2012年05月10日

Webトラフィック、モバイルがPCを追い抜く国が続々と出現へ

 ケータイに加えてスマートフォンの爆発的な普及に伴い、世界のモバイルWebトラフィックが急増している。スマートフォンなどモバイル端末からのインターネットアクセスの割合が増え続けているのだ。

 全Webトラフィックのうちモバイル端末からの割合がどれくらい占めるのだろうか。その調査結果をPingdomが発表したので、以下に紹介する。まず世界の州別に示したモバイルのWebトラフィックの割合である。

MobileInternet2012a.jpg

 2012年5月時点(現在)ではアジアがトップで、全Webトラフィックのうち約18%がモバイルトラフィックである。2位は約15%のアフリカである。逆に先進国の欧米では、モバイルトラフィックの割合が低い。以下の表は、この2年間における、モバイルトラフィックの割合の変化である。アジアは2年間でモバイルトラフィックの割合が3倍近くも増えている。逆にPC(パソコン)からのトラフィックの割合が減っていることになる。

MobileInternet2011b.jpg

 先進国もスマートフォンやタブレットの普及に伴いインターネット利用のモバイルシフトが始まっているのに、どうして開発途上国が先行しているのだろうか。これは別に意外なことではない。欧米の先進国ではPCインターネットが幅広く定着していたのに対し、開発途上国ではPCインターネットが欧米のように普及する前に安価なケータイが現れたからである。つまりPCインターネット時代が大きく開花しないで、事実上バイパスする形で、モバイルインターネット時代を迎えようとしているのである。

 開発途上国で新しいサービスが、先進国より先行して浸透する例が増えてきている。例えば、移動体の電話サービスもそうであった。固定電話の施設経費が嵩むため開発途上国で電話があまり普及しなかったのだが、移動体通信施設が比較的安価に短期間で整備できるようになると、一気に携帯電話サービスが開発途上国で普及した。今では、ケータイなどのモバイル端末の普及率で、欧米の先進国を追い抜いた開発途上国は少なくない。

 こういう背景もあって、Webアクセスでモバイルトラフィックの割合が高い国は、以下のように開発途上国が占めている。
48.87% – India
47.09% – Zambia
44.95% – Sudan
42.36% – Uzbekistan
40.65% – Nigeria
37.95% – Zimbabwe
35.46% – Laos
34.66% – Brunei
31.79% – Ethiopia
29.2% – Kenya

 ちなみに、米国は8.61%で英国は10.71%である。(モバイルアプリのトラフィックを加えているかどうかは不明)。

 トップのインドにおけるモバイルトラフィックの割合の推移は、次のようになる(StatCounterより)。近く、モバイルトラフィックがPC(図ではデスクトップ)トラフィックを追い抜くことになろう。

IndiaMobileDesktopInternet2012.jpg

お詫び:昨日、書いている途中で急用ができ中断するとき、操作ミスで誤って投稿していたようです。、

◇参考
Mobile share of web traffic in Asia has tripled since 2010(Pingdom Blog)
Mobile Internet to exceed PC access in India by the end of this year(The Next Web)
Visualizing mobile phone penetration per country 1991-2010 (animation)(Pingdom Blog)
posted by 田中善一郎 at 10:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2012年04月28日

モバイルアプリの消費時間、ソーシャルネットワーク分野が急増

 モバイルアプリの一日当たり消費時間が、今年第1四半期で77分と1年前の68分から大幅に増えてきている。これはFlurryの調査結果である。カテゴリー別の消費時間で見ると、ゲームとソーシャルネットワーキングが共に24分でトップに並んでいる。この1年間でソーシャルネットワーキングの消費時間が昨年の15分から今年は24分と、急伸しているのが目に付く。

DailySPAppsConsumtionMinutes.jpg
(2011年Q1の調査では世界の約300億アプリケーションセッションをトラッキング。
 2012年Q1の調査では世界の約1100億アプリケーションセッションをトラッキング。)

 この調査におけるソーシャルネットワーキングのカテゴリーには、フェイスブックなどのSNSサービスのほかにInstagram、Viddyのような人気急上昇のアプリケーションも含んでいる。ゲームにはRovioのAngry Birds や Zyngaのソーシャルゲームなどが含まれている。

 今回のモバイルアプリの調査ではスマートフォンだけが対象で、ゲームアプリが多く提供されているタブレットは外されている。

◇参考
Social Networking Ends Games 40 Month Mobile Reign(Flurry Blog)
Mobile App Usage Further Dominates Web, Spurred by Facebook(Flurry Blog)
posted by 田中善一郎 at 14:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年12月18日

世界のモバイルインターネット、助走期から本格離陸期へ

 旬のメディアと言えばモバイルインターネット。スマートフォンやタブレットの新しいモバイルデバイスが出現し、ブームの真っただ中にある。十分に盛り上がっているモバイルインターネットであるが、世界的にはまだ助走期の段階のようだ。本格的に離陸するのはこれからとのことだ。

 これから数年に渡って確実に飛躍する市場であり、その中でも注目されているのが、いわゆるモバイル・クラウド・コンピューティング分野である。既にコンシューマー向けや企業向けのクラウド対応モバイルアプリが目立ってきているが、今後爆発的に成長していくという。英Visiongainの調査によると、2016年のモバイル・クラウド・サービスの売上高が450億ドルに達すると予測している。2011年から2016年まで55.18%もの高いCAGR(年平均成長率)で伸び続けると見ている。

 一つ前の記事で取り上げたOfcom(Office of Communications:英国情報通信庁)のレポート「International Communications Market Report 2011」でも、インターネットメディアの中からモバイルインターネットだけを抜き出して動向をまとめていたので、紹介しておこう。

 モバイルインターネット広告費の国別の推移(2006〜2010)は次のようになる。まだ広告メディアとしては萌芽期であるものの着実に成長し始めている。その中で、3Gで先行した日本のモバイル広告費がずば抜けて高い。グラフの目盛が日本と米国だけは一桁大きい値になっているが、そこでも日本は米国の2倍以上のモバイル広告費を達成している。日本ではモバイル広告費はインタネット広告費の約15%も占めているが、グローバルではモバイルインターネット広告が全インタネット広告費に占める割合はまだ2%前後と極めて少ない。世界的にみれば大半の国で、モバイルインターネット市場はまだ小規模なのだ。

Ofcom201112h.jpg

 日本のモバイル広告費が飛び抜けているのは、以下のように3Gケータイで先行していたからだ。

Ofcom201112j.jpg

 でも、スマートフォンやタブレットの急速な普及とモバイルアプリの拡充により、以下のシスコの予想のように、先進国のモバイルデータ・トラフィックがもの凄い勢いで急増していくのは間違いない。

