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2009年08月20日

Time WarnerのTV/ニュース/映画の動画クリップ,YouTubeで配信へ

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 TimeWanerのテレビやニュース,映画などの動画コンテンツを,クリップ(ショートフォーム)形式だが,YouTubeで大々的に配信することになった。CNNのニュース, Cartoon Network and Adult Swimのアニメ,TNTのドラマ, Warner Brothers の作品などが対象となる。

 黒字化をせかされているYouTubeとしては,合法的なプロの動画を増やしていきたい。広告クライアントがアマチュア動画を敬遠し,プロの動画を望んでいるからだ。TimeWanerとしてもショートフォーム形式動画のマネタイジングの道を探っていきたいし,もちろんプロモーションのためにもYouTubeの場を利用したい。TimeWarner側に動画への広告掲載を許可するが,その広告売上を両社でシェアする。

 今回の両社の合意では,フル動画(full-length episodes)の配信は含まれていない。YouTubeは今回と同じような提携を今年3月にWalt Disneyの ABCと交わしている。ただしそのあと直ぐに,ABCはYouTubeのライバルHuluと提携し,テレビや映画のフル動画の配信はHuluで行うことにした。



◇参考
・Time Warner and YouTube Reach Agreement to Post Huge Array of Short-Form Clips From Movies, Television Shows and News Reports(プレスリリース)
・動画サイトHulu、マネタイジングではYouTubeをしのぐ勢い(メディア・パブ)



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posted by 田中善一郎 at 07:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2009年07月30日

Discovery Channel,百度と組んで中国語版サイトを開設

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 Discovery ChannelがBaidu(百度)と提携して中国版サイトdiscovery.baidu.comを開設した。

DiscoveryChannel.jpg

 Discovery Channelは世界最大のドキュメンタリー(TV)チャンネルである。手を組む相手のBaiduは中国最大手の検索エンジンである。Discoveryのコンテンツを中国市場向けにカスタマイズし,中国語に翻訳して提供していく。Webの管理はBaiduが担当する。広告収益モデルで,広告売上は両社でシェアする。

 世界170カ国,35言語で配信されているDiscoveryのTV番組は,中国でも1998年から提供されており,すでにかなりの知名度を得ている。一方のBaiduは2000年に設立された検索エンジンだが,中国国内では70%以上のシェアを誇る。強力なペアだ。

 Discoveryのように,欧米の有力メディア企業はオンライン市場のグローバル展開に動き始めている。そのグローバル展開では,やはり中国とインド市場に注力することになる。インドは英語圏としてビジネスができるので参入が容易だが,中国ではコンシューマー向けサービスとなると中国語化が欠かせないし,政府の規制にも対応しなければならないため面倒である。

 だが中国参入は不可欠となってきた。 China Internet Network Information Centerによると,中国のインターネット人口は6月末に3億3800万人に達した。世界最大のインターネット人口を擁し,さらにこれからも増え続けていくだろう。Discovery Channelが,この強大な中国市場で躍起になるのは当然かも。中国語が分からないままにサイトを覗いてみたのだが,オンデマンドで幾つかの動画が視聴できた。日本にもDiscovery(日本語版)のWebサイトがあるが,こちらは単に国内で放送しているDiscovery Channelの案内だけであった。 


◇参考
・Baidu and Discovery Form Strategic Partnership(プレスリリース)
・Discovery Partners With Baidu On Chinese Content Site(paidContent.org)
・Discovery, Baidu join for website(THR.com)


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posted by 田中善一郎 at 07:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2009年06月30日

Google,ニュースパブリシャーに動画共有を呼び掛け

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  Googleは,動画ニュースパブリシャーにYouTubeパートナープログラムへの参加を呼び掛けている(Googleの公式ブログにより)

  YouTubeパートナープログラムの参加企業がYouTubeサイトに投稿した動画は,YouTube NewsページやGoogle Newsで露出される機会が増えることになる。

YouTubeNews.jpg

 Googleはパートナー企業に対しマネタイズを支援するという。例えば動画メディアの広告枠営業とか,パートナー企業のプロモーションをGoogleが支援する。パートナー企業の成功事例として,Demand Media が紹介されている。


 こうした動きからもわかるように,Googleはニュースパブリシャーとの共存共栄を推し進めたいのだろう。赤字を垂れ流している思われるYouTubeやGoogle Newsのテコ入れする狙いもあるはずだ。

 だが,経営的に日増しに厳しくなっていく新聞社サイトが消滅したり弱体化していくと,アグリゲーターとしてのGoogle NewsやYouTubeのビジネスも行き詰りかねない。

 そこで,Googleはジャーアナリストの支援や教育に乗り出している。昨年秋には,Pulitzer Centerと一緒にProject:Report(YouTubeのチャンネル)を設立した。
 


 さらにこのほど,The YouTube Reporters' Centerを立ち上げ,調査ジャーナリズムや市民ジャーナリズムなどのためのチュートリアルビデオ・シリーズを提供し始めている。米国のトップジャーナリストが講師として登場している。たとえば,CBS News' Katie Couricがインタビューの仕方を伝授したり,Washington Post journalist Bob Woodwardが調査取材の手法を教示したり,Arianna Huffingtonが市民ジャーナリズム参加の必要性を説いたり,また New York Times columnist Nicholas Kristofの危険地域からの取材法を教えたりと,すごい講師陣による動画である。


YouTubeReportCenter.jpg


◇参考
・A Call to News Publishers: How to Share Your Video(Google News Blog)
・Helping You Report the News(YouTube Blog)
・Pulitzer Center and YouTube launch Project:Report(MBA)
・Google News,新聞ブランドから記者ブランドの流れ(メディア・パブ)
・Google News,マスメディアの動画ニュースがポップアップする(メディア・パブ)
・Google NewsがWikipediaと連係,より強力なニュースサイトへ(メディア・パブ)

