデータを振り返って調べてみた。comScoreでは米国ユーザーがよく訪れるWebサイトとして、月間ユニークビジター数の多い順に50サイトを並べて、定期的に公開している。トップ50サイトの内から関心のあるサイトを抜き出し、今年(2011年4月)、昨年(2010年5月)、一昨年(2009年4月)の月間ユニークユーザー数を掲げた。2011年4月のデータにはランキング順位も加えた。

●米Webサイトの月間ユニークビジター数(米国内)、単位:1000人、ソース:comScore
comScore201104Ranking.jpg
*トップ50に入っていない場合は、ユニークユーザー数が空白になっている

 
 上の表から、この2年間にユニークビジター数を増やしているサイトを適当に選び、次のようにグラフ表示してみた。メディア関連では、新興のGlam MediaとDemand Mediaの成長ぶりが気になる。2010年5月時点ではトップ50にランキングされていなかったLinkdInがTwitterと同様、破竹の勢いで伸びている。これらのサイトの大半は米国内でだけではなく海外展開に注力しているので、当然のことだがグローバルなユニークユーザー数はもっと多い。

●過去2年間、月間ユニークビジター数が急伸した米Webサイト、単位:1000人、ソース:comScore
comScore201104RankingGraph.jpg

 こうした急成長しているサイトを参考にしたいものだ。たとえば、急伸しているESPN.comである。スポーツ大国の米国ではスポーツサイトの争いは激烈で、トップYahoo! Sportsに肉薄しているESPN.comの動きは見逃せない。このESPNについては、別の記事でまとめてみたい。 


●米スポーツサイトの月間ユニークビジター数ランキング、2011年4月調査、ソース:comScore
comScoreSportsSiteRanking201104.jpg



◇参考
・comScore Media Metrix Ranks Top 50 U.S. Web Properties for April 2011.pdf(comScore)
・ESPN.com Has Narrowed The Traffic Gap With Yahoo Sports(Bisiness Insider)


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posted by 田中善一郎 at 12:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア
2011年05月25日

ニュースメディアの将来を見通すための辞典「Encyclo」

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 ニュースメディアの現況や将来をウォッチする人に格好の百科事典が登場してきた。

EncycloNiemanLab.jpg

  メディア産業が激変の時代を迎えるなかで、ニュースメディアの将来の姿はどうなっていくのか。それを見通していくためには、伝統的な新聞、放送、雑誌、通信社がどこに向かおうとしているのか、新興のオンライン会社がどのような新しいニュースメディアを生み出そうとしているのか、また大きな役割を果たしてきている技術会社が次は何を仕掛けようとしているのか、などなどの最新動向を見ていく必要がある。それにこれまでの経緯を示すアーカイブ情報も欠かせない。こうした情報を収集するために特化した百科事典「Encyclo」を5月18日に、米ハーバード大学のThe Nieman Journalism Labが発行した。無料のオンライン辞典である。

  Encycloで取り上げた項目は、ニュースメディアに関する重要プレイヤー(メディアタイトル、メディア会社、技術会社、ジャーナリズム組織など)から最初に184点を選んでいる。
ENCYCLOMediaSite.jpg

 Online分野では、The Daily、Demand Media、Gawker Media、The Huffington Post、Politico、WikiLeaksなど120点。Magazines分野では、The Atlantic、Conde Nast、Newsweekなど16点。Journalism organizations分野ではPoynter Instituteなど3点。Wire servicesでは、Associated Pressなど3点。またTech companies分野では、Apple、 Facebookなど16点を取り上げた。Broadcast分野では、Al Jazeera、BBC Newsなど13点。Newspapers分野では、 The New York Times、The Wall Street Journal、 The Washington Postなど33点を選んでいる。

184項目(エントリー)のリストはこちらで。 実例として、The New York Timesのページを覗いてみる。

EncycloNYT.jpg

 このNYTの例のように、エントリーのページは4つのセグメントから構成されている。
@narrative entry
該当のエントリーの概要。主に現況および将来のニュースメディアについてどのように取り組んできているかをまとめている。参考記事や資料へのリンクがたくさん張られているので、さらに深く調べることもできる。
Acollection of key links
この該当エントリーに焦点をあてた重要なニュース記事やコメントへのリンクが掲載されている。
Brecent Nieman Journalism Lab stories
この該当エントリーについて、最近Nieman Journalism Labで取り上げた記事(見出しと、概要、リンク)の紹介
CMediagazer
メディア分野のニュースアグリゲーターMediagazerから、該当エントリーを取り上げた最新ニュースを紹介。ソースは評価の高いニュースサイトやブログが多い。

 The Nieman Journalism Labは、インターネット時代において質の高いジャーナリズムの在り方を探る研究所だけあって、このEncycloも良質の辞典になっている。大学組織の特権であろうか、選りすぐった世界中の記事やブログにリンクを張りまくっているので役立つ。また、キュレーターとしてのPrimary authorと最新の更新日を明記している。例えば先ほど見たNYTのエントリーでは、「Primary author: Mark Coddington. Main text last updated: May 24, 2011.」となっていた。メンテ(人手をかけたキュレーションや頻繁な更新)をしっかりやっていこうとする意気込みが伝わる。これまでも新聞社サイトなどでトピック欄が設けられているが、メンテが手薄になって質が低下しているものも少なくない。


◇参考
・Say hello to Encyclo, our new encyclopedia of the future of news(NiemanJournalismLab)
・About Encyclo(NiemanJournalismLab)