OfcomMobileDataTraffic2011.jpg


 そのためモバイル通信インフラも、より高速の3Gやさらに4G(LTEなど)へと急ピッチで整備が進みつつある。

Ofcom3G4G.jpg


 ともかく、これから個人や企業のコンピューティング環境がクラウド/モバイル化し、大きく様変わりしていくのだろう。まだ助走期の段階なのに、すでにPC によるオンライン利用時間が日米英仏で減る兆候が見られる。スマートフォン利用に侵食されてきているのだろう。

Ofcom201112i.jpg



◇参考
International Communications Market Report 2011(Ofcom)
米ネット広告は完全復活だが成長率は今がピーク、モバイル広告の割合は意外と低い(メディア・パブ)
MOBILE CLOUD COMPUTING INDUSTRY OUTLOOK REPORT: 2011-2016(visiongain)

posted by 田中善一郎 at 23:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年11月25日

モバイル通信が爆発的に普及するアフリカ大陸

 アフリカでもモバイル通信が凄い勢いで普及している。モバイル加入者数が2011年9月に6億2000万人に達した。アフリカ大陸の人口が約10億人だから、6割以上の人がモバイル通信に加入していることになる。かつて有線の電話時代には、電話を一度も掛けたことのない人が過半数を占めると言われるほど、電話後進国であったアフリカだが、2015年ころには大半の人が携帯電話を享受できることになろうとしているのだ。

 このようなアフリカのモバイル通信の現況をまとめたレポート「African Mobile Observatory」(58ページ、無料)を、モバイル・オペレーターの業界組織である GSM Association(GSMA)がcomScore と組んで、このほど発行した。その中の、一部を紹介する。

 最初は、国別のモバイル加入者数である。アフリカには51か国が存在するが、ここでは上位25ヵ国(A25)のそれぞれの加入者数を掲げている。現在、アフリカ全体では加入者数が6億2000万人を超えたが、2012年末には7億3500万人に達すると予測している。

AfricaMobileSub2011.jpg

 モバイル加入者数の推移を、世界の州別に示したのが以下のグラフである。2007年から2011年までのCAGR(年平均成長率)が22%と世界でトップの勢いを示し、このほど加入者数で南米を追い抜き、アジアに次いで2番目に多い州になった(欧州は西欧と東欧に分けている)。2011年から2015年までのCAGRも、10%と世界トップの成長率を続けると見られている。

AfricaGlobalMobileConnections.jpg


 現在は電話利用(低料金のプリペイド)とSMSサービスの利用がほとんどで、データ通信の利用は非常に少ない。だが、以下のグラフのように、モバイルブロードバンドが一気に立ち上がろうとしており、アフリカでもデータ通信の利用が本格化しそうだ。

AfricaMobile3GBroadband.jpg

◇参考
Africa Mobile Market Now Second Only to Asia(ReadWriteMobile)
African Mobile Observatory(GSMA)
posted by 田中善一郎 at 07:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年10月26日

タブレットユーザーはニュースがお好き

 タブレットユーザーは、文字のニュースコンテンツを読むのが好きなようだ。Pew(Pew Research Center)の調査によると、現在のタブレット保有者は、一般の人よりもニュースコンテンツに接する時間が長く、タブレットを購入後にはさらに以前に比べニュースをより多く読む傾向が見られるという。新聞社や雑誌社にとって朗報かも。

 iPadが登場して18ヶ月が経ち、タブレット市場も順調に立ち上がってきている。Gartnerの予測によると、世界のタブレットの出荷台数は急成長を続け、2015年には年間3億台を突破する。

TabletForecast.jpg


 タブレットの先進国の米国では、今回のPewの調査によると、成人の11%がタブレットを保有している。まだ少数派であるが、今後、急激にユーザーが増えていくのは間違いなさそう。現在、保有者の77%が毎日、タブレットを利用している。また保有者の53%がタブレットで毎日ニュースコンテンツに接しているという。つまり、米成人の約5.5%がタブレットでニュースを毎日閲読していることになる。

TabletPew201110a.jpg


 米国成人のタブレットユーザーは平均して毎日1時間35分間もタブレットに向かっているという。夜にソファーやベッドでゆっくりと利用している人が多そうだが、それにしても1時間35分間は長いな。ニュースを入手することに加えて、タブレットユーザーは以下のようなアプリケーションを利用している。

TabletPew201110b.jpg


 またタブレットユーザーは一般の人に比べ、ニュースを日常的にフォローしている人が多く、ニュースを観るよりも閲読したり聴取することが好きな人が多い。

TabletPew201110c.jpg


 さらに興味深いのは、タブレットを保有して以来、以前にましてニュースを楽しむようになり、ニュースに接する時間が長くなったという。

TabletPew201110d.jpg

 またタブレットのニュースユーザーの多くは、本もプリント版よりも電子版で読みたいようだ。

TabletPew201110e.jpg


◇参考
THE TABLET REVOLUTION:HOW PEOPLE USE TABLETS AND WHAT IT MEANS FOR THE FUTURE OF NEWS(Journalism.org)
The Tablet Revolution–A PEJ Infographic(Journalism.org)
iPad to dominate tablet sales until 2015 as growth explodes, says Gartner(Guardian)
posted by 田中善一郎 at 12:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年10月05日

アップルのニューススタンド、有力タイトルも加わり10月12日に開設

 Appleのニューススタンド(Newsstand)が10月12日に正式に開設することになった。12日にリリースされるiOS5にNewsstand機能が組み込まれることになる。


AppleNwesstand20111004.jpg
 
 Newsstandは、iPhoneやiPad向けの雑誌アプリや新聞アプリを収めるフォルダであり、そこから雑誌アプリや新聞アプリを購入するApp Storeにすぐにアクセスできる。

 このNewsstandサービスを利用し、App Storeでアプリ販売に乗り出す雑誌や新聞の主要タイトルとして、
The New York Times,
GQ,
Wired,
The New Yorker,
Popular Science,
National Geographic ,
Esquire
が名乗り出ている。

 Newsstand利用で契約したグローバルなパブリッシャーとしては、 
Hearst Corporation,
Conde Nast,
Disney Worldwide,
Europe’s Sanoma Media,
the New York Times Corp
など。 

 App Storeで販売した雑誌アプリや新聞アプリの売上の30%を手数料として徴収するという、Appleがパブリッシャーに要求している販売ルールは今のところ変わっていないようだ。

 今回のNewsstandで気になる機能としては、雑誌アプリや新聞アプリを定期購読した場合、新号が出るたびにバックグラウンドでダウンロードできるようになることがある。もちろんユーザーはiPhoneやiPadをインターネット接続状態にしておく必要がある。でもバッテリーが切れたらダメだが。また無料の雑誌アプリや新聞アプリもNewsstandサービスを享受できるようだ。バックグランドでのダウンロードサービスも受けられるはず。