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posted by 田中善一郎 at 12:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2009年05月31日

1億回視聴のバイラルビデオ,「ボイル出演」ビデオを含め25本に

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 バイラルビデオの視聴回数を測定する Visible Measures社が,5月20日現在の最新データを発表している。それによると,累計で1億回以上も再生されたバイラルビデオが25本も存在している。5月1日には1億回超えのビデオ作品が18本であったので,3週間で7本もが1億クラブに仲間入りしたことになる。以下は,25本のバイラルビデオのランキングである。

*The Visible Measures 100 Million Views Club: May 20, 2009

VideoRanking090520a.jpgVideoRanking090520b.jpg
(Source: www.visiblemeasures.com)

 Visible MeasuresはTrue Reachと称する測定法で,150以上のビデオ共有サイトに加えて,ブログやSNSなどに貼り付けられたビデオ・ウィジェット(エンベッドコード)での視聴回数も計数している。

 地球規模でのネット口コミのビデオサイトとなると,YouTubeの独壇場であろう。アッと言う間に世界的な人気者になったアマチュア歌手のSusan Boyle(スーザン・ボイル)さんのビデオもYouTubeを中心に,約1ヶ月間で2億回以上も視聴され,上のランキングでも歴代の5位に一気に上りつめている。

 1億回以上再生されたバイラルビデオの内訳は,音楽ビデオが10本,予告映画ビデオが4本,UGV(ユーザー制作ビデオ)が9本,TVショーが2本となっている。音楽や映画作品を世界市場に向けてプロモーションする場合には,やはりYouTubeが欠かせないようだ。またUGV(User Generated Video)が9本も登場しているのが注目される。だがTechCrunchで解説されているように,UGVと分類されていても完全にアマチュアが作成したビデオは少ないようである。一方で,2本が選ばれたTVシューのクリップでは,そのビデオに出演している歌手がアマチュアである。ともかくアマチュアが関与したビデオでも,1億回以上も視聴される作品が数多く出てきたということは,凄いことである。

 さて,人気絶頂のバイラルビデオとなると,4月11日の英国テレビ局ITVの(オーディション)番組“Britains Got Talent”に出演したボイルさんのビデオである。そのオーディションの決勝が土曜日の夜(日本時間の日曜早朝)に行われた。たまたまその時間帯に起きていたので,結果を見るために,“Britains Got Talent”の特設ページにアクセスしたのだが,混み合ってなかなかつながらない。やっとアクセスできると次のようなページが現れた。

BritainsGotTalent090530.jpg

 ここで,ボイルさんが優勝を逸したことを知る。しばらくして,Youtubeにも,決勝で熱唱しているビデオ(以下のビデオ)がアップされた。




 今回のビデオは,4月11日のビデオのような新鮮な驚きはなかった。最初のビデオでは,冴えない風貌や経歴に対して素晴らしい歌謡力とのギャップを浮き彫りにする演出のお陰で,思わず魅入ってしまったのだが。

 上のランキングで22位のバイラルビデオは,実は2年前の同じオーディション番組でPaul Potts(ポール・ポッツ)さんが優勝した大会でのビデオである。携帯の販売員で風貌の冴えない彼が,やはり素晴らしい歌唱力を発揮し,審査委員や観客を驚嘆させるビデオである。その後,彼は世界的なオペラ歌手になっている。ボイルさんの場合も彼と似ているが,さて彼女はどうなるやら。



 こうした英国のオーディション番組のビデオをYouTubeにアップしただけでは,1億回以上も視聴されるものではない。だが同番組から2本も1億回視聴のビデオが生まれたのも,偶然ではなさそう。審査員の一人としても出ているサイモン・コウェル(Simon Cowell)が仕掛け人である。彼はなうての音楽プロデューサーで,米Foxのオーディション番組「アメリカン・アイドル(American Idol)」の審査員も務めている。影響力のある実力者なのだ。うまく演出してあそこまでバイラル性の高いビデオに仕上げたのである。

 マスメディア対策もうまい。マスメディアの取材に疎いボイルをLarry King Live(YouTubeのビデオ)などの人気番組に登場させたり,適当にマスメディアと接触させていた。その結果,マスメディアでの露出度は際立っていた。マスメディアとYouTubeなどのソーシャルメディアとの相乗効果が発揮され,1か月で2億回以上という驚異的なビデオ視聴回数を実現したのである。


◇参考
・The Visible Measures 100 Million Views Club(Visible Measures)
・再生1億回クラブ:アマチュアはまだお呼びでない(TechCrunch Japan)





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posted by 田中善一郎 at 18:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2009年05月18日

群衆巻き込んだ人気バイラルビデオ,一緒に踊ったり歌ったり

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 みんなでダンシング,そして次はみんなでシンギング。

 携帯電話事業者T-Mobileが仕掛けたバイラルビデオがヒットを飛ばしている。最初は,英Liverpool Street Stationの駅構内で1月15日に繰り広げられたダンス大会(このビデオはこちらかこちらで)。公式のビデオだけでも,YouTubeで1200万回近くも再生されている。総計で1400万回近くが視聴され,何千ものコメントが寄せられている。

 その次の第2弾目のバイラルビデオが,同じロンドンのTrafalgar Squareで4月30日に行われたカラオケ合唱大会。1万3500人の群集が大画面スクリーンに映し出された歌詞を見ながら,BeatlesのHey JudeやBritney SpearsのBaby One More Timeを合唱する。その時のビデオの一つを,YouTubeのウィジェットから貼り付けておく。