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2011年05月06日

新局面迎える人気iPadアプリ「Flipboard」、Forbes誌やOprahなどと提携

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 ソーシャルマガジンとかソーシャルニュースアグリゲーターとして持てはやされている「Flipboard」。本当にソーシャルメディアのキラーアプリとなるのか、新たな局面を迎えている。 

 ともかくiPad向けアプリ「Flipboard」の評価が相変わらず欧米では高い。特にアーリーアダプターとか情報収集に熱心な先進ユーザーには異常なほど受けている。まず最初にカリスマブロガーのRobert Scoble氏が、2010年7月に登場してきたFlipboardをすぐに「First look at “revolutionary” social news iPad app」と興奮気味に紹介していた。

 先進ユーザーに続いて、Flipboard熱は雑誌や新聞などのメディア側にも波及している。雑誌コンテンツや新聞コンテンツを読みやすいレイアウトのiPadページに変換してくれ、フリップしながら(めくりながら)簡単に閲覧できるサービスを提供できるからだろう。それにFlipboardアプリのiPadユーザーが増えてきており、そうしたユーザーに向けてメディアビジネスを展開したいのかもしれない。

 ともかく昨年は、Appleからは2010年の最優秀iPadアプリと賞賛されたり、またTime誌からは「The 50 Best Inventions of 2010」と絶賛されたりと、驚くほど高い評価を受けてきた。これまでFlipboardアプリは200万回以上ダウンロードされており、Flipboardのページは毎週8000万回くらいフリップされているという。先月は5000万ドルの資金調達を実現し、Flipboardのユーザーのすそ野拡大と収益化に向けて動き始めている。

 まずFlipboardは、同社サービスに惚れこんでいる出版社と手を組み始めている。Forbesもその一つである。Forbesが自サイトのブログ記事で、“We’re excited to announce that Forbes is getting a big face-lift on the Flipboard iPad app.” と、Forbesの記事パーケージをFlipboardページの専用セクションとして提供することを興奮しながら伝えている。これに応えてFlipboardの公式ブログでは、今週の素晴らしいフィードとしてFlipboard版Forbesを歓迎していた。

 Forbesは、既存のTwitterアカウント(以下に示す@Forbes:フォロワー35万人)を流用して、そのツイート・フィードをFlipsboardに使わせている。

ForbesTwitter.jpg 

 Forbesのフィードを受けると、Flipsboard側ではアルゴリズムに従って雑誌風レイアウトのページを自動的に作成していく。ツイートで示されているリンク先から、文章や図・写真などを適当に取り出して以下のように表示される。現在は、全文を閲読するにはアプリからWebサイトに飛ばなければならない。
 
FlipboardForbes.jpg


 Flipboardは、Forbes以外にもthe Guardian, Sports Illustrated、Salon、ABC Newsなどの有力な新聞や雑誌、Webサイトとも提携しており、それぞれの専用セクションをユーザーが選べるようにしている。また最近の提携で話題になったのは、カリスマセレブのOprah WinfreyがFlipboardアプリに公式のOprahセクションを設け、そのセクションを用いてOWN(Oprah Winfrey Network)やOprah.comのコンテンツを提供することになったことだ。メディアの世界で影響力を及ぼすOprahがFlipsboardと手を組んだことは、Flipboardの普及に弾みをつけそう。 

FlipboardOprah.jpg

 Flipboardのセクションメニューを覗くと、すでに多くの雑誌や新聞、それにブログなどのオンラインメディアの名前が連なっている。すべてと提携しているとは思えないのだが、例えばニュース部門では次のようなメディアのセクションが現時点で用意されている。

FlipboardNews.jpg
FlipboardNews2.jpg

 そのほかTech & Sience部門、Art & Photography部門、Design部門、Business & Finance部門などでも、有名なタイトルのメディアがセクションとして選別されており、ユーザーが選んだセクションがFlipboardページで閲覧できる。

 こうしたメディアのセクションを日常的にFlipboardアプリで閲覧していないので、有難さが今ひとつ理解できていない。特定のメディアのパッケージされたコンテンツ(時にはプリントメディアのコンテンツ)を日常的に読んでおきたいユーザーには受けるのかも。有料化も可能なのか?

 個人的には、自分のTwitterアカウントを介して、パーソナライズされたソーシャルニュースアグリゲーターとしてFlipboardを使っているので、現状でも満足しているのだが。今夏には、FlipboardのiPhoneアプリが出てくる予定なので、それを期待しているくらいか。

 ただ、Flipboardが独走するとは限らない。すでにソーシャルマガジンとかソーシャルニュースアグリゲーターとかソーシャルリーディングツールと標榜する競合アプリが、Flipboardの他に Zite、News360、Flud、Ongo、Instapeper、Taptu、Pulse、News.me、Suliaなどなどと目白押しである。“ソーシャル”とか“キューレーション”というバズワードに乗って、激しいアプリ競争が始まっている。


◇参考
・Forbes and Salon Lead This Week’s Favorite Feeds(The Official Flipboard Blog)
・News curation: finally, social media's killer app?(Fortune)
・Forbes Comes To Flipboard(Forbes)
・Salon stories, tailored for Flipboard(Salon)
・Oprah and This Week’s Favorite Feeds(Inside Flipboard)
・2010年の最優秀iPadアプリはFlipboardに決定―Twitter、Facebookへの連携を深める大幅アップデートを実施(TechCrunch Japan)

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posted by 田中善一郎 at 10:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア
2011年05月02日