 タブレット向けの電子雑誌や電子新聞の市場では、アマゾンのキンドル・ファイア+キンドルストアが対抗馬として浮上しようとしている。だが当面のビジネスとしてはiPad向けを外せないので、アップルのiPad+App Store(Newsstand)に頼っていくか、そうでなければ英FTのようにApp Storeから飛び出たり、フランスの新聞社・雑誌社連合のように独自のデジタルキオスクの設立を画策しなければならない。 


◇参考
Apple announces NewsStand partners: New York Times, Wired, National Geographic and more(TNW)
Apple introduces Newsstand today at iPhone event, available Oct. 12 with iOS 5(Poynter.)
New Version of iOS Includes Notification Center, iMessage, Newsstand, Twitter Integration Among 200 New Features(プレスリリース)
FT launches advertiser-funded app for luxury title(MediaWeek)
French papers team up to break Apple stranglehold(Reuters)
posted by 田中善一郎 at 11:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年09月17日

メディア接触時間、モバイルがプリントを追い抜く

 モバイルメディアがプリントメディアを抜き去ったようだ。eMarketerの調査によると昨年(2010年)、米成人のメディア接触時間で、モバイルがプリントに追いついた。

 下図は、米国の成人が1日当たりメディアと接する総時間の推移と、主要なメディアの接触時間のシェアを示している。テレビを視聴しながらインターネットを利用した場合、その時間をTV接触時間にもインターネット接触時間にも加算している。

TimeSpentMedia20082010a.JPG

 ここで、新聞と雑誌はプリントメディアだけを対象にしているようだ。新聞と雑誌、それにモバイルの接触時間のシェア推移は次のようになる。

・Newspapers(新聞)
4.0%(2008年)→3.4%(09年)→3.0%(10年)

・Magazines(雑誌)
6.0%(2008年)→5.1%(09年)→4.5%(10年)

・Mobile(モバイル)
5.0%(2008年)→6.0%(09年)→7.5%(10年)


 新聞と雑誌を加えたプリントメディアの接触時間シェアは、2008年で10%となっておりモバイルの2倍もあった。それが2010年には7.5%に減り、モバイルと同じシェアになった。1日当たりの接触時間で見ると、2010年にはプリントメディア(新聞+雑誌)もモバイルメディアも50分ということになる。新聞や雑誌のコンテンツは今後もインターネットやモバイルにシフトしていくはずで、プリントメディアの接触時間シェアはさらに減っていくことになろう。

 また、こうしたメディアの分類が今後、あまり意味をなさなくなるのでは。モバイルやインターネット、それにTVのメディア間の壁が崩れてきているからだ。インターネットTVが立ち上がってきているし、また日本ではモバイルメディアは事実上のインターネットメディアになってきている。 


◇参考
Quick Stat: Time Spent on Mobile Equals That of Print(eMarketer)
@ pcAds: Mobile Ad Spend Is Exploding But It’s Not The Silver Bullet(paidContent.org)
posted by 田中善一郎 at 00:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年09月08日

アンドロイド搭載スマートフォンメーカー、グーグル保有特許を武器にアップルに再反撃を

 アップル(iOS)とグーグル(Android陣営)との戦いが激しさを増している。

 スマートフォン(SF)のブランド別出荷台数で今年、アップルがトップに躍り出るようだ。Digitimesの調査によると、2011年の世界のスマートフォン出荷台数は、前年比60%増の4億6200万台に達する。2010年までトップを走っていたノキアが失速し前年比25.8%減の7440万台に下落するのに対し、アップルが前年比81.9%増の8640万台に上昇すると予測している。今年アップルが世界一のスマートフォンメーカーにのし上がるのは、ほぼ間違いない。

 だがアップルは安泰としておれない。サムソンと台湾HTCが、アップル以上の成長率で出荷台数を急増させているからだ。サムソンは同191.3%増の6700万台を、HTCは同106.2%増の4970万台を出荷すると予測されている。両社はアンドロイド陣営の有力メーカーで、グーグルのアンドロイド搭載のスマートフォンを売っている。

SmartphoneDigitimes201109.jpg
(ソース:Digitaimes)

 iOS搭載スマートフォンブランドはアップルだけなのに対し、アンドロイド陣営にはサムソンやHTCを先頭に多くのスマートフォンメーカーが参入している。このためブランド別でトップのアップルのiOSスマートフォン(SF)も、OS別SFの集荷台数で比較すると後発のアンドロイドSFに追い抜かれてきている。

 comScoreの調査でも、米国におけるOS別スマートフォンの加入者数シェアで、グーグル(アンドロイド)が上昇し続け、アップル(iOS)との差を拡大させている。

SmartphoneSubUSMarketComScore201107.jpg
(ソース:comScore)

 iOSモバイルデバイス(iPhone,iPad)でスマートフォンやタブレット市場で先行してきたアップルは、App Store (iTunes)をプラットフォームとしてモバイル向けアプリの流通でも圧倒的な優位性を誇示してきた。アップルは、音楽だけではなくて、新聞、雑誌、書籍、テレビ、映画など全てのメディアコンテンツの流通をコントロールしていこうとしている。その野心を達成するには、優位にある期間を先延びさせたい。

 そこでアップルが、アンドロイドSFメーカーの2強であるサムソンとHTCを特許などの知的財産権侵害で提訴し、アンドロイドSFの進撃を鈍らる行動に出た。できれば、市場から締め出したいのだろう。実際タブレットについては、ドイツの裁判所がサムソンのタブレットがiPadのデザインと酷似しているとして、オランダを除くEUでの「Galaxy Tab 10.1」の販売を一時差し止める判決を下した。

 米国でもアップルから知的財産権侵害で責め立てられているサムソンとHTCは、それぞれアップルに対して反訴している。HTCは昨日も、再びアップルを特許侵害していると米ITCなどに提訴したばかりだ。侵害された特許はグーグルから譲り受けたものも含まれている。グーグルから譲り受けた特許は、モトローラの4件、Palmの2件、Openwave Systemの3件で、いずれもグーグルがこの1年間で獲得してきた特許である。グーグルがモトローラ・モビリティーを買収するという最近の発表も、暴挙ではなくて当然の成り行きか。


◇参考
HTC Sues Apple Using Patents Obtained From Google Last Week(Bloomberg)
グーグル対アップル、モバイル特許戦争を制する者が主導権を握る?(メディア
Digitimes Research: Apple to lead in 2011 smartphone shipments(Digitimes)
comScore Reports July 2011 U.S. Mobile Subscriber Market Share(comScore)

posted by 田中善一郎 at 16:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年08月25日

iPadアプリの売れ筋に新しい動き、電子雑誌や電子新聞のメディア系アプリが台頭

 iPad向けアプリのダウンロード数ランキングで、電子雑誌や電子新聞のメディア系アプリが台頭してきた。
 
 App StoreにおけるiPadアプリのダウンロード数ランキングをMinOnlineが調べたところ、年初にほとんど見かけなかったニュース系アプリや雑誌系アプリが数多く登場してきた。全カテゴリーのCrossing Apps(有料アプリと無料アプリ)を対象にしたダウンロード数ランキングで、8月19日には以下のような多くのメディア系アプリが現れた。今年1月に調べた時は、上位に出ていたメディア系アプリは34位(#34)の「People」アプリくらいであった。