 駅構内でのダンスも広場での合唱も,群集が加わり非常な盛り上がりを見せている。群衆の実に楽しそうな表情や振舞が印象的である。T-Mobileのキャンペーンのキャッチコピーである“Life's for sharing”に合わせて,多くの大衆を巻き込ようにうまく演出している。これらを仕掛けたのが,大手広告エージェントのSaatchi & Saatchi である。

 最初の駅構内でのビデオでは,最初に踊り始めた人たちは,オーディションで1万人から選ばれた400人であったが,たまたま出くわした通勤帰りの人たちをうまく誘い込み,群集が参加した大ダンス大会に仕上げたのだ。ビデオカメラ10台は目立たないように配置し,自然な形で一般の人が参加するようにしたようだ。要所要所にT-Mobileのケータイを持った人を置き,同社の製品をうまくアピールしている。

 このダンス大会のビデオの成功を受けて,トラファルガー広場のカラオケ大会を盛り上げるための予告ビデオを制作した。次のようなビデオをYouTubeから流した。



 この予告の効果もあって,当日のトラファルガー広場には1万3500人の人が集まった。会場では,広告会社Saatchi & Saatchiのスタッフが2000個の無線マイクを配っていた。広告会社が派遣した多くの「さくら」が頑張っていたようだ。 ポップシンガーのPinkもゲストとして参加させ,会場を盛り上げていた。広告会社の活躍ぶりは次のビデオで。




  T-MobileのYoutube channel はこちら(youtube.co.uk/lifesforsharing)で,また flickrページはこちらで。また,トラファルガー広場のカラオケ大会を2分版にまとめたビデオを,Saatchi & Saatchiが2日間で仕上げたという(2000本のマイクからの録音と20台のカメラでの録画から,2分間のビデオにまとめるのは大変である)。

 このように大衆を巻き込んだプロモーションビデオは増えそう。Sound of Music | Central Station Antwerp (Belgium)とか,Beyonce 100 Single Ladies Flash-Dance Piccadilly Circus, London for Trident Unwrapped も,この種のバイラルビデオである。




◇参考
・Pop singer Pink stars in T-Mobile's latest sing-alongs now on YouTube(tampabay.com)
・T-Mobile’s Singalong(Reuters)
・ T-Mobile karaoke aired during Britain's Got Talent(Funkadelic Advertising)
・最近はやっているバイラルビデオ(メディア・パブ)
タグ:ビデオ

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posted by 田中善一郎 at 07:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2009年05月08日

動画サイトHulu、マネタイジングではYouTubeをしのぐ勢い

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hulu.jpg

 米動画サイトのHuluが勢いづいてきた。トラフィック競争ではYouTubeが独走しているが,マネタイジング競争ではHuluが抜き出る勢いを見せ始めている。

 オンライン動画市場は,各社の調査データを見る限り,YouTubeの独り勝ちである。comScoreやNielsenが実施した最新の3月調査結果でも,以下のように米国の動画サイトの中でYouTubeがダントツの動画視聴回数を誇っている。

●comScoreの調査
OnlineVideocomScore0903.jpg

●Nielsen onlineの調査
NilsenVideoStream200903.jpg

 YouTubeの圧勝と見られていたオンライン動画市場に,Huluが割り込んできたのである。Huluは一昨年のテスト段階を経て,昨年3月から正式サービスに入ったばかりなのに,上の調査データでもわかるように,一気に3位あるいは2位に浮上してきている。それでも動画の再生回数でHuluはYouTubeの1/10以下と,量的には大差をつけられている。ところが質的なサービス展開となると,Huluは必ずしも負けていないのである。Huluは合法的な動画コンテンツに絞って提供しているからだ。そのため,収益の柱となる広告事業では優位性を発揮し始めていた。すでに米国市場においては,2008年の広告売上高でHuluとYoutubeが肩を並べているとも言われている。

  もともとHuluは,YouTube(Google)対抗で生まれたプロジェクトである。YouTubeがオンラインビデオ市場で独走態勢に入り、Googleが動画配信サービス事業の制空権を完全に掌握しようとしていたからである。そこで,伝統的な動画所有者であるメディア企業が,呉越同舟の形でHuluを立ち上げたのだ。まずNBC UniversalとNews Corp(傘下にFox)が手を組んだ。HuluではNBC UniversalやFoxの動画コンテンツだけではなく,他のTV局や映画会社のコンテンツも扱った。プロが作成したTVドラマや映画を無料(コマーシャル付き)で次々と提供することにより,人気が高まってきたのである。

  迎え撃つYouTubeは圧倒的な人気を誇りながら,トラフィックの巨大化につれてサイト運用の損失が膨ら一方となり,安定した収益モデルの確立を迫れらていた。そこで同じように,合法的な動画コンテンツの取り込みが必要となり,動画コンテンツを持つメディア企業への働きかけに力を入れ始めた。そのため動画コンテンツの取り込みを巡っても,YoutubeとHuluとの戦いが激しくなってきた。

 そうした状況下でこのほど(米時間4月30日),ウォルト・ディズニー(Walt Disney)もHuluに出資し仲間入りすることになった。DisneyやABCの動画コンテンツがHuluのメニューに数多く登場することになる。NBC UniversalとNews Corp,それにDisneyを加えた大手メディア3社はそれぞれHuluの30%近い(27%らしい)株を所有し,彼らの動画コンテンツの重要な配信チャンネルとしてHuluを利用することになった。YouTubeにとっては気がかりな流れである。

