図1 LINEの利用率の推移(全世代と年代別)
図2 Facebookの利用率の推移(全世代と年代別)
図3 Twitterの利用率の推移(全世代と年代別)
図4 YouTubeの利用率の推移(全世代と年代別)
図5 Instagramの利用率の推移(全世代と年代別)
図6 ニコニコ動画の利用率の推移(全世代と年代別)
Thank you @airbnb for the gift of the gorgeous home in Houston for #SB51
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バイラルメディアに代表される新興のニュースサイトの多くは、フェイスブックなどのソーシャルメディアからのトラフィックに大きく依存している。そのバイラルメディアのトップランナーであるBuzzFeedでは、総トラフィックのうち75%以上がソーシャルメディアから流入している。ところが伝統メディアのニュースサイトは、各記事にソーシャルメディアの共有ボタンを添えたり、ソーシャルメディアに公式アカウントを設けたりしているが、ソーシャルメディアで話題になる記事つくりに新興ニュースサイトほど専念してこなかった。だが最近になって、ソーシャルメディア対応に本腰を入れ始めたようで、伝統メディアサイトのニュース記事もソーシャルメディアで共有されかなり拡散するようになってきた。
ニュースサイトへの流入トラフィック量を見ていくと、多くのソーシャルメディアの中でやはりフェイスブックからのトラフィックが群を抜いている。そこで、主要ニュースサイトの記事がそれぞれ、どれくらいフェイスブックで共有されているかを調べてみた。アイルランドのメディア分析会社NewsWhipは、ニュースサイトなどのパブリッシャーサイトの記事がフェイスブックでComment/Share/LikeされたInteraction回数を計数し、その総計(Interaction=Comment+Share+Like)を定期的に公表している。毎日、約25万本の英語ニュースを対象に測定している。
ここで、代表的なニュースサイトを対象に、それぞれの月間Interaction回数(表のTotal FB)と月間記事本数(表のArticle Count)を掲げる。Interaction回数が多ければ、フェイスブックへの参照トラフィックが増えていくことになろう。以下の表では、2013年10月、14年2月、14年6月の推移を示す。14サイトを選んだ。やはり目立つのはバイラルメディアである。BuzzFeedやUpworthyのようなバイラルメディアは、記事本数が少ない割にInteraction回数(Total FB)が多い。ただし、バイラルメディアは容易に立ち上げられることもあって乱立気味で、戦国時代に入っている。開設間もない新顔のサイトでも月間Interaction回数が100万回を超えることもある一方で、いくつかのサイトはいつの間にか消えてしまったりしている。
伝統メディアのサイトも目立たないが、月間Interaction回数を着々と底上げしている。Guardianは、昨年10月の458万回から今年6月には993万回と倍増させた。保守急先鋒のTV系Foxnewsも、538万回から1940万回へと急増させている。代表的な新聞サイトの、今年1月から4月までのInteraction回数総計は次のようになる。大衆新聞のDaily MailやUSA Todayの記事がネットで持てはやされるのは当然かもしれないが、高級新聞とみなされるGuardian、NYT、WaPoの記事もフェイスブック上で話題になる機会は増えているのは確かなようだ。フェイスブック対策をほとんど講じなかった公共メディアのBBCも、ソーシャルメディア向けの” this 17-second time-lapse video”のようなビデオクリップを試したりしている。
こうしたニュースサイト動きを、フェイスブックも後押ししている。昨年暮れからニュースフィードの掲載アルゴリズムを一部変え、質の高いニュースを優先して掲載するようにしたという。こうした後押しもあってか、NewsWhipが測定対象としているパブリッシャーサイトのニュース記事の総Interaction回数は、以下のグラフのように、今年1月の3億9400万件から4月の4億8300万件と、4か月間で23%も増えているのだ。