(Grossing) in All Categories for iPad(米国時間:2011年8月19日)
#3 Zinio
#12 New York Post
#13 The Daily
#19 Comixology
#24 People
#26 Marvel Comics
#42 The New Yorker
#65 NYTimes for iPad
#72 O the Oprah Magazine
#73 DC Comics
#85 GQ
#86 National Geographic
#97 Vanity Fair
#105 Popular Science
#115 Wired
#118 Popular Mechanics

 昨春に登場したiPadに向けて、大手出版社から有力雑誌の電子版としてiPadアプリが徐々に売り出され、技術好きのアーリーアダプターを中心に利用され始めていたが、昨年後半までは伸び悩んでいた。iPadの利用者がまだ限られていたことや、Appleの定期購読ルールが定まっていなかったこともあって、今年の1月ころには電子雑誌に対し時期尚早との悲観的な見方が広がっていた。

 でも、iPadユーザー層が拡大し、App Storeの定期購読ルールが固まるのに従い、雑誌社や新聞社も電子雑誌/電子新聞の発行に本腰を入れ始めた。そして最近では、多くの電子雑誌や電子新聞関連のアプリが盛んにダウンロードされてきたのだ。長期低迷化する紙媒体を抱え経営難に喘ぐ雑誌社や新聞社にとって、タブレットやスマートフォン向けのデジタルコンテンツ販売をこれからの大きな収益源として育てていきたい。それだけに、電子コンテンツア系アプリが多くダウンロードされ出したのは朗報である。でも現段階では、デジタルコンテンツの売上は従来のプリントメディアに比べると、まだ微々たるものだ。有料アプリのダウンロード件数がまだまだ少ない。

 以下は、最新(今日掲載)のApp Storeにおけるアプリのランキングである(AppShopperより)。トップ20にはメディア系アプリが三つ、ランクされていた。

(Grossing) in All Categories for iPad(日本時間:2011年8月25日
iPadAppRanking20110825.jpg

 またトップ50には、次の3アプリが姿を現していた。電子雑誌アプリは発行日に大きなピークを示すため、日によって順位がかなり変動する。

#24 Comics(Free)
#38 The New Yorker Magazine(Free)
#50 NYTimes for iPad(Free)

  ダウンロードされているメディア系アプリはFree(無料)となっているものが多い。リーダー(ビューアー)アプリは一般に無料で、雑誌や新聞の有料コンテンツアプリは別途、購入することになる。ランキングに出ていたタイム社の「People」の電子雑誌アプリを実際にダウンロードしたのだが、以下のように目次などの案内を閲覧できるだけで、当然のことだが各号の電子雑誌(有料)アプリは新たに購入する必要がある。でも、無料のリーダーアプリだけのダウンロードで済ましているユーザーが多そうである。

PeopleAppStore.jpg

 またタイム社やコンデナスト社のような大手出版社は、紙雑誌の定期購読者に電子雑誌アプリを無料でダウンロードできるようにしている。このため、、紙雑誌の定期購読者によるダウンロード件数がかなり多いという。メディア系アプリのダウンロード数が増えていっても、それに応じて有料アプリの売上が伸びているわけではない。 


◇参考
Who Is Making Money ‘Now’ in the App Store Subscription Era?(MinOnline)
This Magazine App Is Beating Angry Birds In Sales On The iPad(Business
Insider)
Magazine Newsstand Sales Fall, But Digital May Be Lifting Overall Circ(paidContent)
The Top 25 U.S. Consumer Magazines from June 2011 FAS-FAX(ABC)
Condé Nast Digital Mags Drew Nearly 250K Downloads Since May(paidContent)
Reader’s Digest Subscriptions Come To The iPad(paidContent)
Time Inc. To Add Tablet Editions For All Mags; Strikes B&N Deal(paidContent)
For New Yorker on iPad, Words Are the Thing(NYTimes.com)
Britain's Slow Motion(WWD)
posted by 田中善一郎 at 23:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年06月23日

アマゾンのタブレットPC、8月〜9月出荷のうわさ

 AmazonがiPad2対抗のタブレットPCを、8月〜9月にも出荷するという噂が飛び交っている。噂の発端はDigiTimesの記事で、先月末に台湾の部品メーカーから聞いた話として伝えている。

 TI開発のプロセッサーに、台湾Wintek製のタッチパネル、ILI Technologyが提供するLCDドライバーICを採用し、台湾のQuanta ComputerがタブレットPCを製造するという。Amazonはホリデーシーズン(年末大商戦)前に月間70万〜80万台の攻撃的なペースでタブレットPCを売り込んでいき、年内までに総計400万台を出荷したいようだ。

 カラーLCD タッチパネルとなるはずで、Amazonは映画やTVの高画質ストリーミングコンテンツ・サービスを提供していきたいようだ。 


◇参考
Amazon’s Tablet to Compete With Apple’s iPad 2?(Touch Reviews)
Amazon to launch tablet PCs in August-September, say Taiwan component makers(DigiTimes)
posted by 田中善一郎 at 11:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年06月21日

米モバイルユーザーのアプリ利用時間、1年前の2倍の81分/日に

 モバイルユーザーのアプリ利用時間が着実に増えてきている。Flurryの調査によると、米国のモバイルユーザーは現在(2011年6月)、平均すると一日当たり81分もモバイルアプリを使っている。これは1年前(2010年6月)の43分/日に比べ2倍も増えている。

MobileAppsvsWeb2011.jpg

 またFlurryは、アプリ利用時間がWeb利用時間を追い抜いたと主張している。デスクトップやモバイルでのWeb利用時間が2011年6月に74分となっており、アプリ利用時間の81分より短くなっているのである。

 カテゴリー別モバイルアプリの消費時間の分布を見ると、47%のゲームと、32%のソーシャルネットワーキングで大半を占め、9%のニュースと7%のエンターテインメントが続く。ゲームやSNSはセッション当たりの時間が長い傾向にあるサービスなので、モバイルアプリは長時間消費されることになっているのだろう。 

MobileappsTime2011.jpg


◇参考
Mobile Apps Put the Web in Their Rear-view Mirror(FLURRY)
At 81 Minutes per Day, Mobile App Use Tops Web Browsing(ReadWrite MOBILE)
posted by 田中善一郎 at 20:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年04月11日