 さらにHuluはCBSにも仲間入りを働きかけている。CBSを加えれば,3大放送ネットワーク全てを陣営内に取り込むことになり,市場での主導権を握れるからだ。ただ現段階では,CBSは縛られた形でのHuluへの参加を嫌がっており,Huluを複数ある配信チャンネルの一つとして利用したいようである。CBSは現在,自前のTV.comの他に配信チャンネルとして100を超えるサイトで展開しており,配信チャンネル拡充によるリーチ拡大に力を入れているのだ。つまり,CBSとしてはコンテンツの流通に関しては制約を受けずに自由にコントロールしたいのである。

 Huluに仲間入りしたDisneyにしても同じである。ABC TVやDisney映画のコンテンツ流通をHuluに任せるわけではない。また,YouTubeやiTuneのような有力な配信チャンネルも今後とも利用したい。ストリーム形式の動画のフル配信にはHuluに,同じストリーム形式でも短い動画配信をYouTubeと,使い分けすることになるのだろう。ABC TVの人気番組“LOST”などはHuluでフルコンテンツを視聴できるようになるのでは。一方でYouTubeには,ABC TVチャンネルやESPNチャンネル(ABCのスポーツ部門)が既に開設されている。HuluもYouTubeもコマーシャル付きで無料サービスとなるが,有料のダウンロード販売にはiTuneを利用していくことになりそう。

DisneyとしてはHuluへの加入により,新しいユーザーを積極的に開拓していこうとしている。これまでABC TVの動画コンテンツのオンライン配信は,自前のサイトのABC.comで行うようにしていた。冒頭のNielsenの調査データのように,HuluとABC.comはユニーク視聴者数で競う関係にあった。でも自前サイトの配信だけでは発展性がない。ABC.comは中高年層ユーザーが多く、男性比率がかなり低い。逆にHuluは若年層ユーザーが比較的多く,男性比率が高い。つまり,ABC.comでは取り込めなかった新しいユーザー層に,Huluの配信チャンネルを介してリーチできる可能性が高いのだ。

 ここしばらくは,オンライン動画サービス市場でYouTubeとHuluの戦いが激しくなるのは間違いない。YouTube は長時間のフル配信サービスに乗り出しているし,逆にHuluは短時間の音楽ビデオ配信に力を入れようとしている。また,サービス地域を米国内に限定しているHuluは,YouTubeのようにグローバル市場への展開を目指しており,そのための布石を打ちだしている。

 オンライン動画サービスがユーザーの望む形で享受できるようになろうとしている。同じ動画コンテンツでも,コマーシャルが付くが無料で視聴できたり,有料だがコマーシャル抜きで視聴できたり,さらにはダウンロードでコンテンツを購入できたりするのだ。


◇参考
・YouTubeキラーの“Hulu”,放送からオンラインTVの流れを加速化(メディア・パブ)
・Like minds( Hulu Blog)
・Disney Climbs Aboard Video Site Hulu, Teaming Up With Other Networks Online(WSJ.com)
・Top 10 Online Video Streamers for March(Marketing Chart)
・Hulu Continues Ascent in U.S. Online Video Market, Breaking Into Top 3 Properties by Videos Viewed for First Time in March(プレスリリース)
・Hulu Loses Minutes(Light Reading)
・What Disney-Hulu Means for Apple(BusinessWeek.com)
・YouTube、膨れ上がる赤字(メディア・パブ)
・インドの映画や音楽ビデオも無料オンラインストリーミング提供へ(メディア・パブ)
タグ:Hulu ビデオ YouTube

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posted by 田中善一郎 at 12:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ

Hulu,インドの映画や音楽ビデオも無料オンラインストリーミング提供へ

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saavnIndiaMovie.jpg

 インドの映画や音楽の人気は,世界中に根付くインド人社会を中心に幅広く高まっている。そのBollywood(インド映画産業:ボンベイ版ハリウッド)ビデオの多くが,Huluで無料視聴できることになる。

 インドの映画や音楽コンテンツなどを大量に貯え世界中にデジタルチャンネルを介して配信しているSaavnが,Huluとコンテンツ提供契約を7日に結んだ。この結果,ビデオサイトHuluを介して,インドの映画や音楽ビデオがストリーミングの形で無料視聴できることになる。

 オンラインのビデオ提供サービス市場では,YouTubeとHuluの主導権争いが激しくなっている。ともに,コマーシャル付きの無料ビデオ配信サービスをベースに,広告売上に依存する事業モデルを採っている。そのため人気および質の高いビデオの提供が鍵となる。YouTubeは,巨大な集客力を武器に,メディア企業からビデオ提供を受けてきている。一方Huluは、大手メディア企業とのコンテンツ契約に力を入れている。先月末にはDisneyの事業参加を実現させ、そしてインドのエンターテイメントコンテンツの最大のデジタル配信企業Saavnと手を結んだのである。

 Huluは現在,メディア企業とのコンテンツ契約に縛られて、サービス提供を米国内に限定している。動画コンテンツ提供元のメディア企業からの信頼を得るために,合法的なビデオ配信を看板にしているからである。実は,米国外からHuluをアクセスできる裏ワザが存在したが,最近Huluはそのアクセスをブロックしている。

 だが,派手なグローバル展開を繰り広げるYouTubeに対抗していくには,Huluも米国外のグローバル市場に出なければならないはず。Saavnとの契約もその布石かも。さらに,BBCなどの海外メディア企業とも話し合いを進めているようだ。



◇参考
・SAAVN BRINGS BOLLYWOOD TO HULU(プレスリリース)
タグ:Hulu ビデオ

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posted by 田中善一郎 at 09:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2009年04月11日

ネットがTVを追い抜く日、欧州では2010年6月にも

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  インターネットがテレビ(TV)を追い抜く日が近づいてきた。