ビンラディン死亡の速報、AljazeeraとCNNのトップページでは

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 アルカイダ指導者のオサマ・ビンラディンが死亡した。遺体は米当局が確保しているという。間もなく、オバマ大統領の声明が出る。以下は、AljazeeraとCNNのそれぞれのサイトのトップページ。

OsamaDead20110502.JPG


OsamaDeadCNN.JPG

 先ほどから、オバマ大統領の声明が始まった。
ObamaLadin.JPG
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posted by 田中善一郎 at 12:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア
2011年04月07日

アップルに抵抗する新聞社と雑誌社、まだ続く綱引き

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 アップルは音楽産業に続いて、新聞産業や雑誌産業でも流通の主導権を握ろうとしている。

 iPadが登場してから1年近くが過ぎた。電子新聞や電子雑誌のeリーダーとしても大いに期待されたが、iPad向け電子出版の立ち上がりが今ひとつ鈍い。足を引っ張った要因の一つとして、アップルのApp Storeにおいて定期購読サービスを実施していなかったことがあった。米国では新聞も雑誌も、割安の定期購読が中心なだけに、電子版においてもその実施が待たれていたのだ。そして今年の2月に入ってようやく、iPad/iPhoneアプリの電子新聞や電子雑誌を定期購読するルールが固まった。

 その定期購読ルールを最初に適用したのが、News Corp発行のiPad専用電子新聞「The Daily」である。それに続いてプリントメディアの盟主的存在であるNew York Times(NYT)も応じた。3月から実施したデジタルコンテンツの有料化サービスの中で、iPadアプリの電子版NYTをアップルが定めた定期購読ルールに従って販売することになった。News CorpとNYTの両雄がアップルと手を組んだのだから、米国の新聞社や雑誌社の多くが雪崩を打って定期購読ルールを採用していくと、アップルが見込んでいたのだが。

 ところが、すぐに応じた有力新聞/雑誌は、New York Post、Newsweek、Popular science、Elleとごくわずか。ほとんどの新聞社や雑誌社は未だに定期購読ルールに抵抗を示している。アップルのApp StoreでiPad/iPhoneアプリの電子新聞/雑誌の一部売りを展開してきたが、待望の定期購読サービスに踏み込めないでいる。理由は明らか。定期購読ルールが新聞社や雑誌社にとって不利な条件であるからだ。安定したリピータ読者が払う定期購読料の30%をもアップルに持っていかれるし、定期購読者の個人情報も事実上アップルが管理していく。広告事業の主導権もアップルに握られそうだ。それに、定期購読新聞/雑誌のベストのサービスをApp Storeで展開しなければならないという条件も課せられる。アップルは読者に対して、ベストの定期購読サービス(例えば最も安価な購読料)が同社のApp Storeで享受できることをアピールできる。

 これでは、デジタルの電子新聞や電子雑誌のビジネスが、アップルの思うがままにコントロールされていく。でも圧倒的なApp Storeの現在の求心力、それに電子新聞や電子雑誌のeリーダーとなるタブレット市場でiPadの独走がしばらく続きそうなことから、電子媒体事業を立ち上げていくにはアップルと手を組まざるえない。それがNYTの選択でもある。

 でも、このままアップルに服従するのは我慢ならない。このように反抗したのが、英FT(Financial Times)である。同社は、定期購読者と直接の関係を築いてきたのをビジネスモデルの核にしていると説明し、定期購読の申し込みを自社サイトで行いたいと主張している。売上の30%をアップルが徴収する売上シェアについても交渉中とのことだが、Androidのような他の流通チャンネルも検討していると牽制球を投げている。でも牽制球になっているかどうか。

 米新聞協会の約1000紙の新聞の大半は、アップルモデルの採用に気が進まないとのことだが、結局はアップルに流通をお任せすることになるのかも。

◇参考
・Apple makes bid to become gatekeeper for newspapers and magazines(San Jose Mercury News)
・Apple Gets Its First Big Publisher: New York Times Subscriptions Will Be Sold Through iTunes(MediaMemo)
・A moment before the iPad 2 is launched – which magazine should you subscribe to?(ConsoleDigest)
・50 Magazines for the iPad(Art of the iPhone)
・70 Newspaper Apps for the iPad(Art of the iPhone)
・Is The Daily iPad newspaper failing?(intomobile)
・アプリ開発者にとって収益性の高いプラットフォームは?、iOSかAndroidか(メディア・パブ)
・米アップルのApp Storeの定期購読ルールが確定、雑誌/新聞の流通や広告の主導権を握るのか(メディア・パブ)
・Apple unveils iPhone, iPad subscription policy(Business Journal)
・Financial Times not into Apple's publishing rules(Cnet)
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posted by 田中善一郎 at 11:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア
2011年01月13日

ネット人口が4億5000万人を超えた中国、ネットによる「情報統制」と「民主化」の実態は

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 インターネットの世界でも超大国になってきた中国。インターネット人口が2010年11月末に4億5000万人に達した。まだまだユーザー数は増え続けそうで、2013年に7億人を突破するとの予測も出ている。

●中国のインタネットユーザー数:2010年は11月まで
ChinaInternetUser201011.jpg

この巨大なネット空間で展開する各種ネット事業も、すごい勢いで進展中である。Credit Suisseが最近公表した2015年の中国市場予測レポートでも、全産業の中で最も成長率の高い分野としてEコマースを掲げている。