タブレットユーザー、84%がゲームを楽しみ51%が音楽/動画に興じている

 iPadのようなタブレットを所有しているユーザーの84%は、そのタブレットでゲームを楽しんでいる。

 Google傘下のAdMobが、米国内のタブレット所有者1400人を対象に、タブレットの利用調査を実施した。その結果、ゲームを楽しんでいるユーザーが84%と圧倒的に多かった。一方音楽や動画を楽しむユーザーの割合は51%であった。61%のユーザーはニュースを読むために、46%は書籍を読むためにタブレットを使っていた。

TabletApp.jpg

 また、タブレットを最も多く利用する場所は、以下のように82%のユーザーが家庭と答えた。仕事場で利用するユーザーの割合は7%であった。やはり、タブレットはマルチメディアプレーヤーとして主に家庭でくつろぐため端末といえそう。

TabletAppHome.jpg

 一日当たりの利用時間は次の通り。38%のユーザーは毎日、2時間以上タブレットを利用していた。
TabletAppTime.jpg



◇参考
Google survey finds games trump all other uses for tablets(Guardian)
Tablet Survey(admob)
posted by 田中善一郎 at 00:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年04月03日

新モバイル決済システムが助走開始、NFC搭載スマートフォンが起爆に

 モバイル決算システムを巡る動きが慌ただしい。お財布ケータイも近い将来世界的に広がりそうである。

 特に注目されているのがNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)搭載スマートフォンの出現で、モバイル決算市場の飛躍台になろうとしている。Amazon、Google、Apple、Microsoftなどの主要ネット企業もこぞって、NFCモバイル決済サービスに注目、激しい主導権争いが始まっている。

 たとえばGoogleは、ニューヨークとサンフランシスコで4ヶ月以内にも、モバイル決済システムのテストを始める予定である。特製のキャッシュレジスターを数多く配し、ユーザーはNFC搭載スマートフォンで商品やサービスの支払いができる。おそらくギフトカードやクーポンなどの機能も取り込むはず。また、同社は MasterCard Inc. やCitigroup Inc. と組んで、クレジットカードユーザーがNFC搭載アンドロイド・スマートフォン(サムソンと共同開発したNexus S Androidなど)による支払いができるようにする。クレジットカードリーダーやキャッシュレジスターの製作はVeriFone Systemsが担当する。Googleは昨年末にNFC決済システムのスタートアップZetawireを買収しており、今年中にも本サービスを始めたい模様。



 Google以外の各社のNFC決済システムに対する取り組みを、Mashableの記事で紹介する。

 AppleはCupertino キャンパスでNFC決済システムの試験を何カ月も行っている(こちらの記事)と噂されているが、iPhone5にNFCを搭載していくかどうかは明らかにされていない。

 AT&T, Verizon & T-Mobileの主要キャリア3社は昨年11月に、NFC対応のモバイルコマースネットワークIsisを共同開発することになった。Amazonは独自のモバイル決済システムを開発しているが、今のところNFC対応製品は持っていない。Microsoftはモバイル決済に本格参入するために、OSにNFC機能を組み込む。さらにNFCを支持しているNokiaとモバイル事業で組むことになったので、NFC決済サービスの実施に加速がかかりそう。

 モバイル決済のユーザー数は、In-Statの調査によると、2011年の1億1600万人から2015年には3億7500万人以上に膨れ上がるという。また Edgar, Dunn & Co.によると、市場規模は2016年までに6180億ドルに達すると予測している。

 このように、サービス提供者側は盛り上がっているものの、こうした決済サービスが本格的に普及するまでにはかなり長い助走期間を要するのが常である。2012年のロンドンオリンピックで最初の大規模なデモが展開され、そして本格離陸は2013年以降になるのでは。


* 非営利団体the NFC Forumのスポンサー会員:
Broadcom Corporation, INSIDE Secure, MasterCard Worldwide, Microsoft Corp., NEC, Nokia, NTT DOCOMO, Inc., NXP Semiconductors, Renesas Electronics Corporation, Samsung, Sony Corporation, STMicroelectronics, and Visa Inc.


◇参考
Apple, Google & the War To Replace Your Wallet(Mashable)
Google Sets Role in Mobile Payment(WSJ.com)
Mobile Payments Enter A Disruptive Phase(Forrester Blogs)
Amazon Said to Explore Mobile-Payment Service for Handsets(Bloomberg)
Near Field Communication Forum Announces 32 New Members(BusinessWire)
Mobile Payment Users to Surpass 375 Million by 2015, Says In-Stat(ePayment News)

posted by 田中善一郎 at 17:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年03月10日

アプリ開発者にとって収益性の高いプラットフォームは?、iOSかAndroidか

   Apple App StoreとGoogle Android Market。どちらのプラットフォーム(端末+アプリストア)のほうがより多くの収益を得られるのか。スマートフォン(タブレットなども含む)向けアプリのデベロッパーにとって、気になるところだ。

  Apple App StoreとGoogle Android Marketとを比較すれば、以下のIHSの調査データを見るまでもなく、先行しているApple App Storeが圧倒的に活発であった。売上高シェアも、App Storeがこれまで80%以上も占めている。

IHSAppStorevsAndroidMarket.jpg

  でも最近になって、AndroidスマートフォンがiPhoneを凌ぐ勢いで販売され出したのに伴い、Android端末向けアプリも手がける有力デベロッパーが増えてきている。風向きが変わる兆しも出てきている。そうしたデベロッパーの一つであるSpacetime Studiosが明らかにしたケーススタディの結果は興味深い。同社の人気ゲーム「Pocket Legends」をiOS向けだけではなくてAndroid向けも開発し、App StoreとAndroid Marketのどちらからでもダウンロードできるようにした。

PocketLegend.jpg

 Spacetime StudiosがApp Store(iOS)とAndroid Marketとの両方でサービスを始めところ、あらゆる面でAndroid Marketに軍パイが上がったということだ。ダウンロード数は、Androidが一日当たり平均9000回に対してiOSが3000回から4000回の範囲であった。結果として、売上にも大きな差が生まれた。アプリ内課金で、AndroidユーザーがiOSユーザーよりも30%〜50%多い売上げに貢献した。以下のグラフは、サービス開始後30日間と60日間で、両アプリストアでの売上高の推移を示していいる。
 
App Store(iTunes Preview)Android Marketにおける、日次での売上高の推移
AppStorevsMarketRevenues.jpg

 Spacetimeが言うには、双方の売上高アップのために、同じように広告を出稿してきたという。でも、広告のクリック回数は、AndroidユーザーのほうがiOSユーザーよりも3倍も多かったと、Spacetimeが同社の計測結果を発表している。

 この一例だけで、風向きが変わりつつあると言い張るのは危険である。Androidユーザーのほうが、新規のスマートフォンユーザー、つまり新規のアプリユーザーが多くて、今のところアプリ探しに熱心なせいかもしれない。また、登録アプリ数が多いApp Storeでは、競争も激しく、埋没しやすいのかもしれない。