  ヨーロッパでは来年(2010年)の6月にも、接触時間でネットがTVを追い抜くという。これはMicrosoft Europeのレポート“Europe Logs On: Internet Trends of Today & Tomorrow”による予測である。このレポートのプレゼン資料が公開されていたので、この記事の後部に貼り付けておく。

  そのレポートの中で、ヨーロッパ人のインターネット接触時間が2010年には週当たり平均14.2時間となり、その時のTVの接触時間11.5時間を大幅に追い抜くというのだ。各メディアの接触時間の推移を、以下の表やグラフのように見ている。今のトレンドが続くと、2010年6月に、インターネットがTVを接触時間で抜き去ることになる。さらに見逃せないトレンドとしては、抜き去った後の2011年以降では、インターネットとTVの接触時間差が凄い勢いで開いていくことだ。TV番組も多ネット経由で視聴される場合が増えるということか。


 また、上の表で注目したいのは、2004年から2011年までの間、TVの視聴時間やラジオの聴く時間、それに新聞の読む時間は、変わらないとしていることである。だが、DVDなどで映画を楽しむ時間とか雑誌を読む時間は減っていくと見ている。もし、TVの視聴時間も下降線を辿るようだと、グラフのように今年(2009年)にもネットがTVを抜くかもしれない。


TVInternet0904Table.jpg



TVInternetIBM0904.jpg


 今回の調査の対象国は、 Italy, France, Spain, Germany, the UK, Belgium, Austria, Switzerland, Denmark, Sweden, Netherlands, Finland, Norway Turkey, Gibraltar, Cyprus and Greece
である。このヨーロッパ人全体のインターネット浸透率は約50%であるが、北欧の76%に対し南欧が45%と格差がある。


Europe Logs On
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Europe Logs On
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◇参考
・European internet consumption to overtake TV in 14 months(Brand Republic)
・メディア接触の性・年齢別の差異がますます顕著に。
〜博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所「メディア定点調査2008」
(博報堂DYメディアパートナーズ)


タグ:TV

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posted by 田中善一郎 at 11:36 | Comment(1) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2009年04月10日

Twitterブーム便乗の動画サービス“12seconds.tv”が登場

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  Twitterブームに便乗した動画サービス“12seconds.tv”が現れた。

 ユーザーが投稿した12秒のビデオが次々と流れている。無料のiPhone appを用いて、iPhoneでも視聴できる。

 140文字のテキストに限定されたTwitterに対して、12秒のビデオに限定された12seconds.tvである。今年は、スナックカルチャー全盛の年となるかも。

 また12seconds.tvには、Tweet-able Commercialとして“12omercial”を用意して、12秒コマーシャルを流せるようになっている。個人レベルの物の売買や、プロモーションもできる。今のところは無料で投稿できる。

 ザッと見た感じだが、洒落っ気のある面白いサービスである。


  12secondsTV.jpg


◇参考
・About 12seconds
タグ:twitter ビデオ

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posted by 田中善一郎 at 08:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2009年04月06日

YouTube、膨れ上がる赤字

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  YouTubeの赤字がドンドン膨れ上がっていくようだ。Credit Suisseは、同サイトの2009年の赤字が4億7000万ドルに達すると予測している(Multichannel.comの記事より)。

  GoogleのYouTubeは米国のビデオストリーム市場の41%を占めており、オンラインのビデオ配信サービスでは完全に独走している。さらに2009年に配信するビデオストリーム数が750億本と、前年比38%増の勢いで伸び続けていくという。ユニークビジター数も2009年には3億7500万人にも達する予定だ。

  このような膨大なトラフィックをさばいていくとなると、経費もうなぎ上りに増えていくはず。通信料(利用する通信帯域の経費)、コンテンツのライセンス料、膨大なビデオを貯えるためのストレージ経費、営業経費などなどが嵩み、今年は総経費7億1100万ドルを注ぎ込まなければならないとCredit Suisseは見積もっている。そのうち51%が通信費である。毎日100万ドルがかかっている計算になる。また、ライセンス料も増え続けており、総経費の36%程度も占めるようになるという。

  一方、2009年の売上は2億4000万ドルである。前年に比べ20%増えているのだが、膨れ上がる経費に比べて少なすぎる。2009年は結局、4億7000万ドル(7億1100万ドル−2億4000万ドル)の赤字を計上することになる。

  ニコニコ動画もしばらく赤字覚悟で展開するようだが、ともかくビデオ共有/配信サービスはとんでもない金喰い虫であることは間違いない。


◇参考
・YouTube May Lose $470 Million In 2009: Analysts(Multichannel.com)

タグ:YouTube ビデオ

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2009年03月20日

米国の歴史に関する膨大なビデオ、無料公開に

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  気前の良いサービスが始まった。“American History in Video”と称するビデオアーカイブを Alexander Street Press が構築中であるが、嬉しいことにそのビデオが無料で利用できるのだ。さらにブログやWebページなどに貼り付けることもできる。

 昔のニュースビデオや、The History Channelの歴史番組などが含まれており、約5000タイトルのビデオ(2000時間相当のビデオ)からなるビデオアーカイブである。学生や研究者が歴史上のイベントを調べるのに役立ちそう。現在、1260タイトル(420時間)のビデオが一般に無料公開されている。公開ビデオの一覧表はBrowse Videosで見ることができる。

 その中から1942年のニュースVideo: United News, Release 19, 1942を以下に貼り付けておく。





◇参考
・Welcome to American History in Video(Alexander Street Press)
・Another Free Database Trial: American History in Video(Resource Shelf)
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2009年02月23日