●Credit Suisseの中国市場予測。最も成長率の高い分野としてEコマースを掲げ、2015年の市場規模が2010年比の400%増と予測。
China2015CreditSuisse.jpg

 中国産業をけん引するインフラとして、中国政府がインターネットの整備・普及に力を入れているのは間違いない。ところが、インターネットはボーダーレスで開放的なメディアである。さらにweb2.0の流れで各種ソーシャルメディアが台頭し、中国でもインターネットが一般市民や消費者が発言できるメディアとしてすっかり根をおろしている。注目すべきはそうした流れの中で、ネットを介した民主化の動きも目立ち始めていることだ。

 でも、中国は13億人超の国民を抱えた社会主義国家である。これまで中国政府と共産党は伝統マスメディアを使って情報を統制してきた。そうしたメディア政策の原則は変わらないだろうが、ソーシャルメディアの出現により一方的な情報統制だけではうまくいかなくなっているのも確かである。

 中国には、伝統メディアの流れにある政府系メディアサイト(人民網、新華網など)と新興の商業メディアサイト(新浪網、網易網など)があり、さらに商業メディアの傘下あるいは独自サイトとして、検索、動画、SNS、ブログ、BBS、ミニブログなどの、いわゆるソーシャルメディアが定着してきた。今では、当局の管理下にある政府系メディアサイトよりも、自由な意見が飛び交うソーシャルメディアの人気が高い。最近の世論調査(45万人のオンラインユーザーが回答)結果でも、約80%の人が政府系サイトに不満を抱いている。世論形成でもソーシャルメディアの影響力のほうが大きくなっている。

 ただ当局は、尖閣沖事件に絡んだ反日運動への対応にも見られるように、ソーシャルメディアのネット世論を巧みに管理する術を会得してきているようでもある。管理を徹底するためであろう、ソーシャルメディアの運営に外国資本の参入を厳しくしている。Google、Facebook、Twitter、YouTube などの米国の有力サイトを事実上、中国市場から排除しているのもそのためである。

 でもブロックされているはずのTwitterが、中国の活動家の間では、100%言論の自由が守られた全国的なプラットフォームとして利用されているようでもある。かように中国のメディアの実態は、なかなか把握できない。そうした疑問に応える書籍「中国ネット最前線-「情報統制」と「民主化」」が発行されていたので、以下に紹介する。インターネットを介した情報統制や民主化の動きを垣間見ることができる。1年前に北海道大学東アジアメディア研究センター主催のシンポジウム「ネットが変える中国、ネットで変わる日中関係加」が開かれたが、それをベースにこの1年間の最新の動きをまとめた書籍である。またシンポジウムの第2弾が今月末に開かれるので、それも末尾に紹介しておく。


中国ネット最前線-「情報統制」と「民主化」
編:北海道大学東アジアメディア研究センター、渡辺浩平
出版社:蒼蒼社
価格(税込):1995円
Amazon.co.jp             ChinaBook.jpg

目次の一部
・ネットメディアと伝統メディア
・尖閣沖漁船衝突事件をめぐる中国のネット世論と共産党  
・言論の自由をめぐる中共改革派老幹部の行動
・中国ツイッターと高まる政治的影響力
・中国ネット社会の立役者の夢と現実
・中国のインターネット統制とそのかいくぐり方
・日本企業はネット世論にどう対処すればよいのか
・中国におけるインターネット利用の実態調査
・ネットは対外宣伝の武器となりうるのか
このほかに、中国ネットへのアクセス法やネット関連データ集もまとめられている。


 また、北海道大学東アジアメディア研究センターは今月31日に、国際シンポジウム「中国の影響力拡大と日本−政治体制改革とメディアの越境−」を経団連会館国際会議場で開催する。

日時:2011年1月31日(月) 14時30分〜17時15分
場所: 経団連会館 国際会議場(東京・地下鉄大手町 直通)
参加費:無料(事前申し込み制)
定 員:250名(先着順)
プログラムと申し込み法はこちら(http://ceams.imc.hokudai.ac.jp/blog/event/110131shimpo)で。



◇参考
・Survey: Chinese gov't websites fall short( People's Daily Online)
・中国でブロックされたはずのTwitter,海外サービス部門の人気投票でトップに(メディア・パブ)
・China police use micro-blogs 'to connect with public'(BBC)
・450 million use the Web(China Daily)
・China has over 450 million internet users and will have 718 million in 2013(Next Big Future)
・The Biggest Winner In China In 2015? E-Commerce(Forbes)
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2010年12月30日

メディア接触時間、相変わらずテレビが王者

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 コンシューマーのメディア接触では、相変わらずテレビ視聴時間が長くてトップであるが、急速に増えているのがモバイル利用時間である。

 eMarketerが他の調査会社のデータも参考にしながら、米コンシューマー(大人)の1日当たりのメディア接触時間をはじき出した。最初のグラフは、主要メディアの1日当たりメディア接触時間のシェアである。

MediaTimeSpent2010a.jpg
 1日当たりメディア接触時間の総計は、2008年が10.6時間(635分)に対し2010年は11時間(660分)となっている。ただし、もし1時間ほどテレビを視聴しながらインターネットを利用した場合、テレビ視聴時間およびインターネット利用時間をそれぞれ1時間とダブルカウントしている。