伝統メディアとしては、バイラルメディアのような量的拡大一辺倒のサイトとページビューやユニークビジター数の量で競っても分が悪いのは確か。それでも、これまでリーチしづらかったユーザーとの接点を増やすために、ソーシャルメディアの参照トラフィックを増やす抜本的な対策を講じるべきだろう。飛んできたユーザーに対し、いかにサイトへのエンゲージメントを持たせるかの仕掛けが必要となる。またニュース記事も分野やテーマによっては、ニュースサイトのユーザーよりも、ソーシャルメディアのユーザーを主ターゲットすることも増えそう。
上の表をグラフ化したのが次の図である。
ピンタレストは、ユーザーがネット上のお気に入りの画像を投稿(pin)し共有できるソーシャルサービスである。魅力ある画像が多いファッション、美容、ヘルス、フード/ドリンク、旅行、生活雑貨、アート、趣味などの分野に人気が集まり、女性ユーザーの支持が極めて多いのが特徴である。女性のショッピング欲を刺激するサイトにもなっている。AddShoppersの調査(こちらを参照)でも、ピンタレスト経由で訪れる消費者による小売店サイトでの売上が大きく伸びているという。
また興味深い動きとして、ピンタレストを本格的に活用する雑誌社が出てきたことも見逃せない。有力なコンシューマー雑誌を数多く発行しているハースト(Hearst)社は、各雑誌サイトでピンタレスト対策を講じ、ピンタレストからの参照トラフィックを増やしてきている。Country Living, Delish, Elle Decor, Good Housekeeping, Harper’s Bazaar, House Beautiful, Marie Claire, Redbook, Veranda , Woman’s Dayなどの各雑誌サイトへの流入トラフィックでは、いずれもツイッターからよりもピンタレストからのビジット数が多くなってきたという。Elle Decor, Good Housekeeping ,Harper’s Bazaarの女性誌サイトでは、全トラフィックのうち5%から10%がピンタレストの参照トラフィックになっているとのことだ。
いくつかの雑誌サイトを眺めてみて驚いたのは、掲載画像(主に写真)の多くにPinボタンが置かれており、ワンクリックでその画像をピンタレストに投稿できるようになっていることであった。ハーストの雑誌/雑誌サイトでは写真が”売り”で、外部で勝手にコピーされたくないはずだった。プロの写真家が撮った写真が多いし、被写体にセレブが登場している写真も多いから尚更だ。ところが掲載写真をピンタレストに投稿できるようにしたということは、その写真のコピーを容認したことになる。それどころか、リピン(投稿された画像を他の人が再投稿する)、つまりコピーによる画像の拡散を勧めることにもなる。
実際の雑誌サイトの例を見ておこう。最初はCosmopolitanのサイトの掲載記事“18 Signs You’re With the Man You Should Marry,”である。この記事の画像は、ユーザーによって2300回以上もピンタレストに投稿されていた。その記事がツイートされた回数が約800回なので、ここでもツイッターを凌いでいた。
次の例は、Harper’s Bazaarのサイトである。取り上げたのはお馴染のセレブに関する記事だが、セレブが写った写真上にカーソルを動かすと、ピンボタンがポップアップした。そのボタンを押すだけで写真を投稿できるわけだ。
さらに、各雑誌はそれぞれ独自アカウントを備えている。膨大な雑誌サイトの画像などをうまく分類してピンすることにより、フォローするユーザー(フォロワー)を増やしてきている。4つの雑誌について、それぞれのフェイスブックLike数、ツイッター・フォロワー数、そしてピンタレスト・フォロワー数を掲げておく。既に460万人以上のピンタレスト・フォロワーを抱えているHarper’s Bazaarの画像ボード(こちらを参照)を見れば、その充実ぶりが読み取れる。投稿された画像の多くが、さらにリピンされている。
このようにピンタレストサイトでは、ハーストの各雑誌の画像が数多く投稿されいき、さらにリピンされて拡散することになる。こうした画像を見たユーザーが、その画像をクリックすれば、その画像を掲載した記事に飛んで行ける。これが雑誌サイトへのトラフィックとなるわけだ。ハーストの雑誌に掲載されている画像には商品写真も多いので、ユーザーをショッピングページに誘導させることもできる。