人気のビデオ検索エンジン“OVGuide”,1月に単月黒字化

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OVGuide.jpg


 ビデオ検索エンジンOVGuide(Online Video Guide)はお薦めである。久々に使ってみたが、個人的には気に入っている。

 YouTubeやHuluをはじめ、編集者が選んだビデオサイトが検索対象になっている。現在は3,632サイトが検索対象である。またMovie、TV、Anime、Games、Sports、Music/Ent、Lifestyle、Foof/Wine、Health/Fit、Sci/Tech、Travel、Video Blogなどのカテゴリー別に、人気のあるビデオが探せるようになっている。カテゴリー別に編集者がビデオサイトを選別しているので、ワンストップで希望のビデオを探すことができる。

 また、まもなく始まる2009 Academy Awardsのライブビデオが、OVGuideサイトでも閲覧できる。

 OVGuide.comは2009年1月に初めて単月黒字化になったという。同時に、Baroda Ventures LLCから500万ドルの資金調達を受けることになった。同サイトの2009年1月のユニークユーザー数は1200万人で、月間ページビューは1億5000万、検索回数は3600万である。


◇参考
・Baroda Ventures Invests $5 Million Into OVGuide.com(msnbc)
タグ:ビデオ Hulu

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2009年02月18日

中央アジアのカザフスタンでも動画投稿サイトが競演

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 非営利の国際ニュースサイト“Global Voices”を閲覧していると、中央アジアのカザフスタンからのニュースが投稿されていた。そのニュースで紹介されていた二つの動画投稿(共有)サイトが気になったので、視聴してみた。

 最初の動画投稿サイトは2月14日に開設したばかりのKaztube.kz。開設を同国の首相が祝ったように、国家プロジェクトのようだ。テレビ画像などプロの作品が中心。アニメ(こちら)に日本の作品があった。

Kaztube.jpg


 もう一つの動画投稿サイトは、以前からサービスを提供しているkiwi.kzである。YouTubeそっくりの作りで、一般ユーザーからの投稿動画が多そう。違法コピーもありそうだし、かなり危なっかしい動画も見かける。カザフ語版とロシア語版の他に,以下の英語版も用意されている。

Kazakh video.jpg

 日本のアニメ(http://kiwi.kz/watch/v70mb24xgvxy)も多いし、昔のScott MacKenzie(http://kiwi.kz/watch/ze8wrhe4p62j)から最近のShakira (http://kiwi.kz/watch/i1xskzjx7mvy)までと、海外の音楽ビデオも多い。中には、ソ連時代の公開処刑の恐ろしい動画も。

 恐ろしい動画といえば、次の作品も・・・。




◇参考
・Kazakhstan: A Kazakh Video Tube(Global Voices)
タグ:YouTube

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2009年02月03日

スーパーボウルのTVコマーシャル,泣ける作品から笑える作品まで

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 NFLスーパーボウルでは、ゲームとともにテレビコマーシャルも話題になる。Superbowl 2009のTVCMをまとめて掲載しているCastTVをAdRANTsが紹介していたので、覗いてみた。

 気合いの入った力作揃いであるが、つぎの3作品を貼っておく

ペプシーのTVCM。楽しめる。
(Pepsi: Refresh Anthem)



バドワイザーのTVCM。泣ける。
(Budweiser: Clydesdale Circus )




スナック菓子「ドリトス」のTVCM。笑える。
(Doritos: Power of the Crunch)





追記:
AdAgeの“Watch All the Super Bowl Spots”でも,スーパーボウル向けのTVCMを視聴できる。
 


◇参考
・See (Almost) All the Super Bowl Commercials Before They Air(AdRANTs)
タグ:TV

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posted by 田中善一郎 at 07:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2009年01月25日

オバマ大統領就任演説ビデオ,YouTubeがHD(高画質)で提供

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オバマ大統領の就任演説ビデオが,YouTubeでHD(高画質)で視聴できる。以下のようにブログなどに貼り付けた動画に対しても,高画質や英語字幕表示を指示できる。

ObamaYouTubeHD.jpg

 そのビデオを貼り付けておく。



◇参考
・YouTube officially enables HQ in embedded videos(CrunchGear)

タグ:ビデオ YouTube

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posted by 田中善一郎 at 00:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2009年01月09日

テレビからSNSを享受,米MySpaceがウィジェットを開発中

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 MySpaceがTVセット向けのウィジェットを近く提供する。開催中のCES( Consumer Electronics Show)で 同社が,Toshiba, YahooそしてIntel と組んで,TVでSNSを享受できるためのウィジェットを開発中であることを明らかにした。

 “MySpace Widget for TV” により,TVからMySpaceサイトと対話形式でやりとりができるようになる。MySpaceウィジェットチャンネルを組み込んだテレビセットが,Toshibaをはじめとするメーカーから出荷される予定である。

 ところで,TVセットに向かってSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を欲するユーザーがどれくらいいるのだろうか。中高年ユーザー層の厚い米市場では,受け入れられるかもしれないが。



◇参考
・MySpace brings online social networking to TV sets (AFP)(Yahoo! Tech News)
・MySpace Partnerships Bring Web Site to TV Set(TVWeek)
タグ:TV SNS

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posted by 田中善一郎 at 08:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2008年11月11日

「荒野の七人」などの完全版映画,YouTubeで無料鑑賞する時代へ

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MagnificentSeven.jpg


 YouTubeで「荒野の七人(The Magnificent Seven)」や「バレットムンク(Bulletproof Monk)」などの長編映画を見ることができるようになる。しかも完全版を無料でだ。

 MGM(Metro-Goldwyn-Mayer)は同社所蔵の映画やTV番組をノーカットで,YouTubeから提供することを発表した。いよいよYouTubeで長編映画を鑑賞する段階に入ってきたのか。

