SNSやブログ,写真/動画共有サイトなどのソーシャルメディアに対して,アジア人は欧米人よりも能動的に参加しているようだ。
Universal McCannのソーシャルメディア調査によると,米国や西欧のインターネットユーザーは他人の作ったコンテンツを閲覧するだけの傾向があるのに対し,アジアのユーザーはコンテンツの作り手となる割合が高いとのことだ。
Universal McCannのソーシャルメディア・プラットフォーム調査は,2006年9月(Wave 1),2007年6月(Wave 2)に次いで,2008年3月(Wave 3)が3回目である。今回は,29ヶ国1万7000人のアクティブ・インターネットユーザーを対象に調査を実施した。
WAVE 3とのタイトルの調査レポートが,80ページのPDFファイルで公開されている。
調査ではThe Active Internet Universeを,毎日あるいは隔日にインターネットを利用している人と定義している。そこで,世界の16歳〜54歳のActive Internet Universeを475m(4億7500万)人と推定している。
トップ10の国は次の通り。
米国:100m
中国:61m
日本:29.8m
ドイツ:18.8m
英国:17.8m
インド:17.8m
ブラジル:13.8m
韓国:13.7m
フランス:12.8m
スペイン:10.9m
今回の調査で特徴的な結果を上げておく(ユーザーは16歳〜54歳のActive Internet User)。
・アジア人が世界中で最も,能動的にソーシャルメディアに参加している。
・2006年9月(Wave 1)から2008年3月(Wave 3)までの間で,最も急成長した分野はVideo Clips視聴である。普及率がWave1の31%からWave3の83%へと急上昇した。
・ユーザーの57%は,コンテンツを作り共有するソーシャルネットワークに参加している。ユーザーの55%は写真をアップロードし,22%はビデオをアップロードしている。
・Widgetも浸透してきた。ソーシャルネットワークユーザーの23%はアプリケーションをインストール。ブロガーの18%もインストール。
・ユーザーの73%がブログを閲覧。
・中国のブロガー人口は4200万人と,世界で最も多い。
・34%はブログに製品やブランドについての意見を投稿し,36%はブログ発信している企業をポシティブと見ている。
インターネットユーザーがソーシャルプラットフォーム上で参加するサービス例は次の通り。
・Social Networking
・Blogging
・Micro Blogging
・Photo Sharing
・Video Sharing
・Podcasts
・Message
・Chat Rooms
・RSS
・Widgets
世界のActive Internet Userが各ソーシャルメディアサービスをどの程度利用しているかを,この1年半(Sep06〜Mar08)の推移で示したのが次のグラフである。確かにビデオクリップ視聴がYouTube効果で爆発的に伸びている。ニュースサイトへのコメントがほとんど変わらないのが寂しい。それにしても,アクティブユーザーの間でのソーシャルメディアの浸透率は高い。
ソーシャルメディアの例として,ブログの調査結果を見てみよう。ブログを読むユーザーの割合は77%にも達している。驚いたのは,ブログを書いたことがあるユーザーの割合である。
韓国が71.7%,台湾が70.9%,中国が70.3%,フィリピンが65.3%とアジア勢が上位を占めた。インドが49%,日本が47.3%と,ともかくアジア各国のアクティブ・インターネットユーザーの多くはブロガーとなっている。それとは対照的に,米国が26.4%,英国が25.3%,カナダが22.5%と小さい。
各国のブロガー人口と,そのブロガー人口が16歳〜54歳の総人口に占める割合を示したのが,以下のグラフである(クリックで拡大表示)。
ブロガー人口の絶対数でも,中国が米国を追い抜いた。
China42.3m
USA:26.4m
Japan:14.1m
16歳〜54歳の総人口に占めるブロガー人口の割合は次のようになった。やはり,アジア各国が上位に並んだ。
South Korea:30.5%
Taiwan:28.7%
HongKong:21.5%
Japan:18.5%
Spain:18.2%
Netherlands:16.2%
USA:14.5%
UK:12.3%
今回のレポートでは,SNSや写真共有サイト,動画共有サイトなどでも同じような調査を実施している。おもしろい結果があちこちで見られた。たとえば,動画をアップロードするユーザーの割合は,ブラジル,フィリピン,中国,メキシコ,台湾,インドなどの意外な国で高いといったように。