 テレビ&ビデオ(オンラインビデオは含まない)はこの3年間、シェア40%を維持し、まだまだメディアの王者である。インタネット接触時間は、2008年の21.5%から2010年の23.5%と順調に増えている。また、米国ではどちらかと言えばマイナーな存在であったモバイルが08年の5%から10年の7.5%と急激に成長し始めている。新聞と雑誌の紙メディアは、残念ながらジワジワとシェアを落としており、下降に歯止めがきかない。インターネットやこれからのモバイルで新聞や雑誌コンテンツの閲覧時間をどこまで増やしていけるかが鍵となる。


 次は、2010年における1日当たりのメディア接触時間である。ここでも注目されるのは、モバイル接触時間が50分/日となり、紙メディア接触時間(新聞30分+雑誌20分)と並んだことだ。2011年以降は電子新聞や電子雑誌としてモバイル(スマートフォンやタブレット)にシフトする流れが本格化しそうなので、モバイルと紙メディアの差は一気に拡大しそう。ラジオの利用時間が長いのは、車での利用が多いため。

MediaTimeSpent2010b.jpg


 最後のグラフは、1日当たりメディア接触時間(平均)の前年比成長率である。09年と10年について、各メディア別に示している。ここでも、モバイルの成長率が際立っている。王者テレビ(+ビデオ)も2010年はマイナス1.1%となり、ジワリと減り始めた。オンラインビデオへのシフトが進んでいるので当然かも。また今回の調査対象は大人なので、10代を加えると、モバイル指向や紙メディア離れがもっと顕著になり、それにテレビ離れも顕在化しているかも。

MediaTimeSpent2010c.jpg


◇参考
・Trends in Consumers’ Time Spent with Media(eMarketer)
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2010年12月05日

メディア広告が回復へ、でも新聞だけが置いてきぼりに

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 大半のメディア広告が復活してきたのに、新聞広告だけが取り残されている。 

 一昨年後半から昨年と、未曾有の広告不況に見舞われたメディア業界であるが、今年に入って回復軌道に乗り始めた。米国の5大メディア(TV、新聞、雑誌、ラジオ、インターネット)のそれぞれの四半期広告売上げは、TV、ラジオそれにインターネットが、今年第1四半期(1月-3月)から順調に前年同期比でプラス成長に入った。ところが、プリントメディア(雑誌と新聞)は構造的な問題を抱えているためか、第1四半期もマイナス成長のままで回復が出遅れていた。でも第2四半期になると、以下のグラフのように、雑誌広告もプラス成長に転換した。

NewspapervsOtherMediaAdSales2010.jpg
(グラフのソース:REFLECTIONS OF A NEWSOSAUR)

 ところが残る新聞広告だけが5大メディアの中でマイナス成長から脱せないでいるのだ。そして先週末に、NAA( Newspaper Association of America)から第3四半期の新聞広告売上が公表されたが、第3四半期も前年同期比で7.1%減と、いまだにマイナス成長のままである。新聞広告だけが、完全に置いてきぼりになった状況だ。

 同じプリントメディアである雑誌広告と比較するために、四半期別広告売上げの前年同期比伸び率の推移を以下に示す。雑誌に比べ新聞は悪すぎる。米国の新聞と雑誌の特徴は、売上の大半を広告収入に依存していること。新聞紙の今後が絶望視されているのも仕方がないことか。

*米国の雑誌/新聞の広告売上成長率(2008年第1四半期から2010年第3四半期まで)
USMagNewspaperAd.jpg
(ソース:NAA、MPA)


 ついでなので、日本の新聞/雑誌/インターネット広告売上げと比較してみた。米国の新聞広告売上の落ち方は、日本の新聞に比べても大きい。日本の主要新聞は米国の新聞に比べ、広告依存度が低いし、販売売上が多いし、不動産などの資産を抱えている場合もあるし、新聞以外の事業売上も少なくない。日本の新聞も一応大変だ、大変だと叫んではいるが、米国の新聞に比べるとまだ安泰といえる。米国の新聞社ではここ数年、レイアウトの嵐が日常化しているくらい大変なのだ。

*日米のメディア別広告売上(2006年と2009年)
MediaAdUSJapan2009.jpg
電通の「2009年日本の広告費」
NAA(Newspaper Association of America )より:プリントのみでオンラインは含まず
IAB( Interactive Advertising Bureau )より
MPA(Magazine Publishers of America)


 NAAのデータを見れば、米国の新聞の大変さを実感できる。総売り上げの8割前後を占めていた新聞紙広告売上の急落ぶりが悲惨である。そこで救世主としてオンライン広告に望みを託したいのだが、まだ売上規模がまだ小さい。それなのに、そのオンライン広告までも2008年第2四半期から2009年第4四半期までマイナス成長に落込んでしまった。

*米新聞の新聞紙広告売上/オンライン広告売上/総広告売上(2007年第1四半期から2010年第3四半期まで)
USNewspaperAd2010Q3.jpg
(ソース:NAA)

USNewspaperAd2009a.jpg
(ソース:NAA)

 広告売上げの落ち込みをグラフで見てみよう。2010年第3四半期と5年前(2005年)の同時期の、広告売上高を棒グラフで比べている。5分野別新聞紙広告(Retail、National、〜、Jobs)とオンライン広告である。この5年間で、新聞紙広告はどの分野も大幅に減っている。それれに対して、オンライン広告は少しは増えているが、まさに焼け石に水といったところか。

 このように新聞は危機的状況にあるのに、いまだに米国やカナダの少なからぬ新聞社経営者は、新聞の今後を楽観視しているようだ。(Guardianの記事)。2011年は広告売上げが上昇し始めるので、新聞経営者の2割がプリントメディアの新聞にも投資していきたいという。