 MGMのテレビ番組“American Gladiators,”なども無料で視聴できるようになる。映画もテレビ番組も広告を一緒に流す予定。“American Gladiators”のチャンネルでは,以下のように多くのエピソードが完全版(約45分)でアップされていた。昔この番組をどこかで見た覚えがあるなぁ。「この動画はお住まいの地域ではご利用できません」と表示されているのだが,いまのところ日本でも全部視聴できるようだ。ただし、この動画をブログに埋め込み(貼り付け)を試みたのだが,うまくいかなかった。

AmericanGladiatorSeason1Episode13.jpg

 YouTubeにアップされている動画は原則として,10分以内のビデオクリップであった。一方でNBC UniversalとNews Corpが立ち上げたHuluは,合法的な映画やTV番組をノンカットで提供し,YouTubeキラーとして頭角を現してきた。米国市場の広告売上では肩を並べる存在になってきている。

 そこで,YouTubeもノンカットの合法的動画をどんどん提供していきたい。最近では,CBSと提携し「ビバリーヒルズ高校白書」などの懐かしい番組を提供し始めている。

 だが,映画やTV番組を所有するメディア会社は,すべてのコンテンツ配信をYouTubeに依存するのにまだ躊躇しているようだ。彼らのコンテンツが許可なく勝手にアップされていることが多いため,ハリウッドのYouTube不信は根深い。だが,YouTubeを無視していてはビジネス機会を失いかねないのだ。NYTimes.comの以下の記事では,MGMはYouTubeにも少しずつ作品を提供するという姿勢を見せているものの,Huluの方に信頼を寄せているという。
Jim Packer, MGM’s co-president, said his studio was starting slowly on YouTube, with action films intended to promote the studio’s video-on-demand channel, Impact, on Comcast. He said other MGM material would move to YouTube soon, including films like “Moonstruck” that appeal to women. But he did not see putting a significant part of the studio’s catalog on the site anytime soon.

“We will have some long-form videos up on YouTube, but I don’t think that’s the platform to have 30 or 40 movies up at once,” Mr. Packer said. “I feel much more comfortable doing that on a site like Hulu.”
 動画所有のメディア会社は,配信チャンネルとしてYoutubeとHuluを使い分けしようとしている。上の例でも分かるように,YouTubeに提供される映画やテレビ番組は,かなり昔の動画コンテンツに限定させたいようだ。一方Huluには,特にテレビ番組については,最新のコンテンツを提供している。 

 問題は著作権侵害ビデオに対するYouTubeの対応である。Huluだけに合法的にアップしているコンテンツが,一般ユーザーによってYouTubeに投稿されることもあろう。「ビデオID」を利用して違法ビデオを削除する仕組みを利用するようだが,一般ユーザーが勝手に投稿したビデオに対しても広告を付けて収益化を図る流れも出始めている。

 同一コンテンツの配信でも,YouTubeとHuluでは視聴者数で桁違いの差が出てくるはず。コンテンツ所有のメディア会社に毛嫌いされていようが,ユーザーに好かれている限りにおいては,メディア会社もYouTube経由で提供するコンテンツのメニューを増やしていくことになりそう。
 


◇参考
・MGM PARTNERS WITH YOUTUBE TO LAUNCH SEVERAL NEW CHANNELS FEATURING FAN-FAVORITE CLIPS, FULL-LENGTH TV SHOWS AND FILMS(MGM,プレスリリース)
・MGM to Post Full Films on YouTube(NYTimes.com)
・YouTubeキラーの“Hulu”,放送からオンラインTVの流れを加速化(メディア・パブ)
タグ:YouTube ビデオ Hulu

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posted by 田中善一郎 at 09:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2008年11月01日

YouTubeキラーの“Hulu”,放送からオンラインTVの流れを加速化

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Hulu081030.JPG


 ビデオ配信サイトのHuluが,TV番組のオンラインシフトを本格化させている。

 HuluはNBC UniversalとNews Corpのジョイントベンチャーで,昨年10月末のβ版テストから満一年を迎えた(正式サービスは今年3月から米国で開始)。伝統的なコンテンツ提供者が団結して運用する配信サイトは挫折しがちであるが,予想に反して順調に滑り出しているのだ。

 Nielsen Onlineが発表したVideoCensusデータによると,今年9月のHuluは月間ビデオストリーム総計が1億4226万で,米国のビデオ配信サイトの中で7位に浮上してきた。今年4月の6323万ストリーム(10位)から急成長している。ユニークユーザー数も4月の243万人から9月の632万人へと急増した。

 なぜ順調に離陸しているのだろうか。まず広告が付くが,1000シーリズ以上のテレビ番組や,400本以上の映画を無料視聴できることが大きい。多くのTVシリーズの最新エピソードが提供されている。Huluユーザーへのアンケート調査によると,回答者の38%は放送で見なかったTV番組をオンラインで視聴するようになったという。また28%は放送で見過ごした番組をHuluで視聴している。19%はTV放送では見れなくなった番組を視聴している。オンラインTVとしてのHuluが浸透してきているようだ。

 それとHulu人気の要因として注目されているのは,コマーシャル時間が短いことだ。米国のTV放送の特徴はコマーシャル時間が長いことで,このことでうんざりしているユーザーが多い。Huluの短いコマーシャル時間は,放送からHuluへのユーザーシフトを促している。例えばFoxの“Family Guy”やNBCの“The Office”のような30分コメディーはHuluでも人気が高い番組だが,コマーシャル時間がTVでは8分に対し,Huluでは2分と短いのだ。これじゃ,多くの視聴者がオンラインのHuluに流れそう。