 この事例では、アプリが無料でアプリ内課金(In-app Purchases)で売上を計上している。公式にアプリ内課金をサポートし始めているiOS(iPhone, iPod Touch, iPad)よりも、これからというAndroidのほうが、多くの売上げを達成したということは、やはり無視できない。今回の事例でも、Androidのアプリ内課金はサードパーティのサービスを利用しているはず。

 今回のような事例は、特例なのか、それとも一般的な傾向なのか。今後の動きに注目。

◇参考
Android now more profitable than iOS for well-known game developer(Computerworld)
Apple Maintains Dominance of Mobile Application Store Market in 2010(IHS、Pressroom)
posted by 田中善一郎 at 10:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年02月28日

comScoreのモバイル市場レポート、米国と欧州主要国を比較

 2010年のモバイル産業を俯瞰したレポート「The 2010 Mobile Year in Review」が、comScoreから公開された。32ページのpdfファイルのレポートで、無料で入手できる。米国市場とEU5(英、独、仏、伊、スペイン)市場を対比したグラフが特徴的である。一部のグラフでは、日本市場とも比較している。ここでは、レポートから9点のグラフを選んで、転載させてもらった。詳細はレポートで。

 最初は、スマートフォン加入者数。EU5が米国を上回る。欧州では意外にも、イタリアが英、独、仏よりスマートフォン加入者数が多い。

MobilecomScore01.jpg


 次はwebブラウジング機能を有するモバイルハンドセットの割合。モバイルインターネットは欧州のほうが先を走っている。というか、日韓や欧州に比べ、米国が遅れていた。

MobilecomScore02.jpg


 米モバイル端末のOEMベースでのシェア。韓国メーカーが半分近く占めている。

MobilecomScore03.jpg

 ケータイ端末のスマートフォン比率を国別で比較すると次のようになる。スマートフォンの割合は、スペインやイタリアが高くて、意外にも米国は低い。

MobilecomScore04.jpg


 米国市場におけるスマートフォンのOSシェア。やはりGoogle(Android)が毎月シェアを拡大している。

MobilecomScore05.jpg

 欧州市場におけるスマートフォンのOSシェア。Symbianのシェアがジワジワ縮小しているが、NokiaとMSの提携により縮小が加速化しそう。

MobilecomScore06.jpg


 各モバイルアクティビティーを行っているモバイルユーザーの割合。ゲームで遊んでいる割合が、欧米に比べて日本が低いとは?

MobilecomScore07.jpg


代表的なソーシャルメディアサービス(ブランド)のユーザー数と年間成長率

MobilecomScore08.jpg

主要サービスの1日当たりのユーザー数と年間成長率

MobilecomScore09.jpg


◇参考
The 2010 Mobile Year in Review(comScore)

posted by 田中善一郎 at 11:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年02月18日

米有力スポーツ誌「SI」の電子雑誌、なぜ端末がiPad/iPhoneでなくてAndroidか

  米アップルが一昨日に発表したApp Storeにおける定期購読(サブスクリプション)サービスに対して、新聞社や雑誌社のパブリッシャー側は不気味なほど沈黙を押し通している。

  待望の定期購読サービスが開始されたのに採用を明らかにした雑誌/新聞はPopular Science、Elle、Nylonくらい。一足先にNews CorpのiPad専用新聞「The Daily」が同サービスをAppleの強力なサポートの下で適用したが、その後を他パブリッシャーが雪崩を打って追従してくれるとのAppleの期待は空振りしたのかもしれない。まぁ、今のところ様子見の段階か。

  もともとパブリッシャー側のAppleに対する警戒心は大きい。Appleが音楽産業の流通プラットフォームを事実上支配してきたように、次は新聞、雑誌、そしてビデオ(映像)産業の流通も支配していこうとしているからだ。今回の定期購読サービスで本格的に動き出したとも言える。この定期購読サービスについて、Appleは大手パブリッシャーに前もって説明し、採用を促していた。ところが逆にAppleへの警戒心をさらに膨らませたパブリッシャーが少なくなかったようだ。

  例えば欧州の新聞社協会(ENPA: the European Newspaper Publishers' Association)は、Appleの発表に先立って反旗を翻した。iPad向け電子新聞の定期購読プランが、Appleのコントロール下で行われようとしていることに反発したのだが、一番問題にしたのは新聞(社)と読者との間の直接の関係が断たれることを警戒したのだ。ENPAにはEU23ヵ国の5200タイトルの新聞が加入している。

 米国の有力な雑誌社も、既にiPadアプリの電子雑誌を一部売りしていても、今のところ定期購読サービスを加えようとしていない。それどころか、Appleの定期購読サービスが発表される直前にわざわざ、Time社やConde Nast社などの大手出版社は Androidタブレット向けの電子雑誌に力を入れていくとアピールした。またこうした流れを後押しするかのように昨日は、Googleがコンテンツ流通サービス「One Pass」を発表。定期購読サービスも提供していく予定で、Appleに比べかなり優位な条件をパブリッシャーに提供していくという。


 このようにApple独走に待ったをかける動きが活発になっている。そのなかで注目したいのが、米最大の出版社であるTime社の動きだ。Appleを無視するかのように先週末、独自の定期購読サービスを始めたので、それを追ってみよう。まず同社は、人気スポーツ誌「Sports Illustrated」を手始めに、電子雑誌を含めた定期購読プランを明らかにした。このプランでは、紙の雑誌やWebサイト、それにスマートフォンやタブレット対応の電子雑誌をセットにし、その年間購読料を設定した。

Sports IllustratedSub.jpg


  今回の発表で驚かされたのは、対応するスマートフォンやタブレット端末として、iPhoneとiPadを外したことだ。現時点で電子雑誌の対象となるのはAndroid製品が中心となる。またいずれ、紙の雑誌だけの定期購読を無くしたいようである。これから読者に定期購読してもらうコンテンツは、PCやモバイル端末それに紙(プリント)のどのメディアからも閲読できるようにする。つまり定期購読してもらうのは紙の雑誌ではなくて、Sports Illustrated(SI)のブランドということである。紙の雑誌は閲読チャンネルの一つ(one of them)に過ぎない。

  今回の定期購読プランでは次の二つを用意した。
Print/Digital Bundle:下の写真で示したように、Print(紙の雑誌)に加えてWebコンテンツ、そしてAndroid対応のタブレット( 現在はサムソンのGalaxy Tabだけ)やスマートフォン向けの電子雑誌アプリのどれからも閲覧できる。対応タブレットとしては、今夏発売のHPのTouchPad(webOS搭載)も加わる予定。購読料は年間48ドル、月間4.99ドルである。
Digital Only:Webコンテンツと電子雑誌アプリ。購読料は月間3.99ドル。 
 Print Onlyが存在しないことに注目したい。