*新聞紙の分野別広告売上[Retail〜Jobs]とオンラインの広告売上げ(2005年第3四半期と2010年第3四半期)
NewspaperAdRevenue20052010.jpg
(グラフのソース:REFLECTIONS OF A NEWSOSAUR)

◇参考
・NAA: Newspapers’ Ad Declines Slim, As Online Struggles To Maintain Growth(paidContent.org)
・Robust ad recovery bypassed newspapers(NEWSOSAUR)
・Newspaper ad optimism in the States(Guardian)
・
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2010年12月01日

「ウィキリークス」がサイバー攻撃の集中砲火を浴びる

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 「ウィキリークス」(WikiLeaks)のサイトがサイバー攻撃の集中砲火を浴びている。ウィキリークスの公式ツイッターアカウントでも、DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃を受けたことを報告している。

*日本時間2010年12月1日9時
WikileaksTwitter20101201.jpg

 その結果、ウィキリークスの公式サイト「http://wikileaks.org」や特設のSecret US Embassy Cables「http://cablegate.wikileaks.org」は現在、全くアクセスできない状況にある。今回の暴露内容からして、サイバー攻撃を受けてこういう事態に陥ることは百も承知していたはず。そこで実際、かなりのミラーサイトを欧米の国に用意しているようだが、実際どこまで役割を果たしているかは定かではない。

WikileaksMirrors20101201.jpg 

 ウィキリークスのサイトが機能不全に陥っても、ウィキリークスからの主張やお知らせは公式のFacebookファンページやTwitterアカウントで伝えている。FacebookやTwitterがサイバー攻撃を受けことはないと思うのだが・・・。

WikileaksFacebook20101201.jpg



◇参考
・Cyber Attacks Shut Down WikiLeaks(Slatest)
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2010年11月18日

Oprah対Martha 、メディア女王の2人がiPad向け電子雑誌でも競う

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 メディア帝国を築いているOprah WinfreyとMartha Stewartが、相次いでiPadアプリの電子雑誌を発行した。

 いずれも、既存の人気雑誌の電子版である。2009年の平均発行部数(MPA:The Association of Magazine Media調査)が243万8710部の「O, The Oprah Magazine」と同じく206万1226部の「Martha Stewart Living 」が、電子雑誌の世界でも競うことになった。

 iTunesサイトでは、O, The Oprah Magazine By Hearst Communications, Inc.(iTunes Preview)が11月16日からiPadアプリ(120MB)として3.99ドルで売り出された。一方のMartha Stewart Living Magazine for iPad By Martha Stewart Living Omnimedia, Inc(iTunes Preview)は一足先の11月10日からiPadアプリ(573MB)が同じ3.99ドルで提供されている。

 紹介ビデオを見る限りにおいては、両女王が自ら乗り出して取り組んでおり、ともかく気合いが入っている。ということで下手な解説よりも、以下のビデオをどうぞ。紙雑誌を超えた新しいメディアを作ろうとする気概が伝わる。作り手側がやたら興奮しているところもあるが、まだまだ試行錯誤の段階か。このような競争は歓迎。

●ブログ「Mashable」で紹介されているO, The Oprah MagazineのiPadアプリ


●Martha Stewart Living Magazine for iPadの開発風景



●Adobe MAX 2010で壇上に上がったMartha Stewart



◇参考
・Hands-On With Oprah’s Magazine App for iPad [VIDEO](Mashable)
・Money Face-Off: Oprah Winfrey vs. Martha Stewart
・“Martha Stewart Living” Releases Special Issue for the iPad(Mashable)
・O, The Oprah Magazine for the iPad Is Available Now(oprah.com)

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2010年10月30日

「伝統ニュースメディアは10年後に消えている」と米国成人の過半数が信じている

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 新聞やネットワークTVのような伝統ニュースメディアは、10年後には米国から消え去っている。米国成人の半数以上がそう見ている。

 これは新しい「 24/7 Wall St./Harris Poll survey」の結果である。調査は、2010年10月8日〜12日に2095人の米国成人を対象にオンラインで実施した。

 注目すべき結果を拾うと、次のようになる。

・米国人の81%は、ニュースを伝えるプリントメディアは衰退していくと見ている。
・55%の人は、伝統メディアが10年後にはもはや存在していないと予測している。
・半数の人はすでにほとんどのニュースをオンラインで入手している。さらに18歳から35歳の若年層となると、その割合が65%と高まる。
・プリントメディアは日々、縮小してきている。最近、プリントメディアの広告が少し良くなっているようだが、これは景気回復のお陰で一時的な現象である。ニュースや情報ソースとしてのプリントメディアが活気を戻しているわけではない。


 調査の詳細は、ニュースリリースでどうぞ。10点の表が掲載されているが、そのうちの2点を以下に貼っておく。

 多くの米国人が10年後には伝統的なニュースメディアが存在しなくなっていると見ているようだが、現時点では紙の新聞を読んでいる人はまだ多いし、これからも紙の新聞が必要だと答えている(本人にとって必要かどうかは別にして)。中高年で高学歴の多くの人たちは、今のところ好んでネットワークTVや紙の新聞/雑誌からニュースを得ている。
 
HarrisPollNewsMedia201010.jpg 

HarrisPollNewsMedia201010a.jpg


注:ここでいうネットワークTVはオンラインTVではなくて、 ABC、CBS、NBCなどの全米TV放送のこと。


◇参考
・The 24/7 Wall St./Harris Poll On American Media(24/7 Wall St.)
・Troubles for Traditional Media - Both Print and Television(Harris Interactive)
・55% Foresee Doom for Traditional News Media(Adweek)
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2010年08月19日