 コマーシャル時間を短縮することによって,Huluの広告のクリック率もアップし,広告売上も順調に増えているという。お陰で広告主数も,サービス当初の10社から,現在は100社を超えている。広告枠もほぼ完売の盛況で,広告在庫が足りない。HuluコンテンツをTv.comなどの他サイトに配信したり,人気番組の配信を増やして対応している。9月13日の米副大統領候補Sarah Palin登場の番組は,HuluとNBC.comを合わせて1430万回も視聴されたという。この結果LiveRailのレポート“State of the Industry”によると,最初の1年間で広告売上が9000万ドルに達する。健闘している。

 だがビデオ配信市場は,YouTubeという大物がすでに制覇しているのではなかろうか。Hulu誕生の背景には,ビデオ市場をGoogle(YouTube)が事実上支配しつつあったからだ。そこで,YouTubeキラーとして,伝統メディアのNBC UniversalとNews Corpが結束し立ち上がった。でも,時は遅すぎたの声が。

 Nielsenの2008年9月データによると、ビデオストリーム総計/ユニークユーザー数は,Huluの1億4226万ストリーム/632万人に対し,YouTubeは何と53億5439万ストリーム/8188万人である。あまりにも差がありすぎる。勝負にならない・・・。

 ところがどっこいである。いくら桁違いの人気があっても,商売がうまくいっているとは限らない。LiveRailのレポートは,YouTubeの今年の広告売上を2億ドルと予測している。このうち米国市場は半分と見て,米国の広告売上は約1億ドルとしている。米国限定で始まったHuluの広告売上を9000万ドルと推定している。つまり,米市場ではHuluはYouTubeと肩を並べたことになるのだ。

 なぜこうなるのか。Huluは合法的な動画コンテンツだけを提供しているのに対し,YouTubeは(User Generated Video)も含んだ動画投稿サイトで,非合法のコンテンツも混じったりしている。安心できる広告媒体としては,Huluになびく広告主が増えているのも当然かも。Huluは在庫が少ないこともあるが,広告枠はほぼ100%の完売という。一方,YouTubeは広告枠の3%しか売れていなくて,ほとんどが売れ残っている。

 Huluはオンラインビデオ広告市場で軌道に乗り始めた。商売では明らかにYouTubeキラーになろうとしている。そして,広告やユーザーの放送からオンラインへのシフトも,いよいよ本格化してきた。

 

◇参考
・YouTubeキラーの“Hulu”,出足の評判は上々(メディア・パブ)
・インターネットTVの本流は,YouTubeかHuluか(メディア・パブ)
・Hulu Surpassed 140M Streams in Sept.(NewTeeVee)
・Advertising - Web Site’s Formula for Success - TV Content With Fewer Ads (NYTimes.com)
・Web Site’s Formula for Success: TV Content With Fewer Ads(NYTimes.com)
・Hulu: Ugly Duckling No More(ReadWriteWeb)
・State of the Industry(LiveRail)
タグ:ビデオ YouTube Hulu

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posted by 田中善一郎 at 10:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2008年09月27日

オンラインビデオの視聴世帯数,米国で年間倍増に

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 インターネットでビデオを視聴する家庭が米国で急増している。ABI Research の調査によると,1年前の32%から現在は63%の世帯が,オンラインでストリーミングビデオが視聴しているという。一気に本格離陸したようだ。

 ブロードバンドが普及してきたの合わせて,ポータルやソーシャルネットワークが競って広告付きオンデマンドビデオを提供し始めている。北京オリンピックもオンラインで視聴する人が多かった。また若年層を中心に,長時間のTV番組や映画が視聴され始めたのも目立った動きである。25歳以下の若者の約半数が,また25〜29歳の人たちの53%が,少なくとも月に1回は長時間ビデオをオンラインで視聴している。さらに,これまでオンラインでTV番組や映画を視聴することがありえなかった65歳以上の高齢者でも,何と4分の3近くもがオンラインでビデオを視聴するようになった。

 以上のABI Research の調査は,985世帯のオンライン家庭を対象に2008年第2四半期に実施した。


◇参考
・Number of US Online Households Watching Broadband Video Doubled In One Year(ABI Research)
タグ:ビデオ

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posted by 田中善一郎 at 11:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
2008年09月14日

ペイリン副大統領候補のABCニュースインタビュー,YouTubeがABCNews.comに圧勝

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 この10日間,米大統領選挙での注目の的は,オバマやマケインでなくて,共和党の副大統領候補に指名されたサラ・ペイリン(Sarah Palin)アラスカ州知事であった。

 ペイリン,オバマ,マケインの各氏が登場するビデオが,この1週間でどれくらいWebで視聴されたかを,ビデオサイト解析のTubeMogulがはじき出している。その結果は次の通り。

ペイリン: 3800万回
オバマ: 2900万回
マケイン: 2500万回

 ペイリン効果がはっきりと現れた。これまでWeb上ではオバマが優勢であったのだが。ペイリン効果がどこまで持続するかが,選挙戦の行方を左右しそう。

 そのペイリンとの単独インタビューを,ネットワークTVで最初に行ったのがABCのWorld News with Charles Gibson( チャールズ・ギブソン)。このインタビュービデオをABCNews.com で視聴できるのは当然だが,YouTubeにも投稿されていた。Silicon Alley Insiderによると、このビデオクリップをABCNews.com で60万人が視聴したのに対し,YouTubeでの視聴者数は282万人であったという。やっぱりYouTubeから視聴する人が圧倒的に多い。




◇参考
・YouTube Thanks ABC For A Great Sarah Palin Interview(Silicon Alley Insider)
・Sarah Palin Defends Abortion Stance, Explains 'Bridge to Nowhere' Support(ABC News)
・Full Excerpts: Charlie Gibson Interviews GOP Vice Presidential Candidate Sarah Palin(ABC News)・・インタビューの全文テキスト

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posted by 田中善一郎 at 23:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | TV  ビデオ ラジオ
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