 ここで気になるのが、今回の定期購読プランでなぜApple(iPhoneやiPad)を外したかである。結論から言えば、Appleの定期購読ルールではパブリッシャーにとって制約が多すぎて、Timeが望む定期購読サービスがなかなか実現しそうもないからだ。

 ここで、米国のパブリッシャーがどうして定期購読に固執するのかを、「Sports Illustrated(SI)」の例で見ておこう。2010年上期のデータであるが、SIの有料購読部数は321万部であるが、そののほとんどが定期購読である。ニューススタンドなどで販売する一部売り(Single Copy Sales)部数は全体の2.5%に過ぎない。

*2010年上期の有料購読数
SIReaders.jpg
ソース:MPA(The Association of Magazine Media)

 定期購読者が多い理由は明白である。ともかく安いからだ。ニュースタンドの一部売りの単価が4.99ドルである。ところが年間購読すると、年間約39ドルで済む。週刊誌なので年間56部の価格となり、一部当たり0.7ドルである。なんと7分の1の価格である。自宅までの配送料も含めてだ。

AmazonSI.jpg

 多くの安定した購読者を抱えることによって高い広告料を設定でき、以下のように年間5.7億ドルを超える膨大な広告売上を稼いでいたのだ。それを支えていたのが定期購読者データベースで、広告営業の強力な資産になっているである。

*2010年/2009年の広告売上
SIAd2010.jpg
ソース:MPA(The Association of Magazine Media)

  でも、この紙の雑誌の定期購読モデルも曲がり角に差し掛かってきた。プリントからデジタルへの流れが加速化していることに加え、配送料が値上げしているのも痛い。紙の雑誌の広告売上も、2010年はリバウンドしたものの、長期的には下降線を辿っていくだろう。

 そして昨年4月にiPadが現れた。ビジネスモデルの見直しを迫られている米国の雑誌社や新聞社にとって、AppleのiPadは救いの神に映ったようだ。昨年4月に登場したiPadを熱烈歓迎し、米国の大手雑誌社や新聞社が相次いでiPadアプリの形で電子雑誌や電子新聞を送りだした。でも、肝心の定期購読がApp Storeでは実現できない。SIはとりあえず電子雑誌の一部売りを始めるほかなかった。以下のように、一部売り価格は4.99ドルとした。ニュースタンドで売る紙の雑誌と同じ価格である。これでは、定期購読の安さに慣れている米国の読者から、高すぎるとの苦情が多く出るのは当然で、電子雑誌を購入するユーザーは増えそうもなかった。

SIiTune.jpg

 そこで、SIもiPad版電子雑誌の定期購読サービスを待ち焦がれていたのだ。そしてAppleが示したのが、ひとつ前の記事で紹介したApp Storeにおける定期購読(サブスクリプション)ルールであった。とてもじゃないが、無条件に採用できるものではなかった。SI誌の約300万人の定期購読者がいずれ電子雑誌の定期購読者に移っていくのであろうが、販売売上の30%がAppleによって徴収されいくことになり、さらにSIの貴重な資産である購読者データがAppleの手に渡っていく可能性が高い。定期購読者が、Time社の顧客ではなくて、Apple社の顧客になってしまうかもしれない。

 一方Androidタブレット(Google Android Market)向けの定期購読では、パブリッシャーの自由度が高く、また今のところ販売売上のほとんどがパブリッシャーの収入となる。Appleからもっと譲歩を引き出すためにも当分は、iPadを外して、AndroidタブレットやwebOSタブレット向けの電子雑誌(アプリ)を対象に、独自の定期購読サービスを実施することになる。


◇参考
Why Publishers Don’t Like Apple’s New Subscription Plan(Forbes)
Publishers greet Apple's iPad plan with icy silence(CNNMoney.com)
Sports Illustrated to Stop Selling Print-Only Subscriptions(AdAge)
Will Sports Illustrated’s Subscription Plan Rescue Digital Magazine Sales?(Mashable)
Newspaper publishers warn Apple over iTunes sales(BBC)
European publishers upset over Apple's iTunes subscription fees, restrictions(Apple Insider)
Apple Launches Subscriptions on the App Store(プレスリリース)
News Corp's 'The Daily' launches on iPad with Apple's in-app subscriptions(Apple Insider)
Condé Nast to Launch Magazine Editions for Google’s Android(The Wrap)
iNewsstand, iAd and What Steve Wants(Digital Magazine Publishing)
A simple way for publishers to manage access to digital content ( The Official Google Blog)
Why Elle, Nylon and Pop Sci Said Yes to Apple's iPad Subscription Terms(AdAge)
posted by 田中善一郎 at 00:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年02月01日

アンドロイドがスマートフォン出荷台数でトップへ、だがiPhoneが圧倒的収益性を堅持

 世界のスマートフォンの出荷台数が、1四半期で1億台を突破した。

 調査会社Canalysによると、2010年第4四半期のスマートフォン出荷台数が1億120万台となった。09年同時期に比べて88.6%も増加した。OS別に見ると、アンドロイドベースのスマートフォンが3300万台出荷され、初めてトップに立った。LG、Samsung、Acer、HTCなどのアンドロイド・スマートフォンが順調に出荷を急増させ、他ベンダーからもアンドロイド製品が雪崩を打って登場している。出荷ベースではこれから、アンドロイドの独走は避けられそうもない。一方で、AppleのiPhoneは前年同期比85.9%増の1460万台を出荷したが、アンドロイドの勢いに押されて、シェアは09年の16.3%から10年は16.0%と減らした。

SmartphoneShipment201101.jpg

 ところが、収益性で見ると、iPhoneの強さが突出している。確かにフィーチャーフォンなども含めた全モバイルフォーンの世界市場シェアでは、ベンダー別の売上台数でAppleは4.2%とわずかである。(以下、Asymcoの調査結果より)

MobileShare1.jpg

 ところが、大手8メーカーを対象にした、売上高と利益のそれぞれのベンダー別シェアとなると、様相が変わる。新参のAppleが一気に大きなシェアを占めてきており、存在感を誇示しているのだ。利益のシェアでは51%も占める。驚くべき収益性を実現している。

MobileShare2.jpg


MobileShare3.jpg

 米国ではVerizon向けのiPhoneが2月10日から登場することもあって、高収益性を堅持していきそう。



◇参考
Google’s Android becomes the world’s leading smart phone platform(Canalys)
Fourth quarter mobile phone industry overview(Asymco)
Apple's 4% mobile market share rakes in over half the industry's profit(AppleInsider)

posted by 田中善一郎 at 12:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2011年01月20日

急成長続くモバイルアプリ市場、2015年までに年間250億ドル規模に

 これからのオンライン端末の主流が、スマートフォンやタブレット端末になる。誰もが口をそろえて言っていることだが、昨日の米Appleの2010年10〜12月期決算でも、その流れを強く印象付けた。