「Webが死んだ」を待ち望むのは伝統マスメディアか

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 「ロングテール」、「フリー」、そして今度は「ウェブの終焉」。Wired編集長のChris Anderson氏が、2週間ほど前にWired誌特集で“The Web is Dead”を打ち上げることを予告していた。そして一昨日、その「Webが死んだ」を特集にした号が発行された。ネット上でも記事が公開されている。

WiredWebisDead20100817.jpg

 新聞と違って雑誌では、このようなメッセージ性のある尖ったテーマで一つの号をあたかもジャックできるから面白い。というか雑誌はこのようなお祭りを、毎号やり続けなければならないのだが・・・。で“The Web is Dead”は今に始まった話ではないが、Chris Anderson氏が改めて打ち上げると、議論が一段と活発になるのだろう。今号のWired特集やそれを巡っての議論は日本語でも出回っているはずだから、ここでは「ウェブの終焉」に乗じて復活を賭けるメディア産業の動きを追ってみる。

 インタネットメディア接触の主要デバイスがPCからモバイル端末へ。この流れは加速している。それに合せてアプリケーションも、ブラウザーを介したWebアプリケーションだけではなくて、ウィジェット(ガジェット)が浮上してきた。つまり、モバイルアプリの出現である。この流れを強く印象付けたのがiPhoneのようなスマートフォンやiPadのようなタブレットの台頭である。そこで生まれてくるiPhoneアプリやiPadアプリのようなモバイルアプリに、アプリ開発者やユーザーが飛びつき始めた。

 特にiPadの登場は、米国の有力な新聞社や雑誌社を奮い立たせた。WSJ紙やLondon Times紙などの新聞を所有するNews Corpとか、Vanity Fair誌やThe New Yorker誌など有力雑誌を多く発行するConde Nastが、特に際立った動きに出ている。iPadアプリが伝統メディアを復活させる救世主になるとばかりに、iPadの出現を熱烈歓迎しているのだ。

 その裏にはどうも、Webアプリケーションのビジネスで散々な目に会ってきたという、伝統的なメディア企業の被害者意識も見え隠れする。紙の時代から新聞や雑誌はもともと、複数の記事をまとめてパーケージの形でコンテンツを定期的に読者に提供していた。インターネット時代が到来しても新聞サイトや雑誌サイトも当初は、ユーザーにはトップページに来てもらい、パーケージ中から所望の記事を選んで読んでもらっていた。そのころはまだ、メディア企業がコンテンツの提供で主導権を握っていた時代であった。

 ところが数年前から、Web2.0に代表されるWebアプリケーション時代に入ると、新聞サイトや雑誌サイトが提供するコンテンツが記事単位で流通するようになった。事実上のパッケージコンテンツの解体である。各記事は独自のURL(パーマリンク)を与えられ、記事単位で検索の対象になったり、リンクが張られたり、もちろんリミックスされて新しいコンテンツが作られたりしてきた。こうなってくると、コンテンツは無料で開放されているのが前提となり、課金の壁(pay wall)を設けるなんてもってのほかとなってくる。

 そして、各記事は検索エンジン、ニュースアグリゲーター、ブログ、ツイッターなどを介してソーシャルフィルタリング(ソーシャルエディティング)されて、ユーザーに届くようになってきた。読者参加型の消費者主導に変わってしまったのだ。これまで主役であった新聞社や雑誌社のようなコンテンツ提供者は脇役に追いやられてしまった。彼らのコンテンツをタダで拝借している検索エンジンやニュースアグリゲーターが潤い、またブログやツイッターのようなソーシャルメディアが活況を呈することになる。伝統的なマディア企業が不満を募らせるのももっともである。

 で反撃の狼煙を上げたのがNews Corp.会長のマードック氏である。1年半ほど前に、オンライン上の新聞コンテンツを有料化していくと宣言した。さらに、同社の新聞コンテンツをグーグルの検索エンジンで検索させないとも言い放った。だがWebの世界では、News Corp.が進める有料化も検索拒否も大きな流れを作り出せないでいる。

 そこでいいタイミングで現れたのが、アップルのiPadである。伝統的なメディア企業が特に注目したのはiPadアプリである。パッケージ化したコンテンツを有料で提供するのにぴったしであったからだ。つまり、昔のビジネスモデルが復活できるかもとしれないのである。マードック氏はiPadを「完璧な端末」と持ち上げる。News Corp.はiPadやiPhoneなどの有料モバイルアプリ向けに限定したニュース出版社を設立し、年内にもサービスを開始する予定である。雑誌社のConde NastもiPadアプリで活路を見出そうとしている。早々とiPadアプリで人気雑誌を電子化して有料販売を始めた。「GQ」、「Wired」、「Vanity Fair」、「Glamour」の電子版を毎号、iPadアプリとして号単位で売り出している。電子雑誌の価格は、ニューススタンドで一部売りする雑誌価格と同じである。

 News Corp.もConde Nastも、Webからモバイルアプリへの流れを大きくしていきたい。そしてパーケージした形でコンテンツを流通させ、主導権も取り戻したいのであろう。昔の佳き時代の復活を夢見ているのかもしれない。それに読者の中には、ソーシャルフィルタリングに疲れ、プロの編集者に魅力あるコンテンツをパッケージされた形で提供してほしいというニーズもあるはずだと。メディアの編集者としては、メッセージ性のある“これぞ”というコンテンツで読者を魅了させたいものだが、それにはパッケージ化された形で提供していきたい。そのための絶好の新しいチャンネルとして、iPadアプリに惚れ込んでいるのだ。

 ただ、モバイルアプリで新聞や雑誌コンテンツを配信しても、成功するとは限らない。すでに米国ではiPadアプリの電子新聞や電子雑誌が数多く発行されている。物珍しさで順調に売れているアプリもあるが、多くは読者から厳しい評価を受けているのが現状である。特に、紙の新聞や雑誌のコンテンツを単にパッケージした形でアプリを提供しても、読者の受けは芳しくない。同じようなコンテンツがWebから無料で得られるのに、なぜ有料のiPadアプリを購入しなければならないのかという意見が多い。読者が金を払ってでもぜひダウンロードしたいというiPadアプリの開発は、これからが本番といったところか。

 ともかく、本格的なモバイル時代を迎えて、モバイルアプリの市場が拡大していくのは間違いない。Wiredの特集の中でも、次のようなトレンドの流れを示している。

WebApps.jpg

 メディア接触の中心がPCからモバイル端末(タブレットも含む)に移る中で、相対的にブラウザー(Webサービス)の利用が減り、モバイルアプリを享受する機会が増えていくのだろう。かといって、Webが死んでしまうのではなくて、トレンドを強調し議論を吹っ掛けるために、あえて“The Web is Dead”と叫んだにすぎないに違いない。

 実はこの議論は、iPadの出荷が始まった4月にも盛り上がっていた。まず著名なメディア評論家のJeff Jarvis氏が、iPadを危険な端末と警鐘を鳴らした。先に述べたように、Webの世界は消費者が主役の自由な空間を作り上げていた。消費者は単に情報を消費するだけではなくて、クリエーターとして参加している。ところがiPadアプリは、パッケージ化されたコンテンツを消費者に提供する。消費者は“audience(オーディエンス)”として与えられたコンテンツを消費するだけの存在になりかねない。

 つまりWebの世界では消費者主導でクリエーターとして参加できたのに、モバイルアプリの世界では供給者主導で消費者はオーディエンスとして参加するだけになる。iPadは時代を逆行させるとJarvis氏が主張する。確かに、初期のiPadアプリ版電子雑誌の多くは、Web空間から遮断され、外部の検索エンジンの対象からも外れ、外部リンクも張られていなかった。一度自由なWebの世界の果実を味わった人たちが、iPadアプリに満足できるかどうか。もちろん、自由な空気を吹き込みクリエーターとして参加できるようなモバイルアプリも生まれてくるだろう。


◇参考
・The Web Is Dead. Long Live the Internet(WIRED)
・The Web Is Dead? A Debate(WIRED)
・It's the End of the Web as We Know It(The Steve Rubel Stream)
・Will Wired Proclaim 'The Web is Dead?'(VALLEYWAG)
・Closing the Digital Frontier(Atlantic)
・Murdoch: Tablets are the future for News Corp(Guardian)
・iPad danger: app v. web, consumer v. creator(BuzzMachine)


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posted by 田中善一郎 at 16:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア
2010年04月05日

iPadになびく新聞、雑誌、テレビ放送

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  新聞、雑誌、テレビ放送といった伝統的なメディアが、iPadになびいている。現在の窮地から脱し活路を見いだせるのではと、iPadに期待したいのだろう。

  以下の一覧表は、iTunes storeに早くも姿を現したメディア関連のiPadアプリである。PoynterOnlineが作成した表である。

iPadMedia201004.jpg

  伝統的な大手メディアが早々とiPadアプリを提供し始めている。たとえば新聞では、WSJ、NYT、USATodayのビッグ3が名を連ねている。またLe Mondeのような米国外の新聞も目につく。この表には出ていないが、 China Daily, Hindustan Times 、the Congleton Chronicleなどの海外新聞も手を上げている。

iPadWSJ201004.jpg


iPadLeMonde.jpg

 電子雑誌はまだ準備中のものも多く、これから続々と出てきそうである。また既存のiPhone版を拡大してiPad版兼用のアプリを出している雑誌も少なくない。コンデナスト社のEpicurious Recipes & Shopping ListやGQ Magazineがそうである。下のEpicuriousのスナップショットのように、iPhone(左)に比べiPad(右)は広々としたスペースなので、やはり雑誌に向いている。

iPadepicurious.jpg

 次はGQのデモビデオ。



 またTime誌のiPad版アプリを日本語サイトで見ると、アプリの価格が600円となっていた。(上の表でTime magazineがmonthly4.99ドルとなっているのは間違いのはず)。


iPadTimeMagazine.jpg

 テレビ放送のアプリで目に入ったのが、中国CCTV(China Central Television)のCCTV Newsである。中国から世界に向けて、10時間以上の英語ニュースを発信している。世界中に出荷するであろうiPadに目を付けるのは当然かも。

iPadCCTV.jpg


◇参考
・Early iPad app downloads dominated by media offerings(PoynterOnline)
・Apple's iPad to hit market on April 3(CCTV.com)
・On Eve of iPad Official Launch, Few Newspapers Offering Apps(Editor&Publisher)
・Media iPad Apps: Will These Magazine & Newspaper Apps Save The Industry?(HuffingtonPost)
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posted by 田中善一郎 at 00:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア
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