 Appleはその四半期(10〜12月期)に、iPhoneを前年同期比86%増の1624万台も販売し、またiPadを733万台も売った。このようなモバイル端末の普及はこれからが本番だけに、それらの端末向けのモバイルアプリ市場も大きく開花するのは間違いないだろう。

 すでにAppleのApp Storeにおけるアプリのダウンロード数が、明日にも累計100億件を突破する。(カウントダウン表示はこちらAppsCountDown20110120.jpg
iPhoneやiPadなど向けのアプリが100億回もダウンロードされてきているのだが、これからはアンドロイドなどのスマートフォンやタブロイド端末向けのアプリも、凄い勢いで増えてくるはず。 

 そこで、これからのモバイルアプリ市場を占う予測が、昨年あたりから次々と出始めている。最近ではMarketsandMarketsが2015年までの世界のモバイルアプリ市場を占った。2009年から2014年まで年平均成長率29.6%の高度成長を続け、2015年には年間250億ドル規模に膨らむとの予測だ。その売上げの20.5%をAppleのApp Storeが占めると見ている。

 他の代表的な予測も掲げておく。
・Gartner(2010年1月発表):2010年に70億ドル,2013年までに295億ドル
・GetJar(2010年3月発表):2012年までに175億ドル。2012年のダウンロード数は500億件。
・Research2Guidance(2010年3月発表):2013年までに156.5億ドル。
・IDC(2010年12月発表):2014年までに350億ドル。2014年のダウンロード数は769億件。

◇参考
Mobile App Market: $25 Billion by 2015(ReadWrite Mobile)
MarketsandMarkets: World Mobile Applications Market Worth US$25 Billion by 2015(PR Newswire)
Apple Reports First Quarter Results(Apple)
posted by 田中善一郎 at 08:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2010年12月19日

iPhone/Androidアプリのプライバシー漏洩の実態:衝撃のWSJ調査レポート

  スマートフォン・アプリを利用すると、あなたのどのような個人情報が集められ、それらが誰に渡るのか。それらを具体的に明らかにした衝撃の調査レポートを、WSJ(Wall Street Journal)が公表した。

  iPhoneやAndroid(アンドロイド)プラットフォーム向けの代表的なモバイルアプリを取り上げ、それぞれのアプリでどのような個人情報が、誰に見られるのかを調べあげた。事例を見てみよう。以下はPandoraのiPhone向け音楽アプリの例である。

WSJ201012smartphoneappsPanddora.jpg
(ソース:WSJ.com)

 個人データのタイプとして、次の6種類に分けている。
・User、password
・Contacts
・Age,gender
・Location
・Phone ID
・Phone Number

 そして個人データを見る側として、次の二つに。
・アプリオーナー
・サードパーティー
つまり、アプリオーナーまでか、あるいは広告主などのサードパーティーまで個人情報が渡るかである。

 PandoraのiPhoneアプリの場合、次の3タイプの個人情報が集められサードパーティーに渡る。
・Age, Gender
・Location: City、DMA (Code for metropolitan area)、ZIP Code
・Phone ID

 詳細はこちらのページに。Pandora側の意見も掲載されている。


 今回の調査法については、“The Journal's Cellphone Testing Methodology”で述べているように、iPhone向けおよびAndroidの人気アプリをそれぞれ50本選び、調査を実施した。技術コンサルタントとしてElectric Alchemyを使った。

 Foursquare、Groupon、Facebook、Google Maps、NYTimes、TweetDeck、The Weather Channel、Yelp、YouTube、Angry Birdsなど、そうそうたる有力アプリが、まな板に乗せられたのだ。個別に結果を見ることができるし、一覧表も用意されている。一覧表の一部を以下に掲げる。

*代表的なiPhoneアプリの調査結果の抜粋(一覧表はこちらで)
WSJAPPiPhone201012.jpg
(ソース:WSJ.com)

**代表的なAndroidアプリの調査結果の抜粋(一覧表はこちらで)
WSJAppAndroid201012.jpg
(ソース:WSJ.com)


 ここで興味深いのは、おなじアプリでも、iPhone向けとAndroid向けでは、利用される個人情報のタイプが違うことだ。上の例では、Androidアプリのほうが利用される個人情報の範囲が狭い。問題は、こうした実態を知った上で、あるいは知らされて了承した形で、ユーザーがアプリを利用しているかである。この調査結果を受けて、一部アプリ提供者は暗号化対策などを施し始めているようだが。


 WSJビデオでも今回の調査を解説しており、そのビデオはブログにも貼り付けられるようになっていたので、以下に。



このビデオの説明文はこちらで。強烈なタイトルである。
How Smartphone Apps Spy On You 12/17/2010 10:00:00 PM
WSJ's Julia Angwin explains to Simon Constable how smartphone apps collect and broadcast data about your habits. Many don't have privacy policies and there isn't much you can do about it.


◇参考
Your Apps Are Watching You(WSJ.com)
What They Know - Mobile(WSJ.com)
EA Research Drives WSJ's "What They Know" Smartphone Investigation(ELECTRIC ALCHEMY)
Platforms, Privacy and Pandora’s Box(Inside Facebook)
posted by 田中善一郎 at 13:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル
2010年10月22日

iPadユーザーの32%、アプリをダウンロードしたことがない

 Nielsenの調査結果は意外であった。iPad所有者の3人に1人が、アプリをダウンロードしたことがないと答えているからだ。

 Nielsenのグラフの見出しでは、以下のように“A majority of iPad owners have already paid for content”となっており、大半のiPadユーザーが有料のアプリを利用していることを強調している。でも63%のユーザーが有料のアプリをダウンロードしていることよりも、32%のユーザーが全くアプリをダウンロードしていないことのほうに驚いてしまうのだが・・・。

iPadOwner201010.jpg

 ダウンロードしている有料アプリでは、トップがゲーム(62%)で、次いで書籍(54%)、音楽(50%)となっている。ニュースは45%、雑誌は41%である。

 調査は、tablet computer, eReader, netbook, media/games player, or smartphoneを所有している5000人以上を対象に最近実施したという。これらのモバイルガジェットの普及率は次のようになっている。

ConnectedDdevice2010Q2.jpg 

 Tablet Computerユーザー(事実上iPadユーザー)の半分近くは、いわゆるテクノロジー好きな“Early adopter”と認識しているという。それだけに、iPadユーザーでアプリをダウンロードしていない人が32%と多いのは不思議である。

訂正:
Nielsenから、32%は9%の誤りであったと訂正がありました。Nilsenの発表をうのみにして紹介したことを、お詫びいたします。訂正については24日の記事に。


◇参考
Connected Devices: Does the iPad Change Everything?(nielsenwire)
posted by 田中善一郎 at 22:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | ケータイ